なろう改善案 ~「なろうチアーズプログラム」ランキングからのアクセスを別集計にする事の効果と低コストで実現する方法
小説家になろうの黎明期からあった問題の一つに“不正ポイント加算”があります。
初期はまだポイントを入れる人が少なかったのですが、その為、個人による複数アカウントでのわずかな加算でも効果的で、人気作家の不正が発覚して大問題になった事件があったりもしました。その後、ある時期からポイントを入れる人が多く現れ始め、その程度の加算では大きな効果は得られなくなったようなのですが、その代わり“組織票”によりポイントを入れる人達が現れるようになりました(これは正確には、“不正”と言えるかどうかは分かりませんが、公平性を欠く点は間違いないでしょう)。
その他、“ポイントを不正加算する業者の存在”を運営が公式に認めたりと、今日に至るまで、小説家になろう運営は、“不正ポイント加算”問題を解決できずにいるのですが、この問題の根本的な原因はポイントランキングシステムが、あまりに強すぎる点にあります。
ポイントを得て、上位にランクインすると、アクセス数が一気に増え、出版化やコミカライズのチャンスが大きくなります。それだけの大きなメリットがあるからこそ、不正をしてでもポイントを欲しがる人がいるのでしょう。
また、これはポイントランキングで上位に入れさえすれば、作品のクオリティが低くても出版化やコミカライズが可能という話でもあります。だからこそ、他の人気作品を模倣したオリジナリティ皆無の作品が大量に生まれてしまっているのではないかと思われます。
――さて。
「なろうチアーズプログラム」というものが小説家になろうで始動しました。これはアクセス数に応じて作者が収益を得られるシステムです。
小説家になろうには、高アクセス数を叩き出している作品であるにも拘わらず、作者がそれを放置してしまっている作品が多数あるのですが、それら作品の更新を促すという意味でも、また作者自身の宣伝意欲を刺激する意味でも効果的で、小説家になろう全体のアクセス数の増加が期待できます。
がしかし、前述した通り、アクセス数を増やすのには、ポイントランキングで上位にランクインする事が非常に効果的なので、これまで以上にポイントを増やすメリットが上がってしまいます。当然、不正をしようとする輩が多く現れるでしょうし、安定してポイントを得る為の人気作の模倣もより酷くなるでしょう。
これを防ぐ為には、「ランキングからのアクセスを別集計にし、そのアクセスに関しては、支払う金額を下げる」といった方法が効果的ではないかと思われます。
つまりは、上位にランクインしても、あまりお金を稼げなくするのです。
具体的には、例えば、「通常は1アクセスで0.1円入ったとしても、ランキングからのアクセスでは0.01円しか入らない」といったようにするのです。
こうすれば、不正ポイント加算をしようとする人は減るのではないかと思われます。不正ポイント加算業者を利用しても、費用の方が高くなるでしょうからね。
“ランキングからのアクセスの場合は、支払う金額を減らす”事は、なろうサイトへの貢献度という意味でも理に適っています。当然ながら、なろうランキングから作品を選ぶ人は、既に小説家になろうにアクセスしています。つまり、サイトにとってあまりプラスにはなっていません。それに対し、ランキング以外からのアクセスの場合、サイト外部、またはその作品目当てでのアクセスという事になり、小説家になろうにとってよりプラスになっています。
小説家になろうにより貢献している作者により高い金額を支払う。これは当たり前の話でもあります。
また、ランキング外からのアクセスに高いインセンティブを与える事は、作者の宣伝意欲を刺激する意味でも効果的です。
ですが、一つ問題があります。
ランキングからのアクセスをどうやって判断しましょう?
アクセス元を解析する手段はありますが、膨大な件数を調べようと思ったならそれなりにコストがかかります。
ですが、実はこれはちょっとした工夫で簡単に解決できます。
URLは皆さんご存知だろうと思いますが、これにパラメータを付け足せば、それだけでランキングからのアクセスである事を判断できるようになります。
例えば、URLに“?from=ranking”といった感じでコードを足せば、サーバー側で“ranking”という文字列を受け取れるので、それによって処理を分けられます。もちろん、拡張性もあり、作者がなろうの機能を使ってSNSで宣伝した場合、読者がなろうの機能を使ってSNSで宣伝した場合など、細かい分析の為に応用する事が可能です。
因みに、「なろうチアーズプログラム」ではなく、現在でもこのアクセス元解析手段は役に立ちます。
なろう発で、1億PVを超える作品がコミカライズされた事があるのですが、ほとんど話題になりませんでした。恐らく、あまり売れていないのでしょう。この作品、少しエッチなタイトルだった(内容はそうでもなかったらしいのですが)ので、恐らくそのお陰でランキングからのアクセス数が多く、それだけのPVを達成できたのではないかと思われます。
つまり、ランキング依存度が高かったのではないかと予想できるのです。
作品の力が強ければ、ランキング依存度は低くなるはずです。面白いと感じたユーザーはブックマークに登録し、以降はそこからアクセスして楽しむでしょうし、「面白かった」という読者の声がSNSを伝播すれば、必然的にランキング以外からのアクセスが多くなるからです。
ですから、出版化するにしろ、コミカライズをするにしろ、ランキング依存度が低い作品を選べばヒットする可能性がより高くなるはずです。そして、ランキングからのアクセスを判断できれば、ランキング依存度は分かるようになります。
KASASAGIで、それを明示すれば出版社はより適切に商品化するべき作品を選べるようになるでしょうし、他にも例えば注目度ランキングの評価基準の一つにこれを加えても良いかもしれません。
クオリティの高い作品を抽出する事は小説投稿サイトにとって重要です。そして、それはこのような試行錯誤を繰り返す事で実現可能です。運営の方々はどうか諦めないでいただきたい。




