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1 気づいたら異世界召喚

よろしくお願い致します!

最初、何が起きたのか理解できなかった。


やっと終わった一大イベントに精神ゴリゴリに削られて頭抱えて落ち込んでたはずなのに、気づいたら何かやたらキラキラした部屋の真ん中で座り込んでいて。

目の前には同じくキラキラしている奇抜な色の髪の人たちが恭しく膝をついていて。

私の隣にはこれまたキラキラした金髪でライトグリーンの瞳の美少女がポカーンとしていて・・・。


・・・この情報だけで状況を理解するとか無理ゲーすぎます。



◇◆◇


・・・おうちにかえりたい。


高松 由奈。社会人3年目。

ただ今、絶賛美男美女に囲まれ中です。

隣にはさっきのパツキン美少女が私の洋服をガッツリと掴んで離しません。

もう一度言おう。おうちにかえりたい。


おかしい、おかしすぎる。だって私はつい30分くらい前まで、家にいた。精神はゴリゴリに削られてたけど、こんな映画のセットみたいな所にはいなかった。

ここどこだし。あの人たち誰だし。ってかなんでこうなったし。

湧き出てくる不満やら不安を押し込めて私はやたらフカフカしてやたら豪華なソファに座っている。

隣にはパツキン美少女。

パツキン美少女は不安げに頼るようにこちらを見てくるけど私はこんな美少女に見覚えはない。

見たところ私より年下で多分15、16歳くらい。

・・・本当にどういう状況?


目の前のキラキラした人達はなにかを早口で喋ってる。

見た目こそ日本人ではないけど、喋ってるのは日本語のようだ。ただ、ボソボソと早口で喋ってるから話の内容は分からない。ていうか、私達2人は何故か完全に放置されてる。

なにこれ?放置プレイ?放置プレイなのか?


なんて馬鹿なことを考えて現実逃避しているとくい、と袖が僅かに引っ張られた。

「あ、あの・・・」

か細いながらも可愛らしい声の方向を向くとパツキン美少女が大きなに瞳に涙を浮かべてこちらを見ていた。

なに?ぐうかわなんですけど。この目、宝石で出来てるんですか?私の濁った目と大違いなんですけど。


「あ、あの・・・!」

どうでもいいことをつらつら考えていると自分の声が聞こえていないと勘違いしたパツキン美少女が少し大きな声で私に呼びかける。

「あ、ごめん。どうしたの?」

っていうか、こんな異国のお姫様みたいな子なのに日本語喋れるんだぁ。ハーフなのかな?


感心しながらも美少女の呼びかけに応じると美少女は少し驚いた顔をした。

「パ、パドゥラドゥー語が喋れるんですか・・・?!あ、あの!ここはどこですか?どうして私はここにいるんですか?」

矢継ぎ早に質問してくるパツキン美少女だけれども、うん、えーとね、ひとつ聞いていいかな?


パドゥラドゥー語って何?

っていうか、ごめんね。私も聞きたいよ。ここどこだよ。


まぁ、流石にそのまま言うと目の前の美少女ちゃんが泣き出してしまいそうなので(というかもう既に半泣きだけど)私はオブラートに包んで優しく伝える。

「ごめんね、私もよくこの状況は分かってないんだ。あと、私からしてみるとそのパドゥラドゥー語?っていうのは日本語っていう言語に聞こえるんだけど、あなたが住んでいた国の名前なのかな?」

私の言葉に美少女ちゃんは少しだけ瞳を潤ませて頷く。

「わ、私はパドゥラドゥー王国に住んでるアリスと言います!あの、私本当に何ももって無い平民で・・・、早く帰らないとお義母様たちに怒られてしまうんですけど、どうしたら・・・」


そのまま俯いてしまった美少女ちゃん、もといアリスちゃんの瞳からはポツポツと堪えていた涙が流れていた。


うーん、可哀想だし、帰してあげたいのは山々なんだけど、っていうか、私も速やかに帰宅したいんだけどこの人たちが何者なのか、ここがどこなのか、何が目的なのかがわからない限りは下手に動けないんだよね・・・。

多分今までの扱い的に悪いようにはされないと思うけど。

私は静かに俯いて涙を流すアリスちゃんの頭を撫でた。

うぉ、サラサラやな、この髪。


アリスちゃんを慰めながら、どうしようかと考えているうちにサラリと自分の髪が視界に入って私は今の自分の格好を思い出した。

・・・私今、思いっきり日本人顔なのに翠のカラコン入れて金髪のウイッグ被ってる・・・!!

私は頭を抱え込みたくなるのを必死に抑えて心の中だけで悶える。

は、恥ずかしすぎる!!こんな天然美少女ちゃんの隣で奇しくも同じ色彩で、のっぺり顔が・・・!!

恥ずかしさで死ねる。


加えて今の私はどこぞのお嬢様のように少しフレアの入ったお上品な黒のワンピースを着ている。

耳には可愛らしいピアスをつけて。

・・・違う、違うんだ。言い訳を、いや、弁明をさせて!

この格好は会社の宴会の罰ゲームなんですよ!

別に普段からこんな格好をしてるわけじゃないんです!!私は嫌だって言ったんですよ?!所詮日本人ののっぺり顔に金髪翠目はキツいって!でも罰ゲームだから、って無理やり・・・!

しかもそのまま帰宅しなきゃいけないという鬼畜条件までついていた。そのせいで帰り道、どれほど心をえぐられたか・・・。

くそっ。あのクソ幹事、しっかりとした衣装まで用意しやがって・・・!しかも誂えたようにサイズがぴったりって言うのがむかつく。さすがにこれで帰るのは勘弁してくれって頼んだのに「上司命令で〜す」ってヘラヘラしてるのに目だけ笑わずに言われたら着るしかないでしょ!あれ、パワハラだぞ!

あの上司、自分が楽しく過ごすためならならなんでもするクソ上司だから!!

思い出すとまた落ち込んできた・・・。

いろんな意味で本当に頭を抱えたくなっていると突然、部屋の扉が空いた。


そこで、「わぉ、びゅーてぃふぉー!」と叫ばなかった私を褒めて欲しい。

扉から入ってきたのは私がいたたまれなくなるくらい美男美女しかいないこの空間の中でも、比にならないくらいの美男だったのだ。

ただ、雰囲気を見る分にはなんて言うか・・・、眠そう?とにかくぽやーんとした美青年。今流行りの無気力男子ってやつですかね?

瞳は暗めの灰色で吸い込まれそうな色をしている。髪は日本人のように真っ黒だった。つやつや、サラサラで天使の輪っかも出来ていて圧倒的女子力で負けている気がするけど、その黒髪には親近感を覚える。金髪のウィッグを被って何言ってんだよ、って思うかもしれないけど中身黒髪黒目の日本人なんで。


美青年は眠たげな目で、そのままゆっくりと部屋を見渡した。

この人はこの人でやたらキラキラした服を着ているけど儚げな見た目とは裏腹に周りの人は美青年を見て体を強ばらせる。

・・・お?まさかのこの人がボスですか?

意外な展開にビックリしながらもとりあえず状況理解を最優先させる。んーと、やっぱり誰かしらに質問するのが1番手っ取り早いよね。


早速私が、ずっとヒソヒソと何かを話していた人たちに話を聞こうとした時、部屋に入ってきた目麗しい美青年は相変わらず眠そうに「こんにちは、ようこそスティル国へ」と儚げな見た目にぴったりのイケボで話しかけてきた。


一つだけ質問です。


・・・いや、だからさぁ、スティル国ってどこですかぁぁ?!





毎日投稿目指します。明日もこのくらいの時間に投稿しようと思っています。お読みいただきありがとうございました!

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