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189話 地下20階

リリスとカルンにネッソスを任せ更に深層へと向かっていく一行。

ここでも多くの魔物達に襲われ桜華と雪恋が連携して倒していく。

シトリーがタルトを背負ったティアナとリーシャに近づく魔物の露払いをしていた。


「ちっ、二人が抜けて戦力が足りねえぜ」

「それにしてもネッソス相手に大丈夫でしょうか?

古代に封印されていたヒュドラも姫様も力を合わせ何とか倒せた相手でした…」

「リリスもカルンも馬鹿ではありマセンワ。

何か良い策が思い付いたのデショウ」


シトリーの期待空しく無策に等しい馬鹿であったのである。


「二人の心配よりこちらも先を急ぎマスワヨ。

自分のいる階より下には来ないようですから全部倒すより突破して階段を探すのが優先デスワ」

「ふぅ…これでとりあえず終いだ。

近くには敵の気配はしねえ。

少しだけここで休憩しようぜ」

「今、何階まで来たんでしょうか?」


桜華と雪恋は納刀しながらティアナに尋ねる。


「ここで地下16階だ。

ここまでの流れで行くと20階には強敵がいる可能性があるな」


ネッソスがいた階以外は通常より強いくらいの魔物が多くいるだけで負けるような相手ではなかった。

10階毎に強敵がいるとすれば目的の20階にもネッソス以上の相手がいるだろう。


「もし強敵がいればワタクシと雪恋で相手をするから桜華はタルト様を連れて先を急ぎナサイ。

近接と遠距離でバランスを考えたらこの組み合わせ以外はありえナイワ」

「そうだな、それが最適だろう。

そして、そのフロアの何処かにある女神の涙を手にいれてタルトを助けすぐに脱出だ」

「うちも強えのと戦いてえんだがなあ」

「我慢しろ。

また別の機会にしてくれ」

「ちっ、つまんねえな」


渋々、納得した桜華であったが優先すべき事は理解していたので気持ちを切り替えて進むことにした。

すぐに下層への階段を見つけ先を急ぎ難なく19階まで辿り着く。

そこで目的の地下20階へと続く階段を遂に見つけたのであった。


「さあ、ここまで来たらさっさと終わらせようぜ」

「姫様、油断はしてはいけません。

この先の魔物は危険だと思われます」

「ティアナ、タルト様の様子はどうデスノ?」

「顔色がだいぶ良くないな…。

日数がかなり経過してるからじわじわと呪いの苦しみに耐えているのだろう」

「時間がありマセンワ、急ぎマスワヨ!」


これ以上、苦しむ姿を見たくないシトリーは普段と違い冷静さに欠け先を急いでいた。

もう目的地は目の前という焦燥感から階段を駆け降りるように進み広場へと飛び出る。

だが、不用意に突っ込んだのを後悔するほど部屋の異様さに動きが止まった。


「おいおい…これはなんだあ?」

「噂に聞く地獄でしょうか…?」


前衛にいる桜華と雪恋はその場の光景に圧倒されていた。

その部屋には至るところに何かが積まれ山になっている。

目が慣れてくるにつれ、それが全て人の骨であるのが分かり戦慄を覚える。


「今までも所々に落ちていたがここの量は尋常じゃねえ…。

何かやべえヤツが潜んでやがる」


桜華の本能が全力で危険を伝えて来る。

その時、骸骨の山が動いたと思ったら骨の下から巨体の魔物が現れた。

羽のない四足の竜のようなトカゲのような魔物がゆっくりとこちらに近づいてくる。


「動きは遅そうですね…。

この魔物がこの骨の数だけの侵入者を殺したのでしょうか…?」


雪恋は正直な魔物の第一印象を思わず漏らす。

それほど強いようには見えず遅い攻撃など簡単に避けられそうな気がしたのだ。


「見た目で侮るな、雪恋!

コイツは何かがやべえ気がする…」

「エエ、同感デスワ…。

ですが、予定通り貴女達は先を急ぎナサイ」


シトリーは桜華とティアナ、リーシャに先に行くよう合図を送る。

嫌な予感はしつつも部屋の端を駆け抜け先に進むため、動き出そうとした瞬間、魔物の目が不気味に光った。


「なっ!?」

「一体何ガ…?」


驚愕する一行。

何と指一本動かせないくらい身体が硬直して動かせないのだ。


「喋ることは出来るが他に何も動かせねえ!」

「桜華の馬鹿力でも無理なのか…。

先程の魔物の目が光ったのと関係があるのだろう。

確か文献にそんな魔物の記載が…バジリスクだったはずだ」

「そんな呑気に分析してる場合じゃナイワ!

ヤツがゆっくりと近づいて来てマスノ!

このまま動けないと骨の山に仲間入りデスワヨ!!」


いくら相手がゆっくりでも全く動けないままでは回避どころではない。

あっさりと大きな口で噛み砕かれるのが簡単に予想できた。


「うぅ…」


この時、ティアナの背中にいるタルトが少し動いた。

単純に呪いの苦しさに反応しただけだがティアナには予想外の出来事だった。


「何故、タルトは動けるんだ…?」


必死にもがこうとするなかティアナは冷静になるよう自分に訴えかけ状況の分析を急いだ。

タルトと他のメンバーの違いを。

ふと、あることに気付いた。


「シトリー、炎は出せるか?」

「エエ、出せますがそれでどうしろと言いマスノ?

動けないままじゃ大した威力になりマセンワ」

「それで構わない。

それを魔物の顔めがけて放つんだ!

時間がない、急いでくれ!」


シトリーは言われた通り炎を複数空中に出現させ意思の力でバジリスクの顔めがけて放つ。

予想外の反撃にバジリスクはまともに炎を正面から喰らった。

その途端、呪縛が解けるように身体が動かせるようになる。


「やはりな。

奴の目が光るのを見ては駄目だ!

あれを見てしまうと呪縛を受け動けなくなる。

バジリスクの目を閉じさせれば解けるようだがな」

「相手を見ずに戦うのは無理だろ!」


呪縛は受けないが攻撃を避けることも出来ないだろう。


「デスガ、動けるようになったなら先に進みナサイ!

ここはワタクシと雪恋で時間を稼ぎマスワ!」


シトリーの一言に気持ちを切り替え先へと進むことにした。

バジリスクが立ち直る前に横を駆け抜け奥の細い通路へと辿り着く。


「姫様達は無事に抜けたようですね。

シトリー様、良い策でもお持ちですか?」

「持っている訳ないデスワ。

元々、決めた通りデスノ。

ここに来た目的を忘れてはいけマセンワ」

「そうですね。

タルト様の呪いを解くのが最優先なのは間違いありません。

ここは一秒でも長くコイツを足止めしましょう」


その瞬間、再びバジリスクの目が光ったが辛うじて目を閉じ呪縛を回避する。

だが、ほぼ同時に尻尾の一撃が襲いかかり完全に避けきれず吹き飛ばされた。


「厄介デスワネ…」

「どう避ければ…?」


ここでもバジリスクと先の見えない戦いが始まったのであった。

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