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凡人が、優等生に?─2
─1時間目 化学─
文系人間の苦手筆頭。なんだ化学式って。元素記号って。ちゃんと言葉で説明してくれ。図とかだと余計にわからなくなっちゃうよ。
「なーに暗い顔してんだよっ!」
「…」
信也のことに構っている暇はない。この化学をどう乗り越えよう。あー、化学が得意だったらこんなこと思わないんだろうなー。
「…じゃあここは、夜神。解いてみろ」
「げっ」
「ほらほら~。夢生の見せ場だぜ~」
信也にそそのかされながら、その場に直立し、黒板に提示された問題を確認する。
…ん?あれれ?なんかこれ、簡単じゃない?
「NaCl」
「正解だ。さすがだな、夜神」
当たった。先生に誉められるなんて、いつ以来だろうか。
「やっぱやるなー、夢生!」
「いやいや、たまたまだって」
「そうやっていってるけど、いつも当たってるじゃん!」
…いつも?え、こっちだと僕かなりの優等生なの?──