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凡人が、優等生に?─1
「朝のホームルームは終わり!ちゃんと授業受けるんだぞ~」
担任はそう言うと教室を後にした。呑気なものである。
─真庭高校─
私立の進学校で、部活動より勉強に力を入れている。そのため運動部より文化部の方が多く、僕は文学部に所属していた。運動は苦手である。
「夢生!1時間目移動教室だから一緒に行こーぜ!」
こいつは中学からの同級生、朝野信也。サッカー部に所属し、勉強もそつなくこなす。文武両道少年だ。
「おう。教科なんだったっけ?」
「お前の大好きな、か・が・く」
「嘘だろ…」
先ほども言ったが、僕は文学部に所属していた。進学校の生徒といえど、どの教科もできるようなやつはごく一部である。僕も例外ではなく、文系教科──国語や英語しかできない。ましてや化学なんて。頭が痛い。
…そういえば、なにか変だ。ここ、夢の世界だよな?てっきり僕は転入生として入ると思ってたんだけど…
「早くしろよー」
「お、おい!引っ張んなって!」
とりあえず、1日過ごしてみることにした──