116話 堕ちた聖女
「何っ!?体が…動かない…」
全力で力を込めるが指一本動かすことが出来ない。
後方のシトリー達も同様の状態であるのが伝わってきた。
『マスター、これは精神への干渉です。
強い意思で抵抗してください!』
(そんばこと言われても…全力で動かそうとしてるんだよ)
「さて、静かになったことだし少し話でもしようカ。
聖女ヨ、ワレの配下に加わる気はアルカ?」
「いいいーーだ!
そんなの絶対にお断りですよ!!」
動けないが強がって見せるタルト。
「そうか残念だな、その人間とは思えぬ類い希な能力が惜しいナ。
そこにいるのはシトリーとカルンはドウダ?
お前達の事は前から気に入ってたノダ」
「お断りデスワ。
ワタクシは前から貴方の事が嫌いデシタノ」
「アタシも同意見ダゼ、タルト姉と出会ってからの方が百倍楽しいゼ」
「ふむ、動けないのにその強気。
その気高さが好ましいのダガナ。
まあ、数十年閉じ込めておけば考えも変わロウ。
それに聖女は今日で終わりダシナ」
カドモスの目が更に妖しい光を放つ。
カランッ
タルトの手に持っていたステッキが地面に落ち消えていき、戦闘フォームも解けワンピース姿に戻った。
「さあ聖女ヨ、こっちに来るがヨイ」
言われるがままタルトはゆっくりと歩みだしカドモスの手前で立ち止まった。
そして、シトリー達の方へ振り返ると目から生気が消え淀んでいるようにみえる。
「聖女様、お気を確かに!」
「貴様、タルト様に何をシタノ?」
「呪縛を強めて意思を奪ったダケヨ。
これで聖女とやらはワレの操り人形と化したノダ」
「おのれ、悪魔め!
聖女様に手を出したら絶対に許さんぞ」
オスワルドの激しい怒りを見てカドモスが笑みを浮かべる。
「ほほう…お前にとってこの少女はとても大切なようダナ。
そうだ!面白い余興を思い付いたゾ。
サア、お前もこっちに来るがヨイ」
「馬鹿な!?足が勝手に!」
オスワルドは自分の意思とは無関係に足が動きだしタルトの前まで歩いていった。
「くっ、何をさせる気だ?」
「その娘を好いてるのでアロウ?
想いを遂げさせてやろうと思ってナ」
おもむろにワンピースを脱ぎ始めるタルト。
あっという間にパンティ一枚という姿になった。
「聖女様、一体これは!?」
「それ聖女ヨ、その男が新しい主人ダ。
自分で懇願するがヨイ」
生気のない虚ろな目でオスワルドを見つめる。
「ご主人…様?
どうか…私を…抱いてください…」
「貴様!聖女様に何をさせる気だ!?」
「決まってオロウ。
聖女は今より売春婦に堕ちるノダ。
人々の絶望した顔が目に浮かぶヨウダ。
ほれ、待っておるゾ。
胸でも触ってヤレ」
必死の抵抗空しくオスワルドの右手がタルノの左胸を触る。
「あぅ…ん…」
「ついでに感度もあげてやったゾ。
サア、口づけでもして貰おうカ」
(何て柔らかい感触なんだ…。
これでキスをしたら理性が飛んでしまいそうだ…)
「オスワルド、貴様!
タルト様にこれ以上、手を出しましたら殺しマスワヨ!!!」
「ですが、シトリー様…。
抵抗しても体が…」
「アッハッハッ!
やはり観客がいる方が盛り上がるナ。
シトリーよ、見てるがヨイ。
お前が信奉していた聖女が犯される様ヲ」
「貴様ァッ!!!」
「さて先は長いのだ、我慢せず口づけをするがヨイ。
ワレに無理やりやらされたと言い訳出来るのでアロウ?」
「だれがお前の言うことなどっ!」
言葉とは裏腹にオスワルドの顔がタルトに近づいていく。
既にタルトは目を瞑り受け入れているようだ。
(聖女様…至らない私に力を…)
あと少しで唇が触れ合いそうな所で、自らの顔面を思い切り殴ったのだった。
「はぁ…はぁ…私は聖女様の盾であり剣でもあるオスワルドだ!
聖女様は私が命に代えてもお守りする!!」
「ほう!
ワレの呪縛を受けながらそれほど動けるトハ!
気に入ったゾ、お前は生かしておき絶望させ悪魔に堕ちるがヨイ」
「誰が悪魔などに成るか!」
「お前が拒むのであれば目の前でワレが犯してやろうゾ。
知ってオルカ?悪魔に犯された人間は確実に子を孕むノダ」
「何だとっ!?
待て、待ってくれ!」
「最後にもう一度だけ機会をヤロウ。
よく考えてミロ、悪魔の子と人間であるお前の子とどっちがこの娘にとって幸せダ?
二人で静かに暮らしたくはないノカ?」
「何たる誘惑…まさしく悪魔の選択だ…」
(どうすれば良い…?
あれ以上の抵抗はもう無理だ…。
あんな悪魔に汚されるなら私の方が良いのか…)
カドモスは考える。
一番大切な女を自ら汚すことでオスワルドの心が折れるであろうと読んでいた。
「サア、どうするノダ?
早く決めねばワレが犯してしまうゾ」
「はぅ…」
カドモスの両手がタルトの両胸を後ろから鷲掴みし揉み始め、ほっぺをベロッと舐める。
無抵抗のタルトはされるがままであった。
「私は…私は…」
オスワルドの顔面は蒼白し今にも半狂乱になりそうである。
「アッハッハッ、面白くなってくたではナイカ!
サア、どうするのか答えヨ!!」
「私は…聖女様を…」
シトリーとカルンは必死に呪縛を解こうと抵抗を試みるが柚比が僅かに動く程度である。
あたりは絶望に包まれていた。