謎の草②
「暇だね……」
とうとう彼から返事を返してくれなくなった。そのため、隣を見ると横になって寝ていた。
「背中、汚れるよ」
そう言っても、彼は目を開けなかった。ただ、気持ちよさそうに寝ていた。
「………………」
そんな彼を見ていたら、悪戯心が発動してしまう。彼の頬を人差し指で突いたりしてみる。すると、彼の眉間に皺が寄った。それがおかしくて、もう一度突いた。すると、彼の目が開いた。
「…………何、してんだよ……」
「えっ……えへ?」
「えへ? じゃ、ねえよ……」
起き上がった彼に頬を摘まれた。
「いひゃい、いひゃいって……」
「これに懲りたら、寝ている間はちょっかいをかけるなよ……」
寝ている間だけなら、起きている時はいいのだろうか? そんなことを思いながら、何度も頷いた。そんな時だった。少し離れた場所から声が聞こえて来たのだ。それに反応したのはルイスだった。
「シッ」
口元に人差し指を当てて私に黙っていろと指示した。そのため、両手で口を押さえて何度も頷くと、私の手を引いて物陰に隠れた。
「リーダー。……どこに植えたのか思い出しましたかー?」
「ここら辺だった気が……」
「うろ覚えとかやめてくださいよー」
その声色から男性二人組だとわかる。ルイスはかなり警戒しているようだ。
「ルイス」
「静かにしてろよ」
二人で小さな声で話しているが、よく考えればこの場所は結界を張っている。そのため、ルイスにもここが安全だと説明した。
「結界?」
「シルルさんがそう言っていたよ」
私達は場所を移動して声がする方に向かって歩いていく。すると、声が近くなって来た。
「睨まないでくださいよ。貴方のせいなんですからね」
「前は結界を張ってなかった。もしかしたら、この結界の中に植えたかもしれない」
「えーー」
二人の様子は仲がいいように見える。一人は声が低く、背丈が高い。もう一人も彼よりも低いが同じように背が高い。声はそこまで低くない。むしろ、若く感じた。そして、今は私が子供だからかもしれないが、二人がかなり大きく見える。
「結界……壊すか……」
声が低い方がそんなことを言い出した。私とルイスは顔を見合わせた。
「えっ? リーダー。もしかしたら、他人の私有地だったらどうするんですか?」
「こんな森に好き好んで住む奴がいるかよ。盗賊とかだろうよ」
この森に好き好んで住んでいるものがいます! 声高らかに叫びたいが、今はそれどころではない。
「シルルさんを呼びに行こう!」
その言葉にルイスも頷いて、急いで部屋へと戻ろうとした時だった。大きな爆発音が響いた。そして、砂埃と共に強い風に襲われて小さな身体は軽く飛ばされた。ルイスと共に。
「あーあ。こんなに派手にして……」
呆れた声の若い男と彼よりも年上の声が低い男が砂煙から現れた。そして、若い男が私たちの存在に気づいた。そして、驚いたように目を見開いた。
「うっ、うわーーーー!!」
そして、その叫び声がうるさいというように耳を抑えた声が低い男も私たちに気づいて一瞬にして顔を青ざめた。二人はまさか結界の中に小さな子供が二人いるなど想像もしていなかったのだ。
「お前達は、だっ、誰だ!」
私を背に隠すように前に出たルイスは現れた二人を睨みつけた。だが、二人は私達にゆっくりと近づいき、土下座した。
「ごっ、ごめんねー。怪我はない? 大丈夫?」
「すっ、すまない。怪我はない、か?」
若い男は泣いており、もう一人の声が低い男は声が震えていた。そして、そんな二人の男の後ろにシルルが立っていた。だが、その顔は信じられないほど冷めており、私はルイスの服を無意識に掴んだ。
「貴方達……子供達に何をしているの?」
その姿はまるで般若のようだった。




