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14話 祝賀会

「嬢ちゃん、お疲れー。

色々と大変だったなぁ!」

「今日は色々ありすぎて、もう疲れたよぉー…‥」

「おっと、聖女様って呼んだ方が良かったかっ?」

「今まで通りで良いですよー。

エグバートさんに言われると調子狂っちゃいます…」

「俺も堅苦しいのは苦手で助かるよぉ!

大したおもてなしも出来ないが少しは寛いでくれ」


タルト達は血の契約のデスマーチが終了し、エグバートの酒場で休憩していた。

実際には治癒魔法により体力は回復出来るので精神的な疲れがほとんどを占めていた。


「タルト姉、腹減ったからナニか食べようゼー」

「腹減っター、タルトー」

「カルンちゃん、リリスちゃん、ちょっと待ってね。

エグバートさん、何か食べるものありますか?」


もちろん悪魔3人娘も一緒である。

村を救った聖女様ということで、滞在することになったが、堅苦しくなさそうであったエグバートの2階に泊まらせてもらうことになった。


「ちょうど、新鮮な魚が入荷したんだ。

まあ見てくれよ、とっても美味しそうだろ!」


エグバートはまな板の上に鰹くらいの大きさをした魚を一匹ドスンとおいた。

一見、普通の魚に見えたが視線を移していくと腹部に足が付いていた。


「なんじゃ、そりゃーーーーっ!?

魚なのっ?カエルなのっ?」

「何だって見りゃ分かるだろ。

立派なトンズラウオだぜ」

「いっ、いや、だって魚なのに…足が…足が…生えてるし…」

「そりゃ足もあるだろ、釣れた後もダッシュで逃げちゃうからトンズラウオって言うらしいぜ!」

「わあぁ、おいしそうなトンズラウオですね!」

「確かに旨そうダナー、早く食べようゼ!」

「なにリーシャちゃんもリリスちゃんも普通に受け入れてるのっ!?

魚に足が生えてるんだよっ。

ほらピクピク動いてるしっ!」

「まだ生きてるくらい新鮮だぜ。

今、調理してやるからちょっと待ってな」

「ええぇーーー、私の反応がおかしいの…?

確かに異世界だから変わった生物もいるんだろうけど…‥。」


少し待ってると野菜と一緒に盛られたトンズラウオがタルトの前に置かれた。


「特に足の部分が美味しいからな。

聖女様にサービスだぜ!」

「あはは…‥ありがとう…ございます…」

(いやいやカエルだって鶏肉みたいで美味しいらしいから、これもきっと美味しいはず…‥)


パクッ


「美味しいーーー!!

何これ、美味しい!」


タルト達はトンズラウオを夢中で食べ続けた。

朝から何も食べずにあれだけの戦闘をしたのだから空腹も限界であった。

しかも、魔力の消費や肉体の再生には大量のエネルギーが必要となるため、魔法少女は大食いとなるのであった。


「良い食いっぷりだなぁ!

こりゃ作りがいがあるってもんだっ!」


シトリーだけはお酒を片手にトンズラウオを食べていた。


「オイッ、シトリー!

アタシにも飲まセロ」

「こら、カルンちゃんは子供なんだからお酒は駄目でしょっ!」

「ナニを言ってるんダ、タルト姉?

悪魔は人間より長命だからアタシはこれでも50年以上生きてるんダゼ」

「そうだとしても駄目です!

見た目が子供の飲酒シーンなんて、公共放送で流せません」

「途中から何言ってるか、分かんナイゼ…‥」

「…おさけっておいしいんですか?」

「リーシャちゃんはもっと駄目ーーっ!!!」

「タルトはナニ、騒いでるんダ?」

「リリスちゃんは私の味方だよねっ?

ねっ?ねっ?ねっ?ねっ?」

「ナッ!?ヨク分からないがワタシは味方ダッ……タブン」

「騒がしくって良いねぇ。

悪魔も付き合って見ると案外、面白い奴等なのかもなっ!」

「人間の料理も美味しくテヨ。

ワタクシ達にはない繊細な加工が施されマスワネ」

「誉めたって何も出ないぜぇ!

まあ今日はお祝いだ、いっぱい飲み食いしてくれっ!」

「ところでタルト様、少し宜しいカシラ?」

「どうしたんですか、シトリーさん?」

「アナタの魔法はどの属性にも当てはまらない気がするのデスガ、どういうことカシラ?」

「ええぇっと……どう説明したら……。

私はどの属性にも属してなくて……。

魔力を使って化学反応を起こして…その…」

「ヨク分からないけど、アナタが特別なんデスワネ。

普通の人間は生まれた時には、いずれかの属性を宿し、光の眷属の洗礼を受けるらしいデスガ、アナタはどちらも当てはまらないのデスカラ」

「本当にタルトは聖女なのかもしれネエナ」

「では…女神様の奇跡ということで…」


宴会は遅くまで続いた。

タルトとリーシャ、シトリーとリリスとカルンの二部屋に分かれた。


「リーシャちゃん、今日は疲れたしそろそろ寝ようか?」

「…いっしょのベッドでねてもいいですか…?」

「もちろんだよ!おいでおいで」


リーシャはタルトのベッドにもぐり込んできた。


「タルトさまがしんじゃうかとしんぱいでした…」

「ちゃんと約束したでしょ、側にいるって」


タルトはリーシャを優しく抱き締めた。


(おおぅ、髪がさらさらで肌がスベスベだぁっ!)

「…もうひとりはいやです……」

「リーシャちゃんは私の家族だよ、ずーーっと一緒にいようね」

(耳がピクピクして可愛いぃ)

「タルトさまぁ」

「リーシャちゃんは良い臭いがするね、リーシャ臭かな」

(臭いが…温もりが…顔が近い…)

「なんかくさそうです…」

『マスター、言葉と心の声の差が激しすぎです…』

(今日はいっぱい戦って疲れたんだから癒される権利があるはずだよっ!

プニプニのほっぺともふもふの尻尾ー)

「タルトさま…くすぐったいですー」

『マスター、それ以上は犯罪です』

(ここは異世界だから法律も違うんだな!)

「タルトさま…そこは…だめです…」

『これ以上はR指定になります』

(R指定なんて五分もあれば変更可能だしっ!

むしろタイトルをモフモフパラダイスに変更してもっ!)

『これで何回目の暴走ですか、マスター』

(ふっふっふっ。

ウル君は今まで食べたパンの枚数を覚えているかな?)

『どこの石仮面の真似をしてるんですか?』

「ふあぁあ…タルトさまぁ」

(そろそろ秘密の花園に…)

『緊急事態として強制終了です』

(うっ、急にすごい…眠気が…)

『危険と判断し睡眠薬を投入しました』

(くっ…ブルータスか…)


こうして夜は更けていった。


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