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こころのすみの半透明分

作者: はじ

 若葉からのぞいている

 眉間は苦渋の果皮をかぶり

 青空

 製氷皿に流しこみ

 氷冷、熱傷

 物ともせずに

 群れ立つ青を泳いでいて

 潰れる赤を眺めていた



アソート

 街中を歩いている

  きみもお前も僕たちも

  みんなそろっているか

 街中を歩いていた

  きみもお前も僕たちも

  みんなそろっていた



 す

  ら

   い



遮光瓶

【いらないから ひかりはもう はいらないから】



ムスカイボリタンテス

 今年はよおく

 蚊がとびおるので

 かとりのせんこう

 たいて

 まぶたのうえに

 おいて

 おいたのだよ



凝り

 もうこりたのなら

 こごえてないで

 こっちにとけなよ

 ねぇかきごおり



落下傘

 自堕落なぼくは

 パラシュートを忘れたので

    誰よりもはやく

       地上についた



馬蹄鉄

 正午になると彼女は

 パカパカ走って

 いってしまったのです

 あとに残るは

 U字の蹄鉄と

 王子さまづらした

 彼の馬



カステラ

 死んだじいさんが

 あの皮みたいやつ

 ずっと集めている



風切り

 諸手の羽で風を切り

 世情風潮立ち向かう

 単簡行路を掠め飛び

 風聞気流を一刀両断

 雲海一散立ち消えた

 空を綺麗に研きゆく



雨覆

 発天垂下した雨粒は大気つぶさに和合して、放光、流散、飽き足らず、ビニル輪郭被覆して、弾いた露命の一部始終、沈まない、沈まない、もう沈まない、その余韻はもう沈まない



球根

 なんやよお分からん球根もろたんで鉢植えにうっちゃっておいたんですが、なんも起こらへんのでそろそろ捨てよかと思っとります。



マカロニグラタンディウス

 こんがり焼いたやつだ!

 マカロニグラタンディウスは

 言った

 食った

 闘った



うんでい

 くもになずまるほしほしのゆくへ

 どろどろのせいざがずっとみえてる



爪きりきり舞い

 セミのうるさい夜に

 バシリ、バシリと

 爪を切り

 セミにぶつけて

 夏を終える



石鹸

 清潔の塊みたいな居住まいが大嫌いで

 お前なんて良い匂いのする石ころだからな

 と言い聞かせながら入念に手を洗う子供でした



ゴーストライト

 不定形幽体の羅列

   (まだ言葉ではない)

 視覚変換

   (言葉に置き換えて)

 書く

   (言葉を)



それは素晴らしく美しく夜のこと

 電灯の明かりの下を

 息を止めて走り抜けた

  たったそれだけで

   こころのすみの

    半透明の部分が

       はげしく燃えた



絵葉書

 葉書の金魚が

 あなたに宛てた文字を

 ぜんぶ食べてしまい

 一向に書き終わりませんので

 涼しくなったら

 またあらためて

 書きますね



避雷針

 ビカッ

  バ

   チ

  バ

   チ

  バ

   チ

  ド

  カ

  ン

  !



どしゃ降り

 晴れのち

 曇りのち

 飢餓のない

 自己満足の

 圧倒的な

 言い訳の

 その のちに



花飾り

 もう会えませんか

 などと

 くちにしてみては

 花飾り

 作ってみたり

 してみたり



げじげじ

 そんなにも憐れむのなら

 早くひねりつぶしておくれ



発泡スチロール

 げんなりとした顔を

 億劫げにむしり取り

 子どもらに配る彼の名

 発泡スチロールパンマン



紙戦闘機

 夏休みのたびに

 投げやりな手つきで

 感傷的な折りづる

 ああ

 ぼくたちは

 はやく

 戦争がしたい

夏になって散歩をしながらつくった言葉のなにかです。

詩なのかも分からないですが、どこかに属さないとどうやらやっていけないみたいなので。

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