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前置き
異世界ラゴラディバリウスでは、闇というのは光と同じく神聖なものである。
このニュアンスを説明するのは難しいのだが、静謐とか同化、調和というものが価値観の上位にきているのではないかと思う。
そういうわけで、大陸の東端にある魔法大国ムーンスレイブ王国でも、暗黒魔法と剣技を修めた一族シャリアール家が世襲で暗黒騎士という役を担っている。
僕は以前ムーンスレイブに異世界転移してしまい、そのシャリアール家の一人娘で暗黒騎士見習いの騎士と三年ほど冒険をしたことがある。
長い長い旅路の果てに、なんとか日本に戻ってくることには成功したのだが、その時の縁がまだ切れておらず、シャーロットは一週間に二回くらい次元の壁を超えて遊びに来るようになってしまった。(暗黒魔法の奥義が異世界との境界を超える扉を生みだすとかいう都合がいいような悪いような代物だったのだ)
お陰で週に二回くらい、金髪碧眼の美少女を夕飯に連れていかねばならない。