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最終章:1.かけがえのない人

卒業式が終わって、教室を出たとき


首に下げていた革ひもが切れて、直君が床を転がった。


私は、慌ててあなたを拾って握りしめる。


その時、あなたの声が聞こえた気がした。


懐かしい優しい声で


もういいよって。


それと同時に神田君の顔が浮かんだ。


直君とは違うけれど、直君と同じ匂いを持つ人。


最初から好印象は持ってた。


だけど、神田君に告白されるまで、私は自分の気持ちも知らなくて。


神田君を意識し始めたら、神田君に直君を探してるのかも知れない自分に気が付いて。


直君にも、神田君にも申し訳なくて。


でも、今なら言えるよ。


私は神田君が好き。


それでいいんだよね、直君?



卒業生は山ほどいて、みんな、カメラを持ってあちこちに散らばってる。


でも、神田君ならあそこにいるはず。


私は、図書館前にある、大きなベンチに向かった。


「神田君」


神田君は、ベンチに座り込んでいた。


「木村さん」


神田君は私を見て、消えそうな笑みを浮かべた。


「良かった、会えて」


私は、神田君の隣に座った。


「最後だもんね」


神田君は、うつむいて私と目を合わせようとしない。


だから、私はしょうがなく、神田君の顔をのぞき込んで言った。


「最後じゃないよ」


神田君が私をちらっと見る。


「ごめんね、返事が遅れちゃって」


神田君は、ちょっとだけ、顔を上げて


「何?」


私は、大きく息を吸って


「私と付き合って下さい」


神田君が、きょとんとした後、目を大きく開いた。


あの時みたいに、泣かれたらどうしよう。


だけど、神田君は


「嬉しいよ」


そう言って、ベンチについてた私の手をきつく握っただけだった。 


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