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プロローグ


私の親…侯爵なのよね。私が王太子妃候補に推されても…まあ仕方ないのよね。


つまりは親と国王陛下が決めた相手…眉目秀麗のナキート=モッテガタード王太子殿下が私の旦那になった訳なのよ。まあそれも仕方ないのよね。


でも性格上、嫁になったからには王太子妃業務も仕事と割り切って、兎に角手も抜かずに頑張ったわ。ええ、自分で言うのも可笑しいけど頑張ったの。


「私…ナキート殿下の恋人なのですのよ?」


薄暗い廊下の片隅で…ソッと耳元で囁かれた言葉。綺麗な紅をさした伯爵家のご令嬢。


そう言えば13才の時にナキート王太子殿下から…私との間に愛は無いとか何とか…言ってましたっけ?


ああそうですか…。そうなんでしょうとも…。恋人がいたのね。なんだ…そうか。


妃候補から王太子妃になって5年…会う度に伯爵令嬢からチクチクと嫌味を言われる。


毎日毎日…小さく降り積もる負の気持ち。


当時、王太子殿下にも負の気持ちが向いてしまっていた。今思い返せば、もう少し王太子殿下に伯爵令嬢の事…色々と聞いておけば良かった、と思う。


そう聞いておけば良かった。


聞いておけばこんな場所でこんな時間に、赤っ恥をかかなくて済んだのだからっ!


「おいっ嫁!聞いているのかっ!」


「いい加減にしてよっ…あんたの嫁じゃないってばっ!」


朝の登校時、同じく学校に向かう同級生や先輩達から好奇の目を向けられる。


私の斜め後ろからぴったりくっ付いて来るこの男…元旦那…元王太子殿下ナキート=モッテガタード。


異世界で私はこの元王太子より先に死んじゃったんだけど…どうしてこうなるの?


私は何故だか転生してこの世界に誕生した。色々あったけど無事15才になり、高校に進学した。


そうしたら、何故か…


元旦那が同じ世界の同じ高校の一年先輩として存在していた。


私の高校の入学式の時…登校して来た私の前に立ち


「おいっ嫁!随分久しぶりだな!」


と声をかけてきた。目を疑った。顔は違うけど間違いなく殿下だ。どういうこと?何故こんなところで殿下?びっくりして固まっていると殿下は、爽やかな朝の空気の中大きな声で叫んだ。


「前は言ったこと無かったと思ってな!会ったら絶対言おうと思っていたんだ!愛してるぞ!ずっと愛してるからな!分かったか!」


高校生生活一日目で大注目です。この日から私のあだ名は『嫁』になりました。


その日から異世界を跨いだ元殿下&元旦那のストーカーに付き(まと)われています。

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