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29 やっと安心できました

だ、誰ぇぇぇぇぇ!!!この人、だれぇぇぇぇ!!

こんなキラキライケメン私は知りません!

わ、わわわ私の知ってるラヴィルさんは!良くも悪くもいつもマイペースでぬぼ〜としてて、眠そうなまったりした人です!

この人誰ぇえええええええ!!


心の中で絶叫するものの体はピキっと音を立てて固まる私にラヴィルさんはくすくすと笑いながら私の頬を優しく撫で続ける。

って、ラヴィルさんこんな笑う人でしたっけ?!!

こんな、ホットケーキにシロップとあんみつとキャラメルかけたような甘い顔する人でしたっけ?!

私の見間違いか?!錯覚なのか!?


「由奈」

「はいぃ!」

突然の呼び掛けに咄嗟に反応すると声が裏返ってしまった。

·····恥ずかしすぎる。もう色々といたたまれない。


そんな私を優しい眼差しで見るラヴィルさんは落ち着いた声で言った。

「僕の呪いは、解けたよ」と。


「··········え?」

聞こえてきた言葉の意味が理解できなくてあっけに取られる私にラヴィルさんはもう一度言い聞かせるようにゆっくりと同じ言葉を繰り返した。


「え、ほんと、ですか?な、なんで、え、いつ?」

「本当だよ。さっき、僕が首を切った時。」

意味がわからなすぎる。


なぜ、首を切ったら呪いが解けるのかもわからないし、そもそもあの時ラヴィルさんが首を切ったのはどういう意図があったのかも未だにわからないし、いつどうなってそういう状況なのか1ミクロンたりともわからない。


え、ん?ということは、ラヴィルさんは何か策があって首を切ったってこと?

んん?なんで?


クエスチョンマークで頭がいっぱいになっていると、ラヴィルさんが私の手を握った。

「まず、由奈が僕の呪いのことを知っているって言うのはロナン様から聞いた。」

その言葉で私が第一王子の方を見ると第一王子は頷く。

「由奈が行方不明になった後、シナンが協力すると申し出てくれてね。まぁ、その時に色々あったんだ。」

少し疲れの出た表情で第一王子が私にそう話す。


·····個人的にはその色々が聞きたいんですけど。

と、ツッコミたくなるのを我慢して私は取り敢えず頷く。

私だって珍しく表情に出るくらい疲れている第一王子に無理矢理話をさせるほど鬼じゃない。·····まぁ、後でしっかり聞くけど。

「シナンのおかげで陛下にバレることなくラヴィルの呪いについて詳しく知ることが出来た。そして、その時に僕達はラヴィルにかけられた呪いの解除の仕方を知った。」

その言葉に私は驚く。


いいニュースだ。うん。紛れもなくいいニュースには違いないのだけれどもね。

·····あの、正直急展開過ぎてここに一人ついていけてない人間がいるんですけれども。


必死にフリーズしそうになる頭をなんとか働かせる。

「え、えっと、その話と先程のラヴィルさんの行為にどう言った関連が?」

私の疑問に答えたのは当事者のラヴィルさんだった。


「僕の呪いを解くのに必要な条件は、自分の強い意思と聖女の力、そして仮死状態になる事だった。」

·····条件を聞いても全く意味がわからない。

ダメだ、今日の私の頭はぽんこつすぎる。壊れたパソコンだってもっとまともに仕事するぞ。


そんな私の表情を読み取ってくれたのかラヴィルさんは「つまり」と続けた。

「僕があの時、首を切ったのは呪いを解除する為。」


ポンコツな私にも分かりやすいように伝えてくれたその言葉に私は酷く安心した。

よかった、ラヴィルさんは命を絶つ為にあんなことをしたわけじゃないのだ、と。


「でも、予定ではあんな所でラヴィルさんは首を切るはずじゃなかったじゃないですか。私、すごくびっくりしたんですよ」

アリスちゃんが子供を叱るような口調でラヴィルさんに文句を言うのを聞いて私はとても驚いた。

「え、アリスちゃんも知ってたの·····?」

「はい。ここにいる人は皆知ってました。·····でも、あんな所であんな真似をするはずじゃなかったです。」

アリスちゃんの言葉に隣でグレンさんが頷いた。

「その通りです。私達がどれだけ驚いたことか。もっと場が落ち着いて、私達の状況が有利になってからだと決めていたのに、よりによって貴方がそれを無視してくれたおかげで私は動揺して負わなくてもいい怪我を負いました。」

グレンさんはそう言うとやれやれ、とでも言いたげに首を横に振った。

「·····ごめん。でも、あの時あの人に呪いの力で操られそうになって、思わず咄嗟に。僕が操られたら大変なことになるでしょ。」

渋々といった様子で謝るラヴィルさんをアリスちゃんとグレンさんの二人はむぅ、とした顔で睨みつける。

二人とも、とても可愛い。



·····そうじゃない。今、そう言うノリじゃなかった。

何、ちょっとほのぼのした空気流れてんだよ、私ばっか蚊帳の外にしやがって。寂しいじゃないか、コノヤロウ。


八つ当たりに近いような気持ちで私は「じゃあ、知らなかったのは私だけなんですね」と恨みがましくみんなを見渡す。

「·····ごめん。由奈には後でゆっくり話そうと思って。」

少し、しゅんとした様子を見せたラヴィルさんが可愛かったので私は仕方なく許すことにした。

「·····それで、具体的には何がどうなって今の状況なんですか」

ラヴィルさんに尋ねる。

「さっき言った通り、僕は急遽ではあるものの仮死状態になった。呪いを解くには仮死状態から聖女に治癒してもらう必要があった。それで、僕はアリスに聖女の力で治癒してもらったことによって呪いが解けたんだ。その過程で仮死状態になったから僕の魔法が切れて由奈が黒目黒髪に戻ったんだと思う。」

ラヴィルさんの説明によってなんとか私のぽんこつ頭でも何となく状況を理解することが出来た。

つまりは、全て計画通りだったわけだ。





私はとりあえず何も言わずラヴィルさんを叩いた。

何回も叩いているうちになんだかいろんな感情がごちゃ混ぜになって握っていた拳から力が抜けて、叩き方も弱々しい幼子のようなものになってしまった。

「由奈?」

戸惑ったようなラヴィルさんの声が聞こえたけど、知るものか。無視してやる。


無言で力の入らない手で叩き続けていると今度は涙腺が馬鹿になって涙が流れてきた。

もう何年も、もしかしたらもう十何年間くらい流していなかったかもしれない涙が流れてきた。


「うっ、うう〜」

歯を食いしばるものの、涙はポロポロと止まることなく流れる。

周りのみんなが困惑しているのが見えた。でも、止まらない。

だって仕方ないじゃないか。

すごく、すごく安心したんだ。


いきなり知らない世界で聖女候補だと祭り上げられて、少しずつ状況を受け入れ始めていた頃にまた意味のわからないことになって、国から狙われて。


やっと合流できた仲間は突然目の前で首を切るし、超越者とかいうよくわからない存在と会うし、もう、いっぱいいっぱいで。


やっと、安心できたんだ。もう、危害を加えられることは無いんだって。

いい歳しても怖いものは怖いし、不安なものは不安なんだよ。

計画を立てていたなら教えて欲しかった。そうしたら、こんなに不安にならなかったのに。目の前が真っ暗になるような恐怖に襲われずにすんだかもしれないのに。

本当に、ラヴィルさんが、みんなが死んじゃうかと思って怖かったんだよ。


たれてくる鼻水を啜って唸り声をあげながらラヴィルさんを弱々しく叩き続けていると、不意に私の拳が握りしめられた。

優しく、暖かい手だった。

俯いていた頭をあげるとそこには私を真っ直ぐに見つめるラヴィルさんがいた。

「由奈、心配かけてごめんね」

ラヴィルさんの言葉に私は何も言えずにしゃくり上げる。

「もう大丈夫だから。だから、もう我慢しなくていいんだよ。」


そう言うと、ラヴィルさんは私を抱きしめた。


なんだか、お日様みたいな人だと思った。





毎度、毎度あとがきが言い訳スペースになって心苦しいのですが、第一王子の言っていた「色々あった」は後日、他者目線で書けたらと思っています。私の筆力だとここにその話を入れてしまうと話が散らかってしまうので断念致しました。申し訳ありません。

また、私は息をするように誤字するので誤字報告とても有難いです·····。ありがとうございます。あとがきが長くなってしまいましたが、今回もお読みいただきありがとうございました!

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