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冒険者ギルド

 やっと街に着いた時にはお昼前だった。朝ごはんや支度に思ったよりも時間を要したからだ。

 シルルと手を繋ぎながら、いろんな所に視線を移す。昨日行った店を探すためだ。適当に目をつけて入った店なので大まかな場所と看板しか覚えていないのだ。


「どうしたの?」


 キョロキョロ見渡しすぎたのか、上から声が降ってきた。


「何でもないよ。街が珍しいだけ」


 シルルに言えば、お店の場所まで連れていってくれると思うが、先に納品を済ませなければいけないと思い首を横に振った。すると、彼女はじっと私を見つめたが、その視線に負けずに微笑んだ。


「……わかったわ。何かあれば、言ってね」


「わかった」


 そして、彼女が薬を卸していると言う場所にやってきたが……まさかの冒険者がいるところ……。


「ここって……」


「ニーナは初めての場所よね」


 周りを見渡すと、大きな剣や弓、それに盾を持った人達やゲームで見たことしかないような杖などを持った人もいる。思わず、目を見開いて視線を彷徨わせた。


「……ここは冒険者ギルドよ」


 やっぱり! そうだよね! テンションが上がってしまう。異世界ならではって場所だ。


「すっ、すごいね……」


「危ない人も多いから、私から離れないようにね」


 シルルは手に力を入れた。私は急いで首を縦に振る。

 そして、彼女は冒険者達が受付している場所とは違い、少し奥に進んだ受付場所へと移動した。


「あっ! シルルさん」


 受付にいた可愛らしい女性がシルルの名前を呼んだ。


「もう! 遅いから今日が納品日だと忘れたのかと思いましたよ」


「……ごめんなさい。少し、忙しかったから」


「本当ですか? んっ? その子は……」


 シルルの言葉を疑ったような瞳を向けた彼女は私に気づいた。


「もしかして、シルルさんのお子さんですか⁈ いつの間に⁈」


 口元に手を当てて大袈裟な反応を見せる彼女にシルルは呆れた目を向けた。私はシルルの後ろに隠れた。


「私の子供じゃないわ」


「なーんだ。まあ、わかってましたけど」


 舌を出して笑った彼女とシルルは仲がいいように見える。


「こんにちは」


 そんな彼女は私に向かって、優しく微笑んできた。シルルの後ろから少しだけ顔を出した。


「私の名前はソフィよ。冒険者ギルドの受付をしているの。あっ、でも今いるこの受付は主にギルドで販売される薬や武器とかの受付ね」


 なるほど。冒険者ギルドでも受付場所で内容が違うのか……。一人で納得していると、ソフィが「君はなんて名前なの?」と優しく問いかけてきた。


「……ニーナ」


「ニーナちゃんかー。可愛いねー」


 ニコニコと笑うソフィに恥ずかしくなり、フードをさらに深く被った。


「ソフィ。買取りして」


 その言葉に視線を私から納品物に変わった。そして、中身を確認するようにソフィとシルルが話し始めた。

 私はキョロキョロと周りを見渡しながら、待っていた。その時だった。


「シルルー!!」


 大きな声で名前を呼びながら、大股でこちらに近づいてくる女性がいた。驚いて、彼女を見ると柔らかな茶髪の髪に出るところはしっかりと出た体躯。それに腰には短剣を刺した綺麗と言うよりも可愛い顔をしていた。だが、顔に似合わず、目の前の彼女は口が悪かった。


「シルル! テメェ! また、私の火を空に上げたな! そのせいで、盗賊を捕まえたのは私になっているんだぞ!」


 火を空? その言葉に引っ掛かりを覚えた。それに、盗賊? それらを合わせると……初めて異世界に来た日のあれかな……? 盗賊を倒して、シルルさんの魔法で花火が上がったこと? そんなことを思っていると、大きく叫んだ彼女はシルルの肩を揺さぶっていた。


「そのせいで、そのせいで!! 私はまた、振られたんだからなーー!!」


 その大きな叫びはギルド内に響き渡った。

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