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異世界転移で魔王の身体にされました  作者: 鳴海 蒼
第1章 魔術師になるということ
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4話「初めての魔術」

 

 拷問に等しい、全身の激痛にひたすら耐えるという苦行。こんな事になるなら、あの魔導書を起動させるんじゃなかったな。

 気を失えれば、どんなに楽だろうか。気絶さえ出来ない、この頑強な身体が今は憎らしい。



 魔術師覚醒術式が終了した際、誰がどう見ても真白は心身の疲弊によるやつれが如実に表れていた。が、マビノギは構わずにこう尋ねた。真白の反応をみて、自身の新しい所有者の器を確認する為だ。


「マスター、お身体の調子はいかがですか?」


「あ……終わった? 本当に?」


「はい、術式完了しました。魔力を感じる事は出来ますか?」


「ああ、出来るぜ。だが、調子と気分とお前への心証は最悪だ。お前を燃やす魔術があったら教えてくれ。全力で覚えるぜ」


「やる気満々ですね。では、術式の訓練を兼ねて、食料調達といきましょうか。私に着いてきて下さいませ」


 (私に頼るのは歓迎ですが依存されてはマスターの将来的によくありませんので自身で行動するのが当たり前だと思うよう、疲弊している間に思考誘導しておきますかね)


 言うやいなや、魔導書はさっさと扉を出て行ってしまった。

 早速とか、性急だなと思わず苦笑してしまった。

 慌てて追いかけていると先程までの疲弊感が徐々に抜けていく不思議な感覚を味わった。って、凄いな! どういう仕組みだ?


 また、魔導書は道すがら魔術について説明してくれた。

 魔術を使用すると魔力を消費する。消費魔力は術式で異なり、体力を消費する術式もある。

 魔力は時間経過と休息により回復する。戦闘中に回復するには魔術師の魔力を奪うことのみ。

 治癒術式は怪我や病気は回復するが消費した体力はそのまま。

 魔力が枯渇した際の弊害は魔術が使えなくなるのみ。致命的な状態らしいが。


 話を聞いているうちに目的地に到着したようだ。目の前に透き通った綺麗な川があった。道中で獣の類は見ていない、小鳥や虫はいたが攻撃的な生物は避けて進んでいるんだろうな。俺、突発的な事態に戦闘出来るかわからんしな。


「では、術式行使で魚を獲ります。先ずは魔力弾と呼ばれる初級術式をやってみましょう。内なる魔力を体外に放出する『そうぞう』 をして、想像力が創造力になるときに術式が発動します。この想像力と創造力は全ての術式に通ずるので常日頃から感性を研いて下さいませ」


 これも仕組みはわからんが言葉だけなのに単語の意味合いが理解出来る。魔力線調整と契約に関係していると思われる。後で聞いてみよう。


 魔力弾ねぇ、男子たる者なら誰しもが憧れた経験があるだろうエネルギー放出。勿論、俺も練習した口だ。


 身体から魔力を感じ、自身の内側から体外に放出する想像をし、創造にまで至らせる。


「魔力弾」


 無事に術式発動したらしく、俺の左手から拳大ある魔力の塊と呼べるものがふよふよ浮いていた。


「なかなかの創造力ですね。では、川に向かって撃ち出して下さいませ」


 魔導書に言われた通りに魔力弾を川に命中するとバシャアアアと川の水がはじけ、大きな水飛沫が上がった。想像以上の威力に驚いたが2匹の川魚が陸に上がり、呆気なく食料確保。


「威力も問題ないですね。次の術式は魔力弾に属性付与です。通常の魔力弾は無属性と呼び、属性付与で威力が上昇します。比較的に容易なのが火、水、風の3種類ですね。付与したい属性を強く意識して試してみましょう」


「任せろ」


 その後、魔導書に指示される属性の魔力弾を創造しては撃ち出し、創造しては撃ち出す繰り返し。属性付与には何度か失敗したがある程度は出来るようになったと思う。自身で術式名称をつけるのは創造力の為に大事だと言われたので属性魔力弾はそれぞれを火弾、水弾、風弾と名付けた。

 初撃の影響で付近の魚が逃げたのか、最終的な成果は5匹確保だった。獲りすぎても食えないし、丁度いいだろうな。魔力弾をくらった魚は死んでるのでリリース出来ないしな。


 魔導書に解析の魔術を使ってもらい、魚に毒が含まれてない事を確認し、獲れた魚は周囲に落ちていた木の枝を集め、火弾で火をおこして焼き魚として食べた。そこそこ美味しかった。調味料がないのは不満だったが。

 最初、威力調節に失敗し、集めた木の枝が消し炭になったのでまだまだ練習の必要性は感じてしまった。


 暗くなる前に小屋に戻る必要があると告げられ、行きと同じように魔導書の後を着いて小屋に戻ると、魔術を使って疲れたのかそのまま床に仰向けになり、眠りに落ちた。



 『真白の使用可能魔術』


・魔力弾→無属性、火弾、水弾、風弾

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