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10 クッキング再び・・・

「ゆ、由奈様!!大丈夫でしたか?!」

しばらくして先に硬直が溶けたのはグレンさんだった。

「え、あ、ん?た、多分大丈夫、ですね。」

「っていうか、あれはどういう意図があったんですか?そもそもなんであんなに殿下と打ち解けてるんですか?!!」

「いや、私もよくわかんないっす!」

「はぁぁ?」

困惑しまくってるグレンさんを見ながらふと、グレンさんはラヴィルさんの呪いについて知っているのか気になった。

「あ、の、グレンさん」

急にもごもごと口篭る私をグレンさんが不思議そうな顔でみる。

「なんですか?」

「あの、グレンさんって・・・、その、ラ、ラヴィルさんの・・・」

「はい?」


私が言おうか言わまいか迷っていると、目の前から見覚えのある人が歩いてくるのが見えた。

「え、あれ?ラヴィルさん?」

「あ、由奈。」

目の前まで歩いてきたのはまさに今、話そうとしていたラヴィルさんだった。ラヴィルさんは少しの間、虚ろな目をしてこちらを見ていた。

「ラ、ラヴィルさん?」

・・・今歩いてきた方向って私たちがさっき行った王様が居る部屋がある方向からだよね?・・・まさか呼び出された?

「由奈はロナン様と話してたんだよね?楽しかった?」

「えっと、ロナン様って・・・?」

少し生気の戻った目でラヴィルさんに問いかけられた私が困惑しているとグレンさんが「殿下の名前です」と教えてくれた。

見るとグレンさんも少し困惑したような様子でラヴィルさんを見ている。って言うことはグレンさんもなんでラヴィルさんがここにいるのか知らないのか・・・。

戸惑いはするもののラヴィルさんの問いに答えない訳にも行かないのでとりあえず私は頷く。

「まぁ、楽しかったですけど・・・。ラヴィルさんはなんでここに?」

「んー、ちょっと用事。」

「・・・そういえば、貴方も由奈様が呼び出されたあと、侍女に何か言われてましたね。」

「うん、まぁね。」

曖昧に頷いたラヴィルさんは私たちに背を向けた。

「こんな所で話してないで早く帰らないとじゃないかな。あの子、今1人でしょ?」

ラヴィルさんに言われて気づいた。ラヴィルさんの言っているあの子とはアリスちゃんのこと。確かに今ここにグレンさんとラヴィルさんと私がいるってことはアリスちゃんひとりじゃん!

「そうですね、部屋に戻りましょうか。」

とりあえずまだ、引っかかることは幾つかあるけどいまはアリスちゃんの元に帰って考えをまとめよう。

きっと、心配してくれているだろうから。


私はラヴィルさんの言う通り、部屋に戻るために廊下をあとにした。


◇◆◇


「アリスちゃーん?部屋入るよ?」

「あ、由奈さん?!おかえりなさい、大丈夫でしたか?」

アリスちゃんの部屋にグレンさんとラヴィルさんと3人ではいると奥からアリスちゃんがパタパタと走ってきた。

「うん、大丈夫だったよ。アリスちゃんは?1人の間大丈夫だった?」

「もう!由奈さんったら!!私だって1人でお留守番くらいできます!」

アリスちゃんは私の言葉にぷくっと頬を膨らませてプンプンと怒る。

安定のかわいさ。


あまりの可愛さにしばらく頭がショートしていると隣でグレンさんが「え゛」と驚きの声を上げたのが聞こえた。

「グレンさん、どうしたんですか?」

グレンさんはどこか一点に目線集中させたまま話し出す。

「え、あの、アリス様・・・、その『草』は何に使うためにそんな大量に?」

驚いた私はグレンさんの目線の先を追う。

・・・確かにあった。机の上にカゴに入った大量の『草』が。

「え?!何に使うって食べるに決まってるじゃないですか!これ、意外と美味しいんですよ!」

アリスちゃんの言葉に場に沈黙が降りる。

「・・・は?」

そして、やっと発せられた音はグレンさんの「何言ってんの?」とでも言いたげな声だった。あのラヴィルさんさえも若干、引いている。

「・・・ア、アアアリスちゃん?!それ食べるの?!その、明らかなる草を?!それ、雑草だよね?!」

私の言葉にアリスちゃんは心外そうな顔をしてその『草』が入ったカゴを大事そうに抱える。

「え〜、由奈さんまで。これ、本当に見た目以上に美味しいんですよ?ちょっと酸っぱいですけどシャキシャキしてますし。」

・・・え、なんでこの子こんなにその草を推してくるの?もしかして元の世界ではこれも野菜の1種だったの?それだったら納得だけど・・・。

「アリスちゃんの世界ではこれはみんな食べていたのね?」

「あ、いえ!元の世界でもあんまり食べてる人はいなかったですね!私は食べるものがない時によく道端に生えてるのを引っこ抜いて食材にしてましたけど。お城を探索してる時に見かけてつい、懐かしくなっちゃって・・・。」

・・・うん。やっぱりそれ正真正銘雑草だね。道端に生えてる時点でもう雑草だね。

「・・・アリスちゃん、それポイしてきなさい。」

「え!なんでですか!!」

「お腹壊しちゃうかもしれないでしょ?」

「う・・・、で、でも!私、いままでこれを食べてお腹壊したことないです、よ?」

しゅん・・・、と効果音がつきそうなくらいに落ち込んだアリスちゃんはそれでもなお、小さく抗議した。

いや、どんだけその草好きなの?・・・いや、でも草はだめでしょ。雑草説濃厚だしね。

「アリスちゃん、また炊飯器でなんか作ってあげるから、それは食べちゃダメ。分かった?」

と、その言葉を聞いたアリスちゃんの顔が途端に明るくなった。

「え!!また何か作ってくれるんですか?!!」

「ええ、その草を食べないって約束するならね。」

「・・・わ、分かりました!!か、悲しいけどこの葉っぱはもう食べません!」

「うん、いい子ね。じゃあ、グレンさんまたキッチンおかりしてもいいですか?」

私たちのやり取りに若干押され気味だったグレンさんが若干引きながら「ど、どうぞ。」と答えてくれた。

「それ、僕も食べていい?」

と、今はまで黙って成り行きを見守っていたラヴィルさんがボソッと呟くようにそう言ったのが聞こえた。

「え?もちろんですよ!皆さんで食べましょうね!」

というか、私は元々みんなで食べる予定だったんだけどな。

なんて思いながらラヴィルさんに笑いかけるとラヴィルさんは何故か少し安心したようにほっと息をついた。

「うん」

そして、それから照れたようにどこか擽ったそうに、はにかんだ。

正直、あのはにかみは天使かと思った。つーか、天使。さすがラヴィルさんです。


◇◆◇


ということで、昨日ぶりですね。

私による3分クッキングもどき〜!いえーい。

はい、という冗談も程々しておいて、と。

今日は前回とは違って主菜を作ろうかな、と思います。

材料は砂糖、醤油、みりん、少量のにんにく、片栗粉、豚肉、えのき、草・・・じゃなくて白菜です。

目の前には目を爛々と輝かせるアリスちゃんと、なんだかんだ言って興味ありげにこちらを見てくるグレンさん、そして炊飯器のことになるとちょっとやる気が出るラヴィルさんがいる。


私はそんな3人を見て心の中でごめんね、と謝る。

期待させて悪いけど今回も地でずぼらをかましていこうと思っております。つまりは単純作業。小学生でも簡単に出来ちゃうよ。

「さて、じゃあまずは白菜をちょうどいい大きさに切っていこうか。アリスちゃんも手伝ってね」

「はい!!」

どうやらアリスちゃん、前の世界では継母達に料理をつくらされていたらしくて慣れた手つきで白菜を切っていく。

私もその間に豚肉を袋に入れてにんにくと醤油で下味をつける。肉を漬け込んでいる間に私はえのきを手でさく。


「うん、こんなもんかな。」

だいぶ全体的に味が染み込んできたっぽいので私は豚肉を袋から出してアリスちゃんに炊飯器の中に白菜を入れるよう、頼んだ。

それと共にえのきと下味のついた豚肉も入れる。

あとは、醤油、みりん等々で味を整えたら、蓋を閉めて早炊きスイッチを押す。

「ま、まさか・・・」

グレンさんの唖然とした声が聞こえたので私はその言葉に意地悪が成功した悪ガキのような笑みでこたえた。

「はい、ご想像通り今日もこれで終わりです。」

ね?単純作業しかなかったでしょ?



それから数十分後、炊飯器から炊きあがりを知らせる陽気な音楽が鳴ったので私達は炊飯器をあけた。

「うわぁ〜!いい香りですね、由奈さん!」

アリスちゃんがくんくんと匂いをかいで顔をほころばせる。

「そうね、なんかお腹すいてきた・・・。」

そんなにお腹がすいているという自覚はなかったのにこの香りをかいでいたらお腹がすいてきた私はやっぱり『あれ』をつくっておいて正解だったな、とニンマリ密かに笑う。

「もう食べていい?」

待ちきれない、というようにラヴィルさんが聞いてきた。

「あ、ちょっと待ってくださいね。仕上げをするので!」

私はラヴィルさんに声をかけながら水溶き片栗粉を炊飯器の中に入れる。

まだ、出来たてでホカホカの白菜達の中に水溶き片栗粉を入れると、みるみるうちにとろみがつき始めた。

「こっちの方が美味しそう・・・」

私におあずけをくらってうずうずとしていたラヴィルさんは思わず、っといったように呟く。くふふ、そうだろう、そうだろう!とろみがつくとさらに美味しそうに見えるだろ!だがしかし!!それだけではないのだ!

「あと、皆さんお腹どれくらいすいてますか?」

「私はもうぺっこぺこです!!」

私が聞いた瞬間にすぐ胸を張って大きな声でアリスちゃんが宣言をした。・・・アリスちゃん、さっきから思ってたけど食い意地はってるよね?まぁ可愛いけどね。

「私も、お恥ずかしながらこの香りをかいでいたらお腹がすいてきてしまいました」

少し困ったように申し訳なさそうにグレンさんが笑うので私は「やっぱり、香りをかいでしまうとそうなりますよね!!」と同志を見つけた喜びを爆発させた。

ラヴィルさんは、と言うとみなまで言わなくてもわかるだろ?というような顔でこちらを見ていたので「お腹、空いてますよね?」とラヴィルさんにだけ断定して聞くと案の定、「うん」というお言葉が返ってきた。

やっぱり、皆さんお腹空くよね!

ということで・・・、

「じゃーーん!実は私も結構お腹すいちゃったんで、麺を貰って焼いてみましたー!」

私は叫びながら密かに作業していた麺を出した。

さすがにこの麺はフライパンで焼いたけど、ごま油で焼いたから香ばしい匂いがする。

麺は焼きそば位の太さの麺で、それを軽く焦げ目がつくくらいに焼いてある。

「これに、このあんかけをかけて・・・」

私は麺の上にとろりと白菜の餡をかける。

じゃん!なんちゃってあんかけ焼きそばの完成!

「おお、それをかけるんですね!とても美味しそうです・・・」

ゴクリ、と喉を鳴らしたグレンさんに私は満足してドヤ顔で他の人の麺にもあんかけをかける。

ご飯にかけて丼にしてもよかったんだけど、この世界お米があるか怪しいからなぁ。とりあえず麺とパンがあるのは分かってたので今回はあんかけ焼きそば風にしてみました!

全員の前にホカホカと湯気をたてるお皿を置いていく。

「それじゃあ、食べましょうか」

「はい!」

「うん」

「こういう時は、いただきます、ですよね?」

グレンさんの言葉に私は大きく頷く。


「そうです!それでは、いただきます」









明日は20時投稿になるかもしれないです。

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

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