ノブトモ護衛の仕事を請け負う
男谷信友。
かつて幕末の剣聖と謳われ直心影流男谷流、宝蔵院流槍術を収めた人物であり、他流試合にも積極的に参加、竹刀を用い現代日本の剣道の礎を築いた人物と言われる。
メイ改め、ノブトモはこの男谷信友の生まれ変わりである。
が、前世である男谷信友の事は多少知識としてあるだけであり、意識等はノブトモ本来の物である。
ノブトモはまだ10歳に満たない時に男谷信友の記憶が蘇り、その知識を下に剣術稽古に没頭した。
しかしこの世界は刀は装飾品としての意味合いが強く、東の神聖国以外では殆ど使われていない。
そんな中ノブトモは通常の両刃の剣で剣豪の地位まで登りつめた猛者である。
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「あんたの槍さばき凄ぇな。」
そんな冒険者の賛辞を受け、ノブトモは水を口にする。
ノブトモがモンスターを駆逐した後、他の冒険者と共に死骸を片付け、キャンプが行えそうな河原まで移動し、今は冒険者達と夕食を共にしていた。
「ふむ、槍はの『突けば槍、薙げば薙刀、引けば鎌、とにもかくにも外れあらまし』言うての、動かし方を工夫する事で多様な使い方が出来る。 かつて古い国では武器の王とまで呼ばれた物じゃ。 もしもお主が達人の極地まで登りつめれば恐れる事は無いであろうよ。」
はぁ〜と感嘆の声を聞き、ノブトモは焼き魚を口にする。
「しかしあの槍は重すぎじゃ、柄を木に変えた方が良いじゃろう。」
そう言われ、槍の持ち主のバッカスは頭を掻きながら「ははは」と乾いた笑いが出た。
そんな時、護衛対象である商人ジョルジュが無駄に出っ張った腹を揺らしながら近付いて来た。
「いやはや、ノブトモさんの御高説聞き惚れてしまいますな!!」
酒でも飲んだのか、顔が少し赤くなっている。
「これはこれは商人殿、如何なされた?」
ノブトモは焼き魚を咥えながら答える。
「いや〜貴方様の腕前を馬車から拝見致しましたが、あの槍さばき大した物でした!! もし宜しければこのまま護衛をして頂けませんかな? 勿論報酬はお支払い致しますですはい!!」
報酬と聞き冒険者達が商人に詰め寄る。
「おいおい、まさか護衛を変えるなんて言わないだろうな!!」
「いやいや、そんな事は致しません。 商人は信用が第一、貴方達Bランクパーティ『破爪』を蔑ろして冒険者ギルドの信用を失うなんて馬鹿な真似は致しません。 もし冒険者ギルドの信用を失ったならばそれこそ商売上がったりですよ!!」
確かにそうだ、ノブトモはその言葉に嘘は無いだろうと納得をする。
何故なら、もしこの商人が冒険者ギルドの信用を失ったならば、これから先この商人は街道や山道に出没するモンスターを自分で相手をしなければならない。
いくら魔道具が発達したとは言え、この商人では荷がかち過ぎる。
そんな事を思案しノブトモは「あい判った」と了承をした。
「それは良かった!! 今回の荷は大変貴重な物を運んでいます。 強い冒険者が多い程助かるって物です!!」
「貴重な荷とな?」
ノブトモがそう口にすると他の冒険者からも、
「そうだ、貴重な荷を安全に運ぶ為と言われたから俺等にこの仕事が来た。 本来はDかCランクの仕事なのによ。 なぁ、教えてくれよ、その荷とはなんなんだ?」
商人は深い溜息を吐き、
「そうですな・・・、皆さんは命を掛けて私と荷物を守って下さっている。 本来なら教えはしないのですが、貴方達には知る権利がありますな・・・」
商人はそう言うと荷馬車の幌を開け、ノブトモ達にその荷を見せる。
そこにあった物は、古い木箱と鎖に繋がれた少女が二人。
「」