変な二人組
私はシルルさんの後ろに隠れながら、縄で縛られた二人をジッと見つめた。
「怪我はないようで安心したよ」
彼女の魔法によってボコボコにやられたはずなのに笑顔でそんな言葉が吐けるなんて……。
「もしかして……M?」
「ちっ、違うよ! というか、子供がそんな言葉を使っちゃ駄目だよ。それに、そんな蔑んだ目も向けないで!」
若い男は表情が豊かだ。コロコロと変わる表情から、彼が明るい性格だとわかる。それに、サラサラの髪に整った顔立ち。モテそうである。そんな彼の隣に座っているのは髪を無造作に一つにまとめているが、隣の彼よりも飛び抜けて顔が良い。それに、珍しい褐色肌だ。ジッと見つめていることがバレ、目がしっかりと合った。
「すまなかった。人がいるとは思わなかったんだ……」
軽く頭を下げて来た彼の視線から逃れるようにもう一度、シルルの後ろに隠れた。彼らは彼女の魔法に一切抵抗しなかった。
「……貴方達は誰?」
シルルの声はその場を一気に冷やした。それに若い青年が背筋を綺麗に伸ばしたことから彼女の顔はかなり冷たいのだろう。
「勝手に敷地内に入ったのは悪かった。こちらも事情があったんだ」
若い男の代わりに答えた彼の言葉にルイスが口を挟んだ。
「こいつら、何かを植えたって言っていた。それがわからないともな」
ルイスの言葉に二人は反応したことから嘘ではないと思ったシルルは何かを考え始めた。
「どうしたの?」
「…………部屋に戻りましょう」
私とルイスの手を引いて、部屋に戻ろうとした。勿論、縄で縛られた二人を置いてだ。
「あっ、あのー。おっ、俺たちは……?」
若い男の言葉は虚しくも空気に消えた。その証拠に扉は無常にも閉まった。
「リッ、リーダー……」
涙目になりながら、隣の男を見ると深いため息を吐いていた。
「面倒くせー事になった……」
身体に巻かれた縄を力づくで外そうとするが、びくともしない。
「何で、こんなに硬いんだよ」
当たり前だ。二人を縛っている縄はシルルの魔法がかかっているからだ。どんなに抜け出そうとしても難しい。その事に頭を悩ませている二人の様子を窓から見ていた。
「……あの人たち誰だろうね?」
私の言葉にシルルは「誰かしら?」とだけ答えて、謎の草をジッと見つめていた。ルイスは私と同じように二人を見つめていたが、飽きたのか本を読み始めていた。
そして、二人が来てから数時間は経ち、日が暮れようとしていた。私はどうしても彼らが気になって、窓の外を覗くと未だに縄と戦っていた。
「そろそろ、ご飯の時間だね」
その言葉にシルルはご飯の支度を始めようとしたが、ルイスが彼女を止めた。彼もここ数日で知ったのだ。彼女が作るものが二回に一度炭になることを……。
「美味しいねー」
温かなスープを口に運び笑顔でそういうと、ルイスが嬉しそうにする。私の言葉にシルルも頷いた。
「外の人もお腹、空いてるかな?」
「……変な奴らのことは無視しろよ」
私の言葉にぶっきらぼうに返すルイスと何も返さないシルルから、外のことは気にするなということだろう。
「でも……」
それでも、外の二人が悪い人には思えなかった。例え、無理やり結界を破って入って来たとしてもだ。
「わっ、私のスープ、あの人達にあげてくるね」
椅子から立ち上がり、スープの器を持とうとした手を掴まれた。
「ルイス? 私の分をあげるんだよ」
そう言っても彼の手は離してくれない。すると、シルルが立ち上がり、別の器にスープを二つ注いだ。
「そのスープはニーナの分よ。子供はたくさん食べないと……」
彼女の言葉にルイスは静かに頷いた。彼は私が食べないのが嫌だったようだ。そのため、私は静かに椅子に座り直した。それを見た彼が私から手を離した。
「…………私達が食べ終わったら、届けましょう」
シルルはチラッと外を見た後にもう一度、ご飯を食べ始めた。
一方、外での二人はニーナの予想通りお腹を空かしていた。
「リーダー! お腹すいたー!」
「うるせー」
若い男の言葉に隣の彼は面倒くさそうな顔をしていた。




