現代・東京。雨の夜
竜胆瑠衣香
異世界「エルヴィア」の姫。現代の日本に転生し、記憶を失ってしまう。
結城 蓮
背が高く、端正な顔立ち。整形を繰り返して“完璧な容姿” 努力家だが、承認欲求のかたまり。人を支配していないと不安。瑠衣香に執着しており、「お前のことを一番わかってるのは俺だけだ」と言うが、それは支配と依存の言い換え。モラハラでDV。
部屋の照明は落ちていて、蛍光灯の明かりが微かに天井を照らしていた。
空気はぬめっと重たく、窓の外からは梅雨の雨音が絶え間なく聞こえてくる。
「なんで連絡返さなかったの?」
蓮の声は、低く静かだった。
だがその静けさの裏に、爆発寸前の怒りが潜んでいることを、瑠衣香はもう知っていた。
「……ごめんなさい。スマホ、見てなくて」
言い訳でも本当でも、どう言おうと結果は同じ。
蓮の顔は笑っていた。けれどその目は、氷のように冷たかった。
「そういうの、俺が嫌いだって言ってたよね?」
バタン。
壁にスマホが叩きつけられる音が響いた。
目の前の男は、完璧な造形の顔を持っている。切れ長の目も、高い鼻筋も、まるで人形みたいだ。
でも――この人の心は、あまりに壊れている。
「……怖いよ、蓮くん」
「は? なにが怖いの? お前が悪いんだよ。俺は、ただお前をちゃんと“更生”させたいだけ」
更生。
その言葉が、瑠衣香の中にあった何かを壊した。
「更生? 私は、犯罪者じゃない……っ!」
いつの間にか、胸の奥から込み上げてきたものが口からこぼれていた。
「私はあなたの操り人形じゃないの!!」
静寂が訪れた。
一瞬、時間が止まったようだった。
蓮は、にやりと笑った。
その笑顔は、まるで悪魔が仮面を外したかのようだった。
「……そう。なら、壊すしかないな」
気づいた時、瑠衣香は記憶を失い、名も知らぬ男の“恋人”として暮らしていた。男は表向き優しく、でも実はモラハラ・DVの加害者。
瑠衣香は言葉にできない恐怖と違和感の中で、毎日を耐えて生きていた。そんなシーンを描いた第1作目となりました。
雨生は小説書くの初めてなのですが実体験を元に、苦しみも作品にしてしまおうと思いました。
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