記憶喪失からの始まり
拙い文章ですがどうぞ、宜しくお願いします。
ここは……どこだろう?
気付いたら深い深い森の中にいた。見える範囲には木と草、岩しかない。上を見上げてみれば木の背丈は相当高く、そこから伸びる枝と葉の隙間から木漏れ日があった。
これだけでここがどこかわかる訳がないよ。それにボクは何をしていたんだろう?ボクは誰?
考えれば考えるほどわからなくなった。知識はいくらかある。けれどボクが欲した事は何も思い出せない。
そうか、これが記憶喪失ってやつなのかもしれない。
それにしても、お腹空いた。何か食べないと、今にも食欲と言う本能に理性が負けてしまいそうだ。
ボクはフラフラと歩きだす。何故だろう?そう思いふと自分の足を見る。するとそこには鱗がつき、鍵爪の生えた強靭な足があった。膝部分にも鍵爪らしきものがある。
あぁ、これをうまく扱えてないのかもしれない。
そこでボクは自分の腕も同じく鱗がつき、長い爪が生え肘付近にも鍵爪がある事に気づく。あらためて全身を見回すと自分の身長と同じくらい長い尻尾があったり、足先から腰付近まで鱗があったり、頭には後ろ向きに両方に3本ずつ角があったりした。
自分とはこんな存在だったの?と思った。でも、不思議と違和感なんてものは無かった。むしろ、あってホッとしたかもしれないくらいだった。
それでも、慣れていないのか分からないが歩きづらかった。だからフラフラとこけそうになりながら木の間を歩いていく。
しばらく歩くと血の匂いが漂ってきた。甘い匂いで食欲が刺激される。ボクは血の匂いが漂ってきた左の方向に向きを変えて走りだす。
この人外の足の脚力は凄まじく、すぐに血の匂いの元へとたどり着く。
そこには、血を流しながら倒れた1匹の鹿と2匹の狼がいた。
流れる血を見た瞬間、理性と言うブレーキは効かなくなった。
手の鋭い爪で1匹目の狼を切り裂き、長い尻尾で2匹目をひねり潰す。戦闘と言うより、強者の蹂躙だった。
2匹目を鹿の方へ投げるとそのまま1匹目の狼を手足で押さえつけ、鋭い歯で噛み付く。魔力を保持していたのだろう。あっさりした後味で不味くはなかった。2匹目の狼は、1匹目とは違う魔力を持っていて、コッテリした味だった。これも不味くはなかった。
そして、鹿は狼より魔力が多くあったらしく、1匹目の狼と同じくあっさりした味だったが、こちらのほうが数段美味しかった。
食欲が満たされ、ハッとなり周りを見ると木は血で赤く染まっていた。地面も所々に血の水溜りができあがっている。これだとボクは赤く染まっているかもしれない。
それより、なぜ魔力なんてものがわかったんだろう。なんで美味しいと思ったのだろう。
少しの間考えたがそんなことわかるはずもなかった。でも、結論をだすとしたら、この体が欲したからなのだろうか?
その後しばらく歩き続け、日が暮れてきた頃に滝壺を見つけ、水浴びをしてから近くの木の上で尻尾を使い体を固定してから眠りにつくのだった。
あれから1ヶ月ほどは同じ様な生活をした。
起きて、食べて、探索して、寝て、と言う感じで。歩くのに慣れたり、背中に自分の体より大きな竜の翼が生えているのに気付いたりと少しづつ変化はあった。
でも、今日は違う。
今日は知識の中にあった人っていう生き物を見つけたんだ。これは大きな発見だど思う。
森をかなり移動してきていた。途中で草がないところがウネウネ続いているところがあった。最初それが道だとはわからなくて、隠れてずっとキョロキョロ見ていた。しばらくすると、両手で大きな箱を抱えた女の子が歩いて行ったんだ。ボクはそれが気になって、一定距離をあけ、見つからない様について行った。何故かテンションもあがっていた。そしてそこから更に少しも歩くと開けたところに立派なログハウスが建っていた。小さいお屋敷と言ってもいいくらいの大きさだ。
デカっ……と、ボクが思っているあいだに女の子は、その家の前で箱を置くとノックをしてドアを中の人に開けてもらい、また箱を持ち上げ家の中へ入っていった。
どうしよう、凄く気になる。
よし、なら行ってみたらいいじゃないか。
ボクは女の子のマネをするように、ちゃんと2足で歩いていく。
そしてドアの前に立ち、力加減をしてコンコンと2度ノックをする。
ドアからそう離れていなかったのだろう。ドアはすぐ開いた。
ドアを開いたのはさっきの女の子ではなく、眠そうで不機嫌そうな顔をした寝癖のついた長髪の黒髪を持つ若い女の人だった。
更新頑張ります(汗)