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桜姫の寵愛  作者: 知恵紅葉
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結婚相手

「おめでとうございます。お義姉様。漸く結婚されるのですね。二十五歳にもなって浮いた話の一つもでてこないものだから、ずっと心配してたのですよ。でも、漸く相手が見つかったのですね。良かったですわ。こんな、平凡な年増の女を貰ってくださるなんて。お優しい殿方がいて感謝しかありませんわ。ねぇ、お義姉様」


寧々は祝いの言葉を述べながら、未桜の事を馬鹿にする言葉も一緒に言う。


この時代では、二十二歳を過ぎてまだ結婚できていない女は女としての魅力がないとして馬鹿にされている。


未桜は今、二十五歳、寧々は二十歳。


三年も行き遅れた未桜を町の人達を含む全員が馬鹿にしていた。


そもそも、未桜が結婚できなかったのは信近達の妨害のせいでそれさえなければ未桜はとっくの昔に結婚できていた。


未桜は寧々と違い舞桜の血を受け継いだ正統な桐花家の一員。その血を欲するものは大勢いる。


そういった輩を含めたなら、寧々より未桜の方が結婚の申し込みは多かった。


だが、未桜をこの家から出すことも他の男を婿にすることも信近達は許さなかった。


信近にしたら自分の地位を取られないため、寧々はずっと未桜を下にみるため、末姫は未桜にはずっと不幸でいて欲しいと思っている。


それぞれの欲の為未桜の結婚話を全て断っていた。


今回ばかりはそういうわけにもいかない。


そのため、信近達は慎重に相手を選んだ。


寧々も信近から相手の事を聞かされ、その人物なら問題ないなと思い反対しなかった。


それに、若桜家と繋がりをもてるのなら万が一の保険があった方がいいなと判断したのもある。


「ええ、そうね。こんな私を嫁にしてくださるなんて本当に感謝しかないわ」


寧々の嫌味にも動じず、本当に相手の男に心から感謝する。


そんな未桜の態度が癪に障ったのか顔を歪める寧々。


寧々は未桜の惨めな姿がみたかったのに、嫌がるどころか相手の男に感謝までしだす態度にむしゃくしゃする。


何故か幸せそうに笑う未桜が許せず、湯呑みを未桜に投げつける。


ゴトン。


鈍い音が出る。未桜の頭に当たる。まだ少しお茶が入っていたのか顔や着物が濡れる。


未桜は何も言わずただ真っ直ぐ寧々をみた。


「(むかつく。今も昔もあんたのその目が大嫌い。そんな目で私をみるな)」


寧々は鬼のような目をして未桜を睨みつける。


暫くして、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべこう言った。


「ねぇ、お義姉様。自分の結婚相手がどんな人か知りたくありませんか?」


「知りたいに決まってるわ。だってこれからずっと一生に暮らしていかないといけないんだから」


二人のやり取りを黙ってみていた末姫が結婚相手の話になった瞬間、話に入ってくる。


まるで、その話になるのを待っていたかのように。


「そうよね。やっぱり知りたいわよね。相手のことを何も知らずに嫁ぐのは失礼だし、お義姉様はきっと知らないだろうから、私が教えてあげるわ」


未桜は一言も「知りたい」とは言っていないが、勝手に知りたいと決めつけ相手のこと話し出す。


感謝しなさいよね、と言いたげな態度をとる寧々に呆れて未桜は何も言いたくなくなる。



寧々の話でわかったことは、相手の名は一条朔太郎。年は三十後半から四十歳の間くらいの男性。身長は高く信近より若干高いくらい。


結婚した過去はない。ずっと独り身だった。


三年前に陰陽師を引退した。


理由は妖との戦闘で全身を焼かれたため体が思うように動かない。今も包帯を常に巻いていないと痛くて仕方ない。


火傷だけでなく、左腕と右目も失っている。


昔は結構腕の立つ陰陽師として有名だったらしいが、今では「化け物」と呼ばれ町の人達から気味悪がられている。


有名な陰陽師だったとしても寧々は九条家の次期当主の名しか覚えていない。格下の陰陽師の名など覚える必要がないと思っていた。


未桜は陰陽師の名は舞桜や昔の桐花家に仕えていた陰陽師達に教えてもらっていたので結構知っているが、一条朔太郎という名の陰陽師は聞いたことがなかった。


腕が立つと有名な陰陽師の名を皆が知らないはずなどないし、もし仮に信近が当主になってから有名ならなったとしても三年前までは現役だったのなら噂くらいでてもいいはずなのに、そういったことを一度も聞いたこともない。


一体どうゆうことなのかと不思議に思う。


何か裏があるような気がしたが、嫌な感じはしないので大丈夫だろうと気にしないことにした。


「今の説明でわかりましたか」


クスクスと馬鹿にしたように言う。


わかったも何も寧々は相手の外見のことしか話さず、内面のことは一切話さなかった。


これで、どう相手のことをわかれと言うのだろうか。相変わらず人を外見でしか判断しない寧々に頭が痛くなる。


あれほど、「外見ではなくその人の中身をみなさい」と寧々の為を思って言ってきたのに、あの頃から一向に成長していない。そもそも未桜の言うことなど聞く気すらない寧々。


「可哀想なお義姉様。漸く結婚できるというのに、相手が化け物なんて。私だったらそんな相手の結婚なんて死んでも無理だわ」


寧々の言葉に末姫も同意し、二人していい気味だと馬鹿にする。


今の二人の顔の方がよっぽど化け物みたいに歪んでいるなと未桜は心の中で思う。


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