7話 店
外に出た後は当てもなくぶらぶら歩く。ルースの店は裏路地にあり、格好が貴族のよう......って貴族なんだけどね......なのでテンプレのように、最初の一回だけ絡まれたが全て返り討ち....どころか半殺しにしたため、もう絡んでくるやつは、いなくなった。
大通りにでたら、やはり朝方なのかまだ準備中がおおかった。
はぁ、仕方ない。散歩するか。そう思って歩き出した。
少ししたらぽつぽつと、開店している店が増えてきたので、果物を売っている店を訪ねる。
「おはようございます。」
「ああ、おはよう。お使い?」
ぐ、まだお使いする歳のような見た目なのか....
「まぁ、そんなとこです。」
と、当たり障りのない答えを返しておく。
「......あ.......これください。」
まるで苺のような果物を見つけた。どんな味何だろう?と、思い買う。
「レフチね、......どうぞ....ありがとうね」
といわれ外に出る。朝はあまりがっつり食べたくないのでこれで十分だ。
早速レフチを食べて見る。
「いただきます。」
この世界では、いただきますは、言わないみたいで無言で食べ始める。だが、すこし癖がついてしまうとなかなか離れない.......
そんなことを考えながら一個目を口にほおりこんだ。
「.......!.......すっぱ.....」
すっぱいが、レモンのように、酸味が強くなく、そのあと甘味が、残る。とても癖になる味だった。
「うまい.....」
どんどん口にほおりこんで、10個近くあったレフチも、なくなった。意外とやみつきになるな、また今度買おう。
「ふう、」
と、一息着いたその時、
「あれ?イズラか?」
声が聞こえた。まさか.....
「おー!やっぱりイズラだったか!」
あ~めんどくさ......
「何だよバリー、とっととルースのボロイとこ、行かなくていいのか?」
そう今朝少し話題に上がったルースのところの弟子だ。
赤い火のような髪。それが、ツンツン頭なので、本当に火みたいだ。目は釣り目で髪と同じいろ。顔はそこそこ整っていてイケメンって感じ。チャラそうだから女の子からは敬遠されがち何だとか。ちなみに19歳。背は180くらいかな。
俺より後に入ったので、弟弟子となるな。まだ雑用。
火の魔法が得意だが、戦闘は苦手だから鍛治屋になりたいんだと
「なんかあそこにいると病気にかかりそうで.....で、どうした?何時もより遅いみたいだが。」
こいつは若干潔癖症なのか.....戦闘出来ないのもそのせいなのか?
「今朝飯食ってたんだよ。.....ふぁ~眠.....」
「なんか何時も眠そうだよなイズラは.....」
「そろそろ行かないと遅刻だぞ、お前は何時もぎりぎりだから、こんなとこで道草食ってんなよ」
「うわ!まずい、そろそろ行かないと、じゃ後で!」
やっとどっか行ったか.....さて...と....行くか商業都市アーガラムに、
そう考え目の前に、次元の歪みを創った。
★★★★★
「着いたか」
呟く。アーガラム内の裏路地に出た。なんか裏路地にいることが多いな。そう考えて周りに人がいないことを確認した後、光の屈折を正常に戻し、姿が、見えるようにする。
アーガラムは此処、トラソル王国で、一番物と言う物が一番集まる場所だ。その理由はこの広いトラソル王国のなかの丁度、ど真ん中に位置しているからだ。もとは、街と街との中継街だったそうだが、かなり前の領主が、中継貿易を始めたため、このように発展した。といわれている。
前世でいう琉球王国だな。
で、さっきやった次元の歪みも光の屈折も、全て魔法だ。ま、当たり前か。
次元の歪みは、世界を強引に歪ませることで、ある地点と、ある地点を繋ぐ魔法だ。これは、世界を歪ませるため消費するMPが、尋常じゃなく、一回で、10000以上も使う。だが、応用もきいて、物ごと世界を歪ませれば、物は原型を残さず必ず壊れる。いや、消える、が正しいか。そのため生き物なんかにやったら必殺だな。だがこれは、物を巻き込まないようにすることも可能で普段は巻き込まないようにしている。普段から巻き込んでたら歪みを作るごとに天変地異だからな....
光の屈折は、まあよくある光化学迷彩とゆうものだ。
現段階では、攻撃魔法は開発していない。剣術のレベル上げに集中したかったから。
そのため単手剣術は、9、両手剣術は、7になっていた。
どちらもゲームでいう敵Mobに対して実戦を行っていた。現実で、初めて殺気を受け、殺したという感覚を知ったが何ともなかった。明らかに相手が格下ということが、わかったから冷静でいられた。同等か、それ以上ならどうなっていたか分からない。
殺した後はゲームみたいに消えることはないので、剥ぎ取る必要があるが、解体の技術なんて知るよしもなかったので、燃やした。
.....たまに火力を間違えて、森に燃え移してしまったが.....
さて、商業都市と呼ばれる此処に来た理由だが、ヒヒイロカネを買いにきた。本当ならば、鉱山から採って来たいのだが、新しい鉱山を見つけるのも一苦労だし、既に国有化している鉱山を掘るための許可を国から貰えるとも思わないので、仕方なく買うことにした。
買う量は、この世界の一般的な剣に使うヒヒイロカネの量の、約100倍。これを二本分。
先程話したと思うがこの世界のヒヒイロカネとして売られている金属は、不純物が混ざりすぎてヒヒイロカネ自体が1~5%しか含まれていないからである。これは、この世界で、ヒヒイロカネを精錬する事ができるものがいないからである。ステータスの問題もあるが、鉄でさえも、純度50%を超える物で、鍛えられた剣は、なかなかないのである。つまり、まだこの世界の精錬の技術は低い事が考えられる。というより低い。
二本分は、一本だけ世の中にだしたらどうなるか、これを実験したい。もちろん性能は落とす。
それにぶっつけ本番で成功できると思うほど自惚れてはいない。
一生使うことになるかも知れないので、現段階の最高の剣にしたい。そのために魔法付与をカンストした。そのうえ、魔力を鎚にこめて打つ、魔法鍛治も覚えた。魔法鍛治は、主に魔剣や、魔槍などを作るためのもの。因みにこの技術は古の高名な鍛治屋しか使えなかったらしい。
で、ルースが前言ってた店は............まずい..........迷った。
くそ、地図がテキトー過ぎなんだよ.....
後で必ず文句言おうと、心に決めて、ある魔法の発動準備をする。この魔法は周囲の地形などを一瞬で把握出来るが、今回のように大規模となると準備が必要となる。
また、[未来予知]と併用することで、どこで何が起こるかまで完全に把握出来るが、今は必要がないのでやらない。
.....よし、できた。.......[把握]......
よし、頭の中にアーガラムの全体図が入ってきた。ルースが言ってた店は、と........あった。ちっ、何だよ反対方向じゃねえかよ.......面倒な.......
戻るか.....
でっけぇー
第一感想がこれだ。ものすごく大きい。
なんか看板にローラール商会本店て書いてあるし......
ま、いいか。扉を開けて中に入る。
扉は音が全くといっていいほどしなかった。ルースのとこに慣れるとこっちの方が新鮮だな。
「いらっしゃいませ」
店員と思われる人が頭を下げてくる。へー、教育が徹底してるのかな。
「ヒヒイロカネってここにある?」
店員が、驚いたような顔をして、
「ありますが.....どうしてですか?」
と、質問で返してきた。何故当たり前のことを聞く? あ、まだ10歳にも満たない子供がヒヒイロカネを求める方がおかしいのか。じゃ、しょうがないか......
「うん、使うからだけど......それよりもどのくらいあるの?」
「え?....あ、え、ええと、正確な値はわかりませんが、おそらく、在庫の分だと、100kg程度だと.....」
kgというのはこの世界の重さの単位。他にgがある。鉄の比重が、だいたい8[g/cm3]だったので読み方が違うだけ。
100kgか.....比重は鉄より軽いくらいだから.....6[g/cm3]ぐらい、剣一本の体積は約3600cm3(長さ120cm、厚さ2cm、幅15cm)で、必要なヒヒイロカネはだいたい21,6kg。よって一本作るのに市販されているヒヒイロカネ(金属)は、2160kg必要......ぐ、鉱山を見つけた方が早いかも.....
「そんなもんですか。......少ないですね。」
「え?」
「失礼します」
そういって外に出る。
「............はぁ~、仕方ない......かぁ。」
そう呟いて[把握]の準備を始める。範囲はこの世界全域。使う魔力は.....半分。
[把握]後即座に検索をかけ、その結果のみを表示。検索内容は「ヒヒイロカネの鉱石が、存在。」
....................準備完了。発動...[把握]
一気に身体から魔力が抜き取られている感覚がある。この1年で、相当増えたんだがな......
......[把握]終了、続けて検索を開始。..........完了。検索結果、該当85。その内ラウニ大陸、トラソル王国に存在.....12。余った情報は、必要なとき用に保存.......完了。
よし、出た。12個か.....思ったより多いな。そのうち国有化されていないのは.....3つか、一番大きいのは......ペリゴール鉱山か、そこそこ近いが?何故国有化されていない?問題が有るとみたそうが良さそうだな。
念のため攻撃魔法を用意した方が良さそうだな。
ペリゴール鉱山は、今度にしよう。