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訪問者

 目が覚めると眩しい光が目に入ってきた。


 朝? 眩しい……。まだ夢心地の中、ゆっくりと身体を起き上がらせた。窓から入る光に目を閉じそうになる。だが、隣で寝ている彼を確認した。未だに硬く閉ざされた目。だが、呼吸は安定していた。


「おっ! コダヌキ。起きたのか?」


「っ⁈」


 汗を拭きながら現れたユナの突然の大きな声に驚いて立ち上がった。両手を上に上げてだ。それに、私はタヌキじゃない! レッサーパンダ!


「どうした? 抱っこしてほしいのか?」


 違う! 全然違うよ! 首を横に振るが、ユナは私を持ち上げた。


「おっ! 想像よりも軽い。それにあったかい」


 抱っこされるのが恥ずかしい私は彼女の腕で暴れた。だが、そんなことで彼女の手は離れなかった。それどころか、楽しそうに笑っている。


「子供が元気なのはいいものだな!!」


 さらに強く抱きしめられた。彼女からは汗の匂いと共に軽くシャンプーの匂いもした。それに、温かい温もりに瞼が重たくなってきた。


「寝る子は育つっていうからな……」


 その言葉は異世界でもあるのか……そんな小さな疑問が浮かんだが、眠たさの方が優って頭が回らなくなっていた。そんな時だった。玄関の扉が叩かれてユナがすぐに反応したことに気づいた。そのため、目を薄らと開けた。


「ごめんな。まだ、寝ていろ」


 小さなカラスが寝ている横に私を寝かして、彼女は玄関に向かった。


「……誰か来たの?」


 瞼を擦りながら、ユナの元にやってきたシルル。


「ああ……扉の先に……三人……いや、五人だな……」


 気配に敏感であるユナはジッと扉の先を見据えた。そんな彼女を見ながら、シルルは欠伸をした。


「テメェを見てると気が抜けそうになる」


「……そう」


 いつまで経っても反応がないことに痺れを切らしたのかもう一度、扉を叩かれた。


「私がでるわ」


 シルルは扉を開ける前に私を見て、柔らかく笑った。だが、すぐに無表情になり、扉を開けた。

 そして、そこに立っていたのは昨日の冒険者三人だった。


「何か用? こんなに朝早くから」


 声に不機嫌さを隠さずに話すシルルにラルフは苦笑した。


「それは、すまない……」


 ラルフに続いて、二人も頭を下げた。


「これには、訳があるんだ」


 三人のうちの一人、このパーティーでのリーダーであるアレクが前に出てきた。


「そして、改めて自己紹介をさせてほしい」


 その言葉にシルルはユナと顔を見合わせた。そして、頷いて返した。


「俺たち三人は冒険者だ。パーティーのリーダーである俺の名前はアレク。隣の彼女がエレナ。そして、ラルフだ」


 シルルはアレク、エレナ、ラルフと三人の顔を確認した。だが、彼ら以外にも見えない所に二人隠れていた。


「今日、来た理由なんだが……昨日のことについてなんだ」


 昨日のこと。その言葉ですぐにわかった。


「カラスの子供のことかしら?」


 シルルは彼らに問いかけただけなのだが、三人は固まってしまった。何故なら、彼女の声色が低く、冷たかったからだ。


「……どうなの?」


 その問いに三人は何度も縦に首を振った。


「それで? あの子供が何? まだ……奴隷として……使おうというの?」


 三人はその瞬間、肌がビリビリするほどの殺気を浴びた。


「おい。その辺にしとけ……」


 彼女と彼らの間にユナが割って入った。


「こいつらは昨日、助けてくれただろうよ」


「……それも、そうね……。ごめんなさい」


 素直に謝ったシルルに三人は「大丈夫です」と苦笑していた。


「私の家にも……小さな子がいるから……敏感になっていたみたい。あの子に危害を与えるつもりかもって……」


 その言葉に三人は食堂であったフードを被った子供を思い出した。

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