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249話 異世界

タルトは自責の念に押し潰され、今にも神殿の最上階から飛び降りようとしている。

今は普通の人間の少女なので地面に激突すれば即死であろう。

怪我人の治療や次の戦いに備えて誰も気付いているものはいないのだ。


「私のせいでみんなが死んじゃう…。

それに何の役にも、たてないなんて…」


空はどんより曇り、心のなかを映しているかのようである。

低い手すりに手をかけてよじ登ろうとした時、ふと誰かの声が聞こえた。


「だれ…?」


誰もいないと思った屋上で急に声が聞こえ、恐る恐る辺りを見回す。

だが、どこにも人の気配もなく隠れる場所のない屋上には誰もいなかった。


「こえが…きこえ…すか…」


その声はタルトの頭の中で聞こえたのである。

そして、聞き覚えが確かにあった。


「その声は…ウンディーネさん…?」

「あぁ、やっと届いたのですね。

ずっと語りかけていたんですよ。

まず、飛び降りて死のうなんて思っては駄目です」

「でもぉ…わたし…どうしていいか分かんなくてぇ…」

「落ち着いて聞きなさい。

貴女の光の精霊は完全に消滅したわけではありません」

「本当!?

じゃあ、ウルは元に戻るの?」

「クロノスが言っていた通り我々、精霊は自然現象に近く滅することは出来ないのです。

その証拠に今もこの世界の言葉が理解出来るでしょう?

但し、ウルは非常に弱まり元に戻るには数百年掛かるでしょう」


確かにウルが変換してくれていたので別の世界の者と会話出来ていたのだ。

忘れていたが今もそれが続いている。


「良かったよぉ…。

でも、数百年も掛かってたらみんな殺されちゃう。

何とか出来ないかな…?」

「それを防ぐためにお願いがあるのです。

ウルを復活させて貴女が止めるのです」

「そんなことが出来るの!?」

「その為に光の神殿へ来て欲しいのです」

「光の神殿?

それって天使の人達が住んでるところですよね?」

「そうです。

そこでこの世界の光の精霊と融合すれば復活出来るでしょう」

「ウィル君と?

それってウィル君はどうなるの?」

「それは分かりません…。

精霊の融合など過去に例はありません。

ですが、彼も喜んで合意してくれました。

貴女を助けたいと言ってます」

「そんなふうに思ってくれてるなんて…。

私、頑張って神殿に向かいます!」

「ありがとう。

神殿の彼の部屋まで辿り着けたら、後は私達に任せてください」

「うん!

まずは誰かに連れていってもらえるようお願いしてみます!」


タルトは晴れ晴れした顔で屋上から階段を飛び降りていく。

これから作戦会議をやると聞いた部屋へと急ぐ。

部屋の前に着くと勢いよく扉を開ける。

中にはそうそうたるメンバが揃っているが、険悪な雰囲気が漂っていた。

左手に大天使が3人並び、右側に羅刹とケツァールが座っている。

そこにノルンや桜華らも加わり、この世界の最高戦力が揃っているのだが、協力しようという雰囲気ではない。


「えっとぉ…。

部屋を間違えたかなぁ…」


あまりにも重い空気感に間違いを装い扉を閉めようとするタルト。


「どこにいってたんだ、タルト。

部屋にいないと聞いて心配したぞ」


ノルンに扉を押さえられ逃げられないタルト。


「あはは…ちょっと外の空気を吸ってました。

なんかお邪魔みたいだから失礼しますねー」

「まあ待て。

元気になったみたいだから、お前も参加しろ」


そのまま襟首を掴まれて椅子へと運ばれた。

何故かタルトに視線が集まる。


「前に会ったときと雰囲気が異なるな。

何かが欠けてるようじゃな」


ケツァールが一瞬で変化に気付く。


「タルトはクロノスによって力を奪われてしまったのだ。

今回の戦いも参加できないと思ってくれ」


すぐにノルンがフォローをしてくれた。

一部の者は驚くような反応を示したり、興味ないように黙るものと様々である。


「あのぉ…そのことなんですけどぉ…。

もしかしたら力を取り戻せるかもしれなくて」

「それは本当か!?」

「その為に光の神殿に行きたいんです」

「それは難しいわねぇ」


いつものように笑みを浮かべるガブリエルが答える。


「あそこはミカエル…ではなくてぇ、ミドルとかいぅ影に占拠されているのぉ。

ちょうど今、5本の影を倒す作戦をぉ、話してたところなのよぉ」

「ガブリエルの言うようにどう戦力を分散するか悩んでいたのだ。

ミカエルは強い。

そこに誰を配置するかは決まってないのだ」


未知の指もおり議論が紛糾していた。


「俺が連れていってやってもいいゼエ」


いつの間にか扉の横に立っている男がいた。

紛れもないルシファーである。


「ミカエルを相手にするのに俺以上の適任はいねえダロ?」

「遅いわよぉ、ルシファー。

来ないのかとぉ、思ったわぁ」

「色々と調べものをナ。

それで、俺に任せてくれるヨナ?」

「ああ、勿論問題ない。

他に誰か付けるか?」


ノルンはルシファーの実力はよく理解しており反論する必要もないのだ。


「いや、要らネエナ。

だが、ひとつ条件があるゼ」

「条件?」

「アア、そこの嬢ちゃんは一体、何者なのかが教えて貰おうカ。

いくら調べてもこの村に来る前でぱったり途切れちまうんダゼ。

疑う訳じゃねえが念のため素性を確認しとかねえトナ」


皆が一度は頭に浮かんだことのある疑問だ。

これだけの実力があるのに正体が分からないのだから当然だろう。


「分かりました。

本当はもっと前に説明すべきだったんだと思います。

ここに来る前のことを話しますね」


今まで混乱を起こさないよう誰にも異世界から来たことを話した事はなかった。

だが、潮時で良い機会だと思い話し始める。


「どこから話したら良いかな…。

えっと、まず最初に私はこの世界とは異なる異世界から来ました。

異世界って言って分かりますか…?」


それほど科学や文化も発展していなく、生きるのに必死であるこの世界で違う世界があるなんて考えもしないだろう。


「異世界とはナ。

そりゃあ、いくら調べても分からない訳ダゼ。

その異なる世界ってのにも興味がアルナ」

「この世界と違って平和なんだと思います。

異種族はいないし魔法も普通の人は使えません。

人間の戦争は時々ありますが、子供の私には詳しいことは分からないです…。

そんな世界でどこにでもいる普通の女の子だったんですけど、ここに来る直前に魔法少女になったんです。

なりたてで分かっているのは精霊と結合することで魔法が使えるようになる少女の事を言うみたいです。

なった瞬間に声が聞こえたと思ったら、いつの間にかこの世界に飛ばされてしまったんです。

多分ですけど、あの声は女神様だったんだと思います。

その時にこの女神様の紋章を型どったペンダントを身に付けていたから関係してるはずなんです。

それから、リーシャちゃんに出会って、この村に辿り着いたんです。

あとは知ってると思いますが…」


皆の反応を怖々待っている。

異世界人と知られてどういう反応があるのか全く分からないのだった。

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