まさかの……
「ルイス。頑張ってきてね」
「ああ」
私はルイスにエールを送った。だが、その時だった。
「私達も貴方達について行こうと思うの」
…………えっ? えっ? 私の聞き間違いだろうか? そう思い、周りを見渡すと皆、唖然とした顔をしていた。静まり返る室内にシルルだけが平然としていた。
「シッ、シルルさん! シルルさんもルイスと一緒に行っちゃうの⁈」
私はシルルの側に急いで行き、問い詰めた。私だけを置いて行くつもりなのかと不安に駆られたのだ。
「私はどうなるの? 一人で暮らすの?」
その言葉に彼女は首を傾げた。
「……えっ? 貴方も一緒に行くのよ」
「えっ……?」
今度は私が首を傾げる番だった。目の前の彼女が何を言っているのかわからなかった。
「一緒に行くって……どういう意味?」
彼女の言っている意味を把握するためにもう一度、問いかけた。
「そのままよ……私とニーナ、そして……ルイスはこの二人について行こうと思っているわ」
その言葉に焦り始めたのはヴィルグだ。
「……はっ? おい、おい、おい、おい……本気か?」
「ええ……私は嘘は言わないわ。一緒に行かせて欲しいの」
その瞳に嘘はない。シルルは本気で彼らについて行く気なのだ。ヴィルグは困ったように頭を掻いた。だが、そんな彼とは真逆にサキは楽しそうに笑っていた。
「リーダー。別に良いんじゃないですか? 俺は楽しそうだから賛成ですよ」
「…………」
「それに、他の仲間も歓迎すると思うよ。特にニーナとルイスは……」
私達が特に歓迎されるとはどう言う意味なのかわからないが、この流れはきっと彼らについて行くのだろう。
「ルイス」
「何だ?」
「これからも一緒だね……」
「俺の涙を返して欲しい」
「それは、私のセリフだよ」
口ではこんなことを言っているが、彼の表情は嬉しそうだった。その証拠に彼の口角が上に上がっている。
「…………わかった」
ヴィルグは渋々ながらに了承した。その言葉にシルルは私達に向かって微笑んだ。
「……先に俺達は船に戻って、薬草を届けてくる。その後にお前達を迎えに来るから、待ってろ」
「本当に迎えに来るの?」
私の問いにヴィルグは頭を撫でた。
「俺は嘘はつかねえよ」
「本当に?」
「当たり前だろ。心配なら、サキをここに残しておく」
その言葉に私はチラッとサキを見ると、にっこりと微笑まれた。
「今日からよろしくね」
そんなサキに一応、手を振り返すと、彼は抱きついてこようとしたので避けた。その後、すぐにヴィルグに頭を叩かれていた。
「じゃあ、俺は先に行く。俺が戻って来るまでに準備してしておけ」
その言葉に私達は頷いた。そして、彼が家から出て行くと、私達は必要な物の準備を始めた。その間、サキは私とルイスの側で「何を待って行く?」「それも、持っていかないの?」など話しかけて、邪魔をしていた。そのせいで、ルイスが怒っていた。
「俺達の邪魔をするなよ! お前は大人しく座っておけ!」
「えー。俺も一緒に仲良く準備したいー」
「お前の私物は何一つないだろうが!」
「あっ! そうだったね。あははははは!」
だが、サキはルイスに怒られても楽しそうに笑っていた。そして、何を言っても無駄だと思ったルイスはサキを好きにさせ始めた。そのせいで、私にまで構い始めた。
「ニーナちゃん、ニーナちゃん」
「何ですか?」
「構って」
とうとう言葉に出した彼に私は呆れたような視線を向けた。だが、その視線をものともしない彼はニコニコ笑っている。
「…………この本でも読んでいて下さい」
私もそんな彼が面倒くさくなったので、薬草の図鑑を彼に渡した。それを受け取った彼は椅子に腰掛けて静かに読み始めた。そんな彼をチラッとだけ見た後にすぐに準備を始めた。




