21 久しぶりの再会です
今回、短めです
本当に城に入れるのかドキドキしながら裏門をコソコソと通ると、なんの異常もなく入れたので私は密かにほっと息をついた。
相変わらず繋がれたままの手を意識したらいいのかなんなのかよく分からないまましばらく2人で歩いていた。
「ゆなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
と不意に、前からドドドドドと地響きのような音が聞こえてきた。その音の方向へ目をやればそこに居たのは物凄い形相で向かってくるアリスちゃんだった。
「え、な、なに?!」
怯える私にアリスちゃんは全速力で近づいてきた。
そして訪れる体への衝撃。
「ごふっ?!」
おおよそ女性らしからぬ声を上げて尻もちをつく。そして、私の腰にはアリスちゃんが抱きついていた。
·····え、どういう状況?
「由奈さん!由奈さん!!無事でよかった!!」
「え、あ、うん。」
混乱したまま呆然と返事をすると、後ろから遅れてグレンさんがやってきた。
「由奈様、ですよね?」
自信がなさげなグレンさんのその言葉に私は今の自分の色彩を思い出した。
あぁ、そうだった。今私、ラヴィルさんに魔法で髪と目の色変えてもらえてるんだった。
私がコクリとグレンさんに頷くとグレンさんは「アリス様、一旦落ち着きましょう。」と声をかけた。
グレンさんの言葉にアリスちゃんは顔を上げた。
「あ、ご、ごべんなざい"!わ、わだし、つい、うれしぐでぇぇ」
「私も、アリスちゃんが無事でよかった」
凄い顔になっているアリスちゃんの顔を洋服の端で拭いながらそう応えるとアリスちゃんは抱きつく力を強くして「はいっ!」と何回も頷いた。
「·····本当に、無事でよかったです。」
いつの間に近くまで来ていたグレンさんがしみじみといった。
「本当に、本当にご迷惑おかけして申し訳ありません。」
アリスちゃんの背中を撫でながら私は頭を下げる。
「いえ、こちらも状況は把握しております。色々と大変でしたね。」
労わるように優しく微笑んでくれたグレンさんに目頭が熱くなった。
「っ、ありがとうございます」
私はグレンさんにもう一度頭を下げた。
◇◆◇
「え、えっと、あの、何がどうなって今の状況に至ってるんですかね?」
お互い落ち着いてきてグレンさんの「なにかお聞きになりたいことはありますか?」という問いかけに私はそう答えた。
隣ではまだ鼻をジュビジュビと啜っているアリスちゃんがいる。
「·····どこからお話すればいいのか。」
困ったように眉尻を下げるグレンさん。そんな姿もお美しいです。
「·····グレン、今ここで全部を話してる時間はないよ。多分そろそろ由奈がいた所に城の人達が来る。」
そんなグレンさんに側にいたラヴィルさんが声をかけた。
「あ、えっとじゃあとりあえずお話を聞くのは後でにします。·····ちなみに、これだけ聞かせてください。皆さん、私がパイネマだってことはご存知なんですか?」
「やっぱり、パイネマなんですね?」
グレンさんの確認するような響きに怯えながらも私は頷く。
「ほらね」
と、その隣でラヴィルさんがそう呟いた。
·····えっと、どういう意味だろ。
その意味深な一言が気になっているとラヴィルさんは「まあ、そこら辺は後で話そう」と話を切りあげた。
「今は僕の魔法で外から僕達の存在を認識できないようにしているけどそろそろ魔法もきれる。だから早くしないと」
ラヴィルさんはなんともなさそうに言ったけれど私はその言葉にとても驚いた。
いつのまに魔法使ってたんですね!!っていうか、だから私達こんな堂々とここでずっと喋っていられたんですね!
心の中は大興奮をしながらも表情はきちんと引き締めて私は「というと?」と聞いた。
「詳しく話してる時間はないけど恐らく魔法が切れたら僕らがここにいることは直ぐにバレる。ここに兵が集まるのも時間の問題だよ。」
しっかりと私の目を見て話すラヴィルさんの目に少し気圧されていると隣のグレンさんが頷いた。
「私達はいま、一か八かの大勝負を仕掛けようとしています。ですから、一分の隙も見せないでください。」
「·····はい。」
思わず唾をゴクリと呑む。
·····一体、これから何が始まるというのだろう。
お読みいただきありがとうございました!




