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27 第二王子の気持ちを聞きました

「裏切った、ですか?」

私が尋ねると第二王子は頷いた。

「恥ずかしい話、俺は父上のやり方は最良の選択ではないと分かっていた。それでも、俺は父上をとめなかった。

·····止めることが出来なかった。」

唇を切れそうなほど強く噛み締める第二王子に第一王子が優しく背中を叩いた。

それに第二王子は、はっとしたように第一王子を見ると、何回か深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


その一連の動作に第二王子がどれだけの覚悟をしてこの話をしているのかが伝わってきた。

「·····俺は、昔から父上にパイネマはこの国の害だと言われ、育ってきた。幼い頃はその話をなんの疑いもなく、聞いていたが、大きくなってからは少しずつその考えに違和感を持つようになった。」

第二王子はそう言うと一度言葉を切った。

私はそんなに第二王子の話に首を捻る。

·····あれ?でも第一王子はあの王のことを正しいと思ってるって言ってなかったけ。

そんな私の表情に気づいたのか、第二王子は私に目を合わせると再び口を開いた。


「さっき言っただろう?俺は兄上のことを敵視していたんだ。

だから父上の考えを兄上が反対するようになってきてからは、僅かに持っていた違和感を押し込めて父上の言いなりになっていた。」

第二王子は目を逸らすことなく私に話し続ける。

その隣で第一王子がそっと目を伏せたのが見えた。

「でも、魔物がこの国に蔓延るようになって、聖女候補を召喚するという話にはさすがに俺も反対した。」

「·····何故ですか?」

私の問いかけに第二王子は薄く笑った。


「誰だって異世界から無理矢理人を召喚するなんてこと、冷静になればおかしいと分かるだろう?

でも、そのはずなのに、この国はそんなことも分からないほど腐りきっていた。

気づいた時にはもう遅く、俺一人の声では何も変わらなかった。その時に思い知ったんだ。自分の無力さと無知を。

·····止められなくて、すまなかった。」

「僕もその時にもっとちゃんと声を上げていれば由奈達はここに来ないですんだかもしれない。·····申し訳ない。」

第二王子に続けて、第一王子が頭を下げた。


そんな二人に私とアリスちゃんは顔を見合わせて笑った。

「·····別にいいんです。幸か不幸か私は向こうの世界に未練はありませんでした。それに、今はここに来られてよかった、って思えますから。」

私がそう言うとアリスちゃんが何回も頷いた。

「私もです。私は元の世界から逃げ出したいと思ってましたし、それにこの世界に来て成長することが出来ました。」

「しかし·····」

納得がいかない、という顔をした第二王子が尚も言葉を続けようとするので私はそれを遮った。

「確かに、この国に来た聖女候補が「帰りたい」と泣く可能性だってありました。どうして元の世界に帰してくれないのかと怒る可能性だってありました。でも今、こうして召喚された私達自身が気にしないで、と言ってるんですから、もう、いいんですよ」

そう言って笑うと、第一王子と第二王子はつられたように笑った。

「本当に君達は規格外というか、なんというか·····、僕達なんかよりよっぽど男らしい。」

第一王子はそう言うとやっと、少し顔を綻ばせた。


「うん、それじゃあ取り敢えず今はこの話は終わりにしようか。」

第一王子の言葉に第二王子は少しびっくりした表情をした後に戸惑いながらも頷いた。


「·····あの、それじゃあ私が黒目黒髪の状態であなたに会った時には既にもう王のやり方に違和感を覚えていたってことですか?」

私が気になったことを第二王子に尋ねると、第二王子はコクリと頷いた。

「実際、父上のやり方に違和感を覚えたのはずっと前のことだと言うのに、俺は自分のくだらない意地のせいでずっとそれを見ないふりをしてきていた。·····だが、向き合おうと思ったのは由奈、貴女のおかげだ。」

「·····え、私の?」

予想外のところで出た私の名前に驚いていると第二王子は「ああ」と答えた。

「由奈は初めて父上に会った時、父上に「うるせえよ、薄汚ぇ豚が。」と言っただろ?」


·····え、え、え?


一瞬、自分の心臓が止まったかと思った。


·····いや、まって、なんで、なんで今?!なぜ、今私の失態をこんな所で掘り返すんですか?!!

黒歴史です、それもう私の中の黒歴史です!!


パニックであわあわしている私に気づかず第二王子は微笑み続ける。

「あの時、由奈があそこまでハッキリと父上に暴言を吐いたことに最初は頭に血が上り、怒鳴りそうになってしまったが、あとから頭が冷えてわかった。父上は確かに客人に有るまじき行為をしたと。」

そう言うと第二王子は浮かべる笑みを少し寂しそうなものに変える。

「そんなことも正常に判断できなくなっていた自分にゾッとした。」

自嘲気味に笑う第二王子に突然の黒歴史で慌てていた私は、なにか声をかけようとするも上手な言葉が浮かばなかった。

そして、第二王子は再び話し始める。


「だから聞こうと思ったんだ。誰でもない第三者の貴女に。この国をどう思うか。この国を背負うものはそれだけの器があるのかどうか。」


·····第二王子、私のこと買い被りすぎですよ。

私、一市民でしかないし、なんならあの暴言だってイラついてつい、口から出てただけだからね?

恥ずかしいほどになんの思惑もなく、直情的に発言したからね?


密かに第二王子から向けられる真摯な眼差しにたじろいでいると、ラヴィルさんに手を引っ張られた。


あ、ラヴィルさんのこと忘れてた。

·····できるなら忘れたままでいたかったです。


再び、悟りを開く前に私はラヴィルさんに「どうかしましたか?」と聞くと「なんでもない」となんとも感情の読みにくい表情で言われた。

·····でも、手は離してくれないんですね。いや、嫌ではないんですけどね?


相変わらず掴みどころのないラヴィルさんに振り回されて、一周まわってなぜか落ち着いてきた私はある可能性を思い浮かべて、再び第二王子の方へ向き直った。

「あ、もしかして貴方が私の部屋の近くにいたのって·····。」

「ああ、そうだ。貴女に話を聞きたかったんだが、時間的に押しかけることも出来ずにどうしたものかとモヤモヤしているうちに勝手に足がそちらへと向かっていたようでな。」


なるほど。だから、あの時第二王子が私の部屋の前にいたのか。


私が納得すると第二王子は私の目を真っ直ぐに見つめて言った。


「そんな時に、黒目黒髪の姿でいる貴女と出会ったんだ。」






中途半端なところで終わってしまい、申し訳ありません。

恐らく、後日結合させます。

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