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短編集

おはようを君と(ヤオヨロズ企画)

作者: 瑠音


 そろそろ寝た方が良いと思うんだけど……。


 君って朝に弱いでしょ?


 それに、明日は早番だから早起きしないといけないんだよ?



 そんな僕の心配をよそに、君は少し微笑みを浮かべながらスマホを弄り続ける。真っ暗になった部屋の中、布団にうつ伏せに寝転んだ君は、まだまだ寝る気配がない。


 君が夜のこの時間を楽しみにしていることは僕もよく分かっている。毎晩のことだからね。

 楽しそうな理由はなんだろう?

 誰かと連絡を取り合っているのかもしれないし、イヤホンをしているから好きな音楽を聴いているのかもしれない。

 結局僕には分からないけどね。


 そんなことを考えている内に、君はようやくスマホを置き、一瞬僕に触れてから布団に潜り込んだ。時計の針は0時10分を指していた。明日の朝が不安で仕方ないけど……というか、もう今日の朝になるのか。まあ、ひとまずはおやすみ。ゆっくり休んでね。



***



 カーテンの隙間から少しずつ光が漏れてきた。小鳥のさえずりも聞こえてくる。

 そろそろ起きる時間だ。君を起こさないと。


『起きてー』


 まずは控えめに君を起こす。君は全く気づかない。

 ほらね、起きれないじゃん。

 昨日あれだけ、夜更かししたからだよ。


『ねえねえ、起きて』


 まだ幸せそうに眠っている君。

 いやいや、君のその寝顔は好きだけど今はそんな顔してもダメだからね!?


『ちょっと、そろそろ起きてってば!!』


 少しずつ強めに起こすと、君の眉間にしわが寄ってきた。

 それでも、もぞもぞとして目を開けようとはしない。


『もう!!起きないと遅刻するよっ!!』


「んーっ……!!うるさいっ……!!」


 そう言って君は、僕の頭を思いきり叩く。

 その瞬間、僕の声も止まる。


 ……痛い。

 というか、君がこの時間に起こしてって頼んだのに、そんなに強く叩くことないじゃん!!

 壊れても知らないよ!?


 君は再びもぞもぞと布団に潜り込む。そして、少しすると寝息を立て始めてしまった。


 ああ、もうダメだ。


 でも、僕は必死に起こしたからね。


 僕が声を出せるのは、朝の一時だけしかないんだから大事にしてほしいよ。


 そう考えながら君の寝顔を見つめる。


 カチッ……カチッ……。


 むなしく鳴り響く僕の音。




 はあ……今日も寝坊だ。





今回は『目覚まし時計』で参加させていただきました。


そういえば、私の友人は目覚まし時計がどれだけ鳴り響いても起きない人だったなぁ……。

それに、今ではスマホのアラーム機能を使うようになってしまって目覚まし時計もあまり使わなくなったよなぁ……。

そんな思いから書き上げました!


ちなみに作者は、目覚ましが鳴る1分前に起きることが多いですね(*´∀`)


素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 目覚まし時計さん。まるで少年のようで可愛いです! 数ある場面の中でも、"君"'の寝顔を見つめる所が好きです。 本心では起こしたくないと思っているのでは、と考えてしまいました。 [一言] …
[良い点] 『僕』すごく可愛いです。 [一言] いつもとかなり雰囲気違う作品ですね。こういった一風違う書き方の小説も面白いです
[良い点] 目覚まし時計くんが可愛かったです。ほのぼのした感じで良かったです。 [一言] 自分が設定しているのに。あるあるですね。 寝起きの悪い私にとって、目覚ましは、夜の自分と朝の自分の戦いです。…
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