一眼レフの変態
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元旦那が毎度暴走気味です
魅了魔法騒動から2日後
旭谷 祥吾先輩に詰め寄り、何故かついて来た愉快な仲間たちと共に土曜日に栃澤 海斗の家に押しかけていた。
怒りの為にうっかり失念していた。
元旦那元王太子は、今世もお金持ちのお坊ちゃまだった。奴の実家はとんでもない大豪邸であった。愉快な仲間たちがいないと多分、門前払いだったと思う。
因みにガサ入れなので海斗先輩には事前通達は一切無しである。
『これは旭谷様、ぼっちゃまは…』
「ああ、知ってるよ。夕方には戻るって聞いてるから待たせてもらっていい?」
『はい、承知致しました』
インターホン越しに旭谷先輩が受け答えしている間に大豪邸の周りを診る。
はぁ~家にも魔物理防御障壁ね…。その時、携帯電話がメッセージの着信のお知らせして来る。おっと…もうバレたか。
『何故、家にお前も来ているんだ?』
無視無視…。
門がギギィ…と開いたので(自動)イソイソと中に入る。と言いますか、ここ都内ですよね?門から森?みたいになってて玄関が見えてこないのですが…。
その間にもメッセージが連続して入る。
『無視をするな』
『夕方には戻るから待っていろ』
『返事をしろ』
「何?何?海斗なの?うわ…うざぁ。流石元祖ストーカー!」
ストーカーに元祖や本家があるのかな?
私の携帯電話の画面を覗き込んできた2-Sの邑岡 陽輝先輩は、色素の薄い茶色の瞳の目を見開いていた。
「あのさ、部屋には入れると思うけど写真の回収は無理だと思うよ?」
旭谷先輩が気になる言い方をしたので聞き返そうとしたら、やっと玄関に着いたらしい。数分は歩いていた気がするよ。
「いらっしゃいませ。旭谷様、邑岡様、玉田様、藤河様。おや…初めまして、ようこそいらっしゃいました篠崎 麻里香様」
私は名前を呼ばれて固まった。このロマンスグレーの執事さん?は何故、私のフルネームを知っているのだろうか…。
そんな私の動揺をよそに、愉快な仲間たちとロマンスグレーは屋敷の中に入って行ってしまう。私も慌てて追いかけた。
ここ、民家よね?どこの高級ホテルなの?私、この世界に来て初めて民家にメイドと侍従がいるのを見たわ。
「こちらにてお待ち下さいませ」
来客用の応接室に案内されてロマンスグレーが退室しようとしたので、私は慌てて声をかけた。
「先程、私を見てフルネームを迷わずお呼び頂きましたが…私と面識がおありでしょうか?」
私はついうっかりと王太子妃のオーラを滲ませてロマンスグレーを呼び止めてしまった。
ロマンスグレーは胸元からハンカチを取り出すと目頭に当てている。あら?何?
「麻里香様もすっかりお姉様になられて…お小さい時は本当に可愛らしく…」
なんだって?
何だか、本格的に泣き出したロマンスグレーに茫然としていると、旭谷先輩がトントンと私の肩を叩いてきた。
「あ~のさ、えっと…甲本は海斗の付き添いで一緒だっただけだからな?」
何?なんの話?
今度は邑岡先輩が困ったような顔をして私の顔を見てきた。
「海斗を一人歩きさせる訳にいかなかったしな…たまたま篠崎の後をついて行くことになっただけだし…」
後をついて行く…。
今度は眼鏡の2-Sクラスの玉田先輩が冷ややかな目を甲本さんに向けて言い切った。
「海斗の盗撮行為に随行するとは…僕は倫理的に良くないとは思いますよ」
「おいっ祐樹!」
2-Bの藤河先輩が2-Sの眼鏡先輩を制したことで私は気が付いた。
ロ、ロマンスグレーェェ?!ちょっとロマンスなグレーだからって過去の悪行がすべて許されるとは思うなよっ?!
「と、盗撮行為をっ…し、しかも子供の性犯罪とも取れる行為を大人が付き添っていながら、止めもしないなんてぇぇ…」
「おっしゃる通りでございますっ!もうお詫びのしようも御座いません。海斗ぼっちゃまにどうしてもっ…とせがまれて、最初の頃は公園で弟様達と遊ぶ、麻里香様を物陰から拝見しておりました」
弟達と公園?!物陰?!
「ところが見るだけでは飽き足らす海斗様が、麻里香様の顔を家でも見ていたいとカメラをご購入され、一眼レフで撮影されていたのも黙認してしまったのも、すべて私の不徳の致すところであります」
一眼レフ?!
「ちょっとお待ち下さい…確認なのですが、私をいつから…海斗先輩がお幾つくらいから私の盗撮行為をされていたのでしょうか?」
そうよ、そもそもがこのロマンスグレーがついて行かなきゃいけない年齢って…ものすごく果てしなく嫌な予感がする。
「5才の時からでございます」
「げっ!」
「うそっ!」
「はぁ…」
「あちゃ…」
私の叫びと愉快な仲間たちの叫び声が重なった。眩暈がした。いくら前世の記憶持ちだからと言って、普通の子供じゃありえない行動をして目立ってしまっては…どうするんだ!
「呆れました…私てっきり中学生くらいからだと思ってました」
流石に旭谷先輩達もそんな子供の頃からの根深い悪質ストーカーだとは思っていなかったらしく
「怖いな~これ篠崎が逃げたら世界の果てまでも追いかけてくるんじゃない?」
と言って来た。男性陣も流石に押し黙っている。
「やめて下さい!想像してしまったじゃないですかっ!すみません、今すぐ海斗先輩の持っている私の写真を返して下さいませんか?」
私がそう尋ねるとロマンスグレーは目を泳がせた。
「お部屋に入って頂く分には構いませんが…」
とグダグダ言うロマンスのグレーを急き立てて海斗先輩の部屋に入らせてもらった。
若い男の子の部屋…。思わず匂いを嗅いでしまって、ああこれでは私が変態ではないか…と慌てて部屋の中を見回すも、綺麗に整頓されている部屋で特に不審物(物的証拠その1、一眼レフ)は無い感じだ。
更に不審物の置いていそうな本棚(物的証拠その2、盗撮写真)を確認するも、難しい蔵書や海外の原文の某魔法学園もののシリーズとか…不審なアルバムの類は見当たらない。
目を光らせたまま部屋を見回して、もうひとつ奥に部屋があることに気が付いた。
ロマンスグレーが明らかに魔質を震わせて答えてくれた。
「そちらは寝室でございます」
寝室か…若い男の子の寝室を覗くのはいけな…
…くはないよねっ!私元嫁だしねっ寝所くらいなんでもないさ!
私はズカズカと寝所に入り込むと目を光らせた。文字通り目を光り…魔力の残滓を読み取っている。何年ナキート殿下と付き合ってると思ってるんだ。んん?大きなのベッドの奥の端の方に小さな扉がある。トイレの扉かと思ったけれど…扉に三重魔物理防御をかけてある。
ふーーん。みぃつけた~
「ここですね」
ロマンスグレーが少し身じろいだ。
「さすが、海斗の嫁っ!」
「変な煽りは要りませんよ!邑岡先輩」
「でもどうすんの~?それ暗証番号付のロックキーだよ」
私は藤河先輩の日に焼けた顔を見上げた。
そう、魔物理防御の他に現代風に暗証番号を入力する鍵がついている。フフフ…元嫁の能力を舐めるなよ。
まずは魔物理防御を解術する。そして暗証番号のボタンの魔力残滓を確認する。ボタンの上に残る魔力の跡…。そこから推察する数字は。嫌だわ…流石、ストーカー。前世の私の誕生日だわ。
ボタンを迷うことなく押した。ガチャ…と鍵が開いた。
「さ、流石!海斗のすべてを知っている嫁ちゃん!」
旭谷先輩の煽りは無視して、ガサ入れ現場に踏み込んだ。
部屋に踏み込んだ瞬間、紫陽花をバックに歩いている、ランドセルを背負った…小学校低学年の可愛い女の子が被写体の大きな写真が目に飛び込んだ!………私じゃないか!
「いつ撮ったんだぁぁぁ額に入れるなんてぇぇ!変態っ変態ぃぃぃ!」
急いで壁から高価そうな額を降ろして…写真を素早く剥ぎ取った。
「あぁ…ぼっちゃまが大切にしている写真がぁぁ………すみません」
私はロマンスグレーを睨みつけた後、素早く他の額に入っている『滑り台で遊ぶ少女』と『弟と手を繋ぐ少女』の額を猛スピードで額の台紙から引っ剥がした。ロマンスグレーが私の側で泣きながらオロオロしている。
そして、隠し部屋?のソファが置いてある正面には、明らか市民プールで水遊びをする少女…私のスクール水着姿の特大サイズの写真が巨大な額に入れられて壁にかかっていた。
「変態っ変態っへんたーーい!」
水着…しかもスクール水着の盗撮なんて最上級の変態がする最低な下劣行為じゃないか!
怒りに任せて風魔法と重力無効化魔法を使い額を壁から降ろすと、留め金を外し台紙から写真を剥がそうとした時に
「何をやってるんだ!」
と、超ド級のウルトラ大変態の元王太子の盗撮者が部屋に走り込んできた。
「ぼっちゃま…申し訳ございません。ま、麻里香様がロックを解除してしまって…」
「いいさ、甲本。嫁なら俺のトラップを解除出来ると思っていたさ」
トラップなんてあったか?! 大袈裟なことをいう元旦那だとも思いたくない変態め。
海斗先輩は手を私に向けて差し出した。
「嫁、それをこちらに寄越せ…」
「何よっ!これを破られたくなかったら他の写真をすべて出しなさい!」
私と海斗先輩はじりじりと間合いを測っていた。
「なぁ、自分の写真を人質に取って脅すのって変だな?」
「変だよね…」
旭谷先輩と邑岡先輩が何かゴチョゴチョ言っているが、それどころではない。
私はピリッ…と写真に裂け目を入れた。海斗先輩はピクッと眉を動かすと手を挙げた。
「分かった降参だ…好きにしろ」
私は、海斗先輩を睨みつけながら額の写真と本棚の盗撮写真大全集をすべて元旦那から取り上げた。
「こんな馬鹿馬鹿しいことに労力を使って何をされているんですかっ!ったく…」
本当に私が自分でも記憶にないくらいの時からの子供時代の写真がある。
元パパと手を繋いで某遊園地で笑っている写真もある。この時はまだ…仲が良かった…。ああ暗いこと考えちゃった。
「わあ~篠崎可愛い。これ何だろ?」
「劇かな?」
何だってぇ?私はソファに座って私の盗撮アルバムを見ている藤河先輩からアルバムを引っ手繰った。
こ…これは小学校6年生の時の文化祭で演じた某灰被り姫の意地悪な義理姉Aを演じる私ではないかっ!いやいや、ちょっと待てよ?他校の文化祭にわざわざ乗り込んで来て盗撮写真を撮ってるの?
「あの麻里香は可愛かったな~」
「そうでございますね」
思い出にふける元王太子とロマンスグレーを激しく睨みつけてからアルバムを捲ると、近影の私はスーパーで買い物かごを持って顎に手を当てて思案している顔ではないか…。
碌な写真じゃない…。どこのおばさんだよっ…。
私は積み上げたアルバムをチラッと見てから海斗先輩を見た。
「こんなにあるのを処分するのは面倒なので、取り敢えずは返却します。ただ壁に貼ってあった写真はこちらで回収します。それと残して帰るからと言って、外部に写真をばら撒く行為だけは絶対にしないと約束して下さい」
「勿論だ、俺の嫁の裸体を誰が他の男に見せるものか」
「裸体なんて載ってない!それにあなたの嫁じゃないぃ!」
何をキリッとして、お馬鹿発言をしているのよ。
すると、海斗先輩は、ロマンスグレーに入れてもらったお茶を飲みながら私にニヤリと笑って見せた。
「嫁はこんな所でモタモタしていていいのかな~?早くしないと一人留守番になってしまうぞ?」
何ですって?留守番?どういうこと?
私が問い質そうとして口を開きかけた時、携帯電話のメッセージの着信のお知らせ音が聞こえた。
携帯電話を見てみる。真史お父さんからだ。
『麻里香、今日は何時に帰ってくる?旅行の打ち合わせしたいから早く帰ってね♥』
文面の最後のハートマークがアラフィフのおじさんの狂喜を感じてしまう。どういうこと?
私の対面に座る海斗先輩を見る。海斗先輩は益々ニヤニヤしている。
「いや~連休の一人留守番は辛いなあ~」
連休…旅行…真史お父さん狂喜…。まさか…。
「麻里香の父上と母上は話の分かる御仁で助かった」
や、やられたーー!今日どこかに出かけてると思ったら…私の家かいっ!ギリッと歯ぎしりして元旦那を睨みつける。殿下のやりたいように飽きるまで付き合ってあげようと思ったけど…。
「くっ…帰ります!」
「おっ帰るか?甲本、送ってやって…」
「結構です!先輩方、今日はお付き合い下さいまして有難う御座いました」
愉快な仲間たちにお辞儀をするとダッシュで栃澤家を飛び出して、人気のない路地裏から転移魔法で我が家に飛んで帰った。
「お、おとうさん…ただいま!」
呼びかけるように家の中に声をかけながら、靴を脱いでいると真史お父さんが和真を抱っこして玄関にやって来た。
「あ、早かったな。さっきまで麻里香の学校の栃澤君が来ていてね、今度の連休で生徒会主催で体験学習をするそうなんだけど、栃澤君が担当しているグループの生徒さん達が大量に欠席してしまって…困っているんだってな」
「そ、そうなの?それで…?」
「うん、なんでも無人島体験とかで、自然を満喫出来る学習にする予定で飛行機の手配とか色々準備していたから今更中止にも出来ないんだって…」
「うん…」
「無人島と言ってもコテージもあるし、必要最低限の準備はしているから泊まる分には問題ないから…」
「から…?」
「是非欠席した生徒分の所をご家族で一緒に来て頂けませんか?だって!旅費とか諸々は生徒会持ちなんだって~いやぁお金持ちって太っ腹だな。で、麻里香パスポート持ってないだろ?早く作らなきゃ置いてけぼりだぞ、てへっ!」
おじさんの舌だしポーズを目の前で見せられて頭が真っ白になる。何もお父さんの痛々しいポーズで固まっている訳ではない。
栃澤 海斗の手際の良さ、嘘八百に眩暈がしているだけだ…。
「ねぇね…おぅ~」
最近喋りだした和真が私に向かって手を出してきたので、お父さんから抱き取って和真を抱っこしたまま居間に入る。
「お帰り麻里香。お父さんから聞いた?」
「聞いた~。ママは大丈夫なの?」
由佳ママは悠真と一緒に餃子の皮を包みながら、ものすごく嬉しそうだ。
「麻里ねえ、無人島ーだってね!」
悠真の顔は興奮で真っ赤になっている。彩香は音のなる絵本を押して遊んでいる。
「あ…翔真は?」
「サッカー。そろそろ帰って来るんじゃないか?」
すると玄関先で「ただいま~」と声が聞こえて、また真史お父さんは玄関先に移動して行った。
「ええ?!マジで!」
と翔真の叫び声が聞こえて居間に入って来るなり翔真は満面の笑顔で
「潜って魚獲りたい!」
と叫んだ。あ~あ…皆行く気満々ですね…。そうか…海斗先輩が前に5月の連休は無人島に行く…と言っていたのはコレを画策していたのですね…。
ドッと疲れた。
由佳ママの餃子作りと並行してレタス炒飯を作り、鳥からあげの黒酢和えを揚げていると、二階に海斗先輩の魔力を感じる。
もう、また勝手に人の部屋に入って来て…。
から揚げを作り終わると、二階へ行ってみた。
「勝手に入らないでくだ…あれ?」
入ったら海斗先輩はいなくなっていた。何しに来たんだ?
私の机の上に何か乗っている…何だろう?恐る恐る覗き込んだ。
魔法がかかっている…。白い紙…の上に術式が描いている。横にメモ紙が置いてあり『魔力を籠めてみろ』とかかれてあった。
怖い…なんだろう?術式に魔力を籠めた。
フワリと魔力が立ち上がったと同時にスラリとした若い男の人がこちらを見て笑っている。
「これ、ナ…ナキート殿下?ち…違う…似てるけど…まさかザイードなの?」
まだ20代くらいのその男の人はキラキラした金髪で大層格好が良い。帯刀してどこかへ出かける所なのだろうか、笑顔で何かを言って笑っている。ナキート殿下に似ているし昔の私にも似ている…。
これが大人になったザイードなんだ…この魔法、ナキート殿下が記憶しているザイードの幻影だわ…。
「幻術魔法ね。う…うん、うん。ザイードあなた格好良いわね…やだぁ…好みのタイプの男の子に育っちゃって…。嬉しいわ」
海斗先輩はこの幻術魔法を作って置いていってくれたのだわ。
私がいつでもザイードに会えるように…と。盗撮の変態行為で私の中の殿下の好感度がダダ下がりだったけれどコレでちょっと回復させてあげてもいいかな?ありがとう殿下。
月曜日
例の魅了魔法の駅前のケーキ店に行ってみた。
まだ魅了魔法はかかっているようだ。じっと店内を睨んでいても仕方がない、帰ろうかと駅に向かって移動した時に右横の路地から魔力の気配を感じた。
魔法ではない、純粋な高魔力保持者の魔力だ。何となくフラフラと路地に入って行くと路地裏になんとケーキ店があった。ちいさくて素朴な感じの店だ。
どうやら高魔力保持者はこの店内にいるようだ。
「いらっしゃいませ」
店に入ったら、高魔力保持者の魔力を肌で感じる。ケーキを見る。光り輝いている…ケーキの中に魔力が練り込まれているのだ。魔法じゃない。魔力のみだ。
これは魔力を持っている者には大変なエネルギーになる。そういえば前の世界で魔力の籠っている食べ物、魔獣肉や魔獣鳥などは大変な美味だったことを思い出した。
もしかして…。
「イチゴショート3つとチーズケーキ3つ下さい」
「はい。お持ち下さいませ」
そう言って出て来たおじさんから溢れんばかりの魔力を感じる。思わず魔質を診る。この人は潜在的な癒しの術師だわ。じゃあこのケーキ食べたら体にも良いはず…。
すると私の後からおば様が店内に入って来て、顔見知りなのか店の奥から出て来たおばさん…おじさんの奥さんかな?と話し出した。
「疲れたな~と思ったら林田さんのとこのケーキ食べたくなるのよね~」
「まあ、あはは。この間、孫にも言われたわ。おじいちゃんのケーキ食べると勉強捗るって!」
マダム二人はあら~やだぁ~と笑い合っている。
そうですよ?こちらのケーキには癒しの術師の魔力が籠ってますからね?
思わずニンマリ笑ってしまう。
良い店を見つけた。裏路地なのが勿体ないけど、構わない。
ケーキを受けとり足取り軽く路地裏から表通りに出た。
今日は皆でケーキを食べよう。絶対美味しいはずだ。




