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弟の居場所

「ニーナ。おいで」


 シルルに呼ばれて走っていく。だが、未だ人の戻り方がわからない私は四足歩行だ。


「準備はできたか?」


 ユナが欠伸をしながら、家へとやって来た。昨日、騎士達が帰った後にシルルから話を聞いたユナは彼女の弟の元へ共に行くと言い張ったのだ。理由はシルルだけでは子供二人の面倒は不安らしい。


「そうね……大丈夫よ。準備はできているわ」


 そう言っても彼女は準備が下手だ。朝起きたら、彼女はまだ寝ており、無理やり起こした。それに、髪が大きく外にはねていた。このままでいいと思うわ。なんて言っていたが、ルイスが整えてあげたため、サラサラだ。本当は私が口で櫛を持って頑張っていたのだが、いつまで経っても終わらないため、痺れを切らしたルイスが「俺がする」と言って変わってくれたのだ。そして、シルルが終わると私の毛並みを治していた。その時に彼が私に問いかけたのだ。


「人型に戻らないのか?」


 その質問に私は首を横に振って小さく鳴いた。それで、彼はすぐに察したのだ。


「もしかして……戻れないのか?」


 その言葉に何度も首を縦に振ると、彼は思案顔になった。


「……人型になる方法だけど、自分が人間になる想像をしてみろ」


 そう言われて、私は頑張って人を想像した。すると、一瞬手だけが五本指になった。だが、すぐに戻る。そのため、悲しげに鳴くと、彼が頭を撫でてくれた。


「お前はまだ幼いからな……」


 そして、私を抱き上げるとシルルの元へと向かった。


「……どうしたの?」


 シルルが首を傾げながら、彼を見た。だが、その手にはフライパンを持っていた。それを見たルイスは口を嗣んだ。


「……別に」


 そして、私を抱いたまま元の場所へと移動した。


「あの人は忙しそうだから……俺と練習しよう」


 私はその言葉が嬉しくて鳴いた。そして、朝ごはんができるまで人型になる練習をした。しかし、家を出る時までに間に合うことはなかった。


「おっ! チビ達も準備はいいか?」


 明るく笑う彼女に大きく鳴いた。ルイスは彼女から視線を逸らした。だが、そんな彼の態度など彼女は気にしなかった。


「ニーナ、ルイス。私達から離れたらダメよ」


 シルルは特に私に向かって言っている気がする。だが、それは仕方がないことだと思い、大きく頷いた。ルイスも小さく頷いていた。そして、私達はシルルの後についていく。

 だが、彼女はすぐに止まった。それも家にある薬草園のすぐ側でだ。


「……私、弟がいる場所を知らないわ」


「「はっ⁈」」


 シルルを除いた私達は目を見開いて驚いた。弟の居場所を知らないのに会いに行こうとしていたの?


「えっ⁈ テメェ、場所も知らないのに会いに行こうとしていたのか⁈」


 私の思ったことを代弁してくれるようにユナが大きな声で叫んだ。


「彼が引っ越したことを忘れていたわ……」


 無表情だが、心なしか落ち込んでるように見えるシルル。そんな彼女を慰めるように鳴いた。


「はああああ。じゃあ、どうするんだよ。魔塔主も不在なんだろ?」


 大きなため息を吐いたユナの隣でルイスが顔を下に向けていた。一番、落ち込んでいるのは彼だろう。


「……場所はわからないけど、手紙を出すことはできるわ」


 シルルの言葉の意味がわからなくて首を傾げた。


「? 場所がわからないのにどうするんだよ」


 そうなのだ。場所がわからないことには手紙を届けることなどできない。そう思っていたのだが、彼女が魔法で白い鳥を出した。


「この子に渡すわ」


「何だそれ?」


「弟が作った魔法よ。困った時にこの魔法を使えば駆けつけるって……昔……言っていたわ」


 そう言うと、魔法で作られた白い鳥は空に向かって大きく羽ばたいて行った。その様子をルイスは顔を上にあげて眩しそうに見ていた。そして、本人も気づかなかったが、彼の小さな羽がわずかに動いた。

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