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137話 チーム分け

アルマールでは警戒体制をとりピリピリした雰囲気が漂っている。

タルト不在の為、シトリーが指揮をしており連日、会議室にて会議が行われていた。

この日の夕方も主要メンバーが集められている。


「それでは各自が集めた情報を話してクダサイ」

「シトリー様、では自分から説明します。

主には避難してきた獣人からと潜入させた者から情報です。

戦の準備をしているのは現在の大元帥であるカルヴァンのようです」


その名前にピクッと反応する桜華。


「おいティート、そいつはお前の親の仇じゃねえか?」

「えぇ…そうです。

父に代わり大元帥の座に就いたのですが、反対する勢力もあり実績を作り実力を見せつけるのが目的です。

そこで大悪魔を倒したタルト様が治めるアルマール襲撃を決めたそうです。

ほとんどが私兵ですが、その数、三千はいると報告がありました」

「三千…ティートが指導している獣人部隊の数はどれくらいイマスノ?」

「現在は千に満たない程です。

ですが、相手は鍛えられた兵士でこちらは元農民などです…。

調練は行ってますが戦力は圧倒的に不利です」

「そちらの状況は分かりマシタワ。

次は悪魔の動向はどなたカシラ?」


リリスとカルンがアイコンタクトで押し付けあっており、諦めたようにリリスが手をあげた。


「しょうがネエ、ワタシが話ソウ。

あの後も斥候らしき悪魔が何人か見つけたので拷問して吐かせた情報ダ。

獣人と同様でカドモスを倒したタルトを狙い、名を上げようとしている奴等が集まってるラシイ。

第三階級の寄せ集めダナ」

「数は分かりマスノ?」

「昨日までで千は超えてたようだが、更に増えてるとみていいんじゃネエカ」

「二千はみておいた方がイイワネ…。

こちらの兵士の練度は如何カシラ?

獣人部隊は聞いたので近衛、魔法、衛生はノルンにお願い出来マスノ?」

「ああ、近衛と魔法の両部隊は指導してるから説明しよう。

基本的には城壁での防衛戦を想定した訓練を行っていて、通常の魔物であれば難なく防衛出来るほどだ。

だが、獣人では長くは持たないだろうし飛行可能な悪魔では話にならないだろう。

衛生兵はリリス頼む」


ノルンに話を振られ嫌そうな顔をする。


「またカ…基本的な応急処置は習得してイルゼ。

水と火の属性で組ませていて清水での消毒と炎で止血が可能ダ。

必要な薬は精製して備蓄してアル」

「そうデスカ…まあ、この短期間では上々の結果デスワネ。

そして、鬼部隊はどうデスノ?」

「ようやく、うちの番だな!

毎日、たっぷりしごいてるから役に立てるぜ。

だが、まあ…悪魔みたいに飛ぶ相手は苦手かもなぁ…」

「状況的には圧倒的に不利デスワネ…。

他に気が付いた事はあるカシラ?」


少し考える間があった後、ノルンが右手を軽くあげた。


「ちょっと良いか。

少し前に鬼の大規模襲撃があった際に場所を追われた魔物が近隣の村を襲ったと聞く。

今回、悪魔は飛行してくるので気にしなくても良いかもしれないが、獣人の大軍が押し寄せるなら間違いなく発生する事案だ」

「そう…デスワネ。

ただでさえ少ない戦力を更に分散しないトハ…。

ちなみに襲撃時期の情報はありマスノ?」


ティートが少し申し訳なさそうに話し出す。


「それがはっきりした時期が不明なのです…。

一週間もすれば準備は整うようですから、後はカルヴァン次第かと…」

「悪魔はどうデスノ、リリス?」

「はっきりした事は分からねえナー」

「では、最悪の事態を想定し同時襲撃に備え二分しますワヨ。

まず、獣人への対応として…」

「シトリー様っ!!」


真剣な表情でティートがシトリーへ頭を下げる。


「獣人側へ俺を行かせて下さい!

カルヴァンだけは俺の手で…」

「安心しなサイ、勿論そのつもりヨ。

但し、敗けは許されませんワヨ?」

「ええ、必ずや勝ってませます!」

「ティート率いる獣人部隊はカルヴァンの対応ヲ。

サポートとして桜華、雪恋と魔法及び衛生部隊の小隊を付けマスワ。

そして、悪魔の大軍にはワタクシ、カルン、ノルン、セリーンで当たるワ。

琉は近衛兵とこの街の防衛に当たりナサイ。

そして、鬼部隊を各村に一人ずつ配備し魔物の襲撃に備えさせナサイ」

「あのぉー…」


セリーンが恐る恐る質問する。


「昼間の私じゃすぐに死にそうなんですけどぉ…」

「ええ、夜の貴女しか期待してマセンワ。

もし襲撃が昼なら何処かに隠れてナサイ」

「それだと三人で悪魔の大軍と…」


その言葉をノルンが遮る。


「現状の戦力だと的確な采配だと思うぞ。

確かに多勢に無勢だがタルトの加護で個々の魔力は遥かに高まっている。

悪魔といっても第三階級の雑魚ばかりだ。

死力を尽くせば何とかなるだろう」

「他には何かありマス?」

「はい!」


長机の端っこで小さな手が二つ見える。


「ミミは兄うえと行きたいのです!」

「ミミちゃんが行くならリーシャも」

「ハァ…これは勝てる保証もないしタルト様がいないから治癒魔法もなく大怪我を負えば死ぬかもしれマセンワ。

そんな場所に二人を連れていく訳ニハ…」

「ミミにとってもとうさまとかあさまのかたきなのです!

それに兄うえまで…」

「分かりマシタワ…何より自分の命を優先させナサイ…」


二人の固い意思を秘めた眼を見て根負けしたシトリー。


「リリーは…?」

「リリーとジルニトラは留守番デスワ。

制約上、これ以上戦えないデショウ?」

「むー…」

「最悪ここに敵が来たときは自己防衛なら…まあ、後は自分で決めナサイ」

「分かった…」

「やれやれ…」


むふーっとやる気のリリーと困った顔のジルニトラであった。


「そして、ティート。

この場所に出城を築きナサイ」


シトリーは地図を広げ三ヶ所ほど指を指す。


「敵を迎え撃つ拠点ですね!

承知しました!

すぐに部隊を連れていきます」

「詳細は後で伝えるワ。

拠点にはちょっと手を加えるよう指示を出しマス。

これはあのエルフが立案したものデスワ」

「ティアナ様の?」

「タルト様はあまり乗り気ではない策ではありませんでしたが、不利な状況ですからやむを得まセンワ」


最近、ティアナはタルトから兵法を習っていた。

敵の襲撃を想定し様々な策を起案するのが日課となっていた。

シトリーは一通り眼を通してあり、それを採用したのだった。


「サア、残り時間はあまりありまセンワ。

各自、準備を始めナサイ!!」


タルト不在のアルマールは戦仕度で慌ただしくなり始めていた。

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