12ページ,申し訳ない
「改革派と保守派か……右か左か、だな」
「なんの話してるの?」
「なんでもない。それよりもカーラ。改革派と保守派の比率はどのくらいだ?」
「えと……3:7くらいです」
「……きびしいな」
「え、これでなにがわかるのですの?」
疑問を抱いたルーラが口を開く。
「……あくまで俺の持論だがな。───聖教は、魔族と繋がっている」
「「「⁉」」」
「……いや、どうしてだ?」
またしても疑問が湧いたようだ。まあ、これだけじゃあ、わからないよな。
「この前、魔族領へ行ったんだ。その時、新聞にあるものが見出しに載っていた。……たしか、宗教の見出しだった」
『カシス教皇、魔王城に訪問』
その瞬間、皆の目が見張る。そして、突如扉が開かれる。全員はそちらに目を向ける。
「……クライシス、国王がお呼びだ」
グラマースが冷や汗をかいて扉を開く。
……まるで狙ったのかのようなタイミングだな。まあ、私は全知全能ではない。だから本当のところはわからないが、少なくとも国王はこちらと話したかったみたいだな。
……ああ、僕も話したかったよ。
「……パル」
ああ。
「───トアノレス」
準備は万端にいかないとな。
連れてきたのはアメリのみ。他の者たちは部屋に残ってもらった。
グラマースが先導する。その足取りは重いみたいだ。月が照らされる。そろそろ真夜中を超えそうだ。
しばらく歩くと、扉が視界の奥へと現れたみたいだった。
ギィと軋む音を感じながら、扉が開かれ、空間が開ける。
奥の方へ気配を辿ると、豪華な椅子に座る者の存在の気配があった。視界で感じると彼の前には僕らの視界を隔てるようにベールがある。
周りの側近は膝をつける。もちろん、俺はそうするつもりなどない。目の前のそいつを見据える。
「余の前に跪け」
言霊が飛んでくる。言葉に微力ながら強制力を感じるが、そんなのに私達が応える必要など毛頭ない。
少しキツイが、アメリが居るので無効だ。
「〈支配無効〉」
アメリはこういう支配力を得意としている。だから、支配力に対して無効のスキルを持っている。
「こちらが客人だから、強いことは言えない。だが、そっちの支持に従う意味はない。だからこのまま話させてもらう」
「……」
「まずは今回私たちがここに来た理由を話そう」
「───その前に」
国王が私の話を遮る。
「自己紹介をしよう。こちらから先に告げる。余の名はクルセラーマ。そちは?」
「……そうだな。先に名を名乗らないとだな。僕はクライシスと呼んでくれて構わない」
「……アメリ」
そこからは他愛のない話が続く。ぶっちゃけこういうのはどうでもいい。
ちなみに、どうやら僕たちは裏で人気のようだ。帝国を改革させた謎の集団。ファスト公爵家のお気に入り。ワイバーンを倒したFランク冒険者など……まあ、知ってる奴は自慢できる程度だ。
それほどでもない。
「さて、本題に入るとするか」
クルセラーマがそう告げる。
「おや、どうやら国王様はせっかちのようだ」
「そちも最初に同じようなことをしていただろう? それを真似しただけだ。……そちがここに来た理由はなんだね?」
軽く受け流せるか。
「ただの観光……というのは流石に怪しすぎるか」
「そうだな」
「……現在、人族と魔族が抗争中というのは知っているか?」
「もちろんだ」
「私達は、人族、魔族、どちらにもつくつもりはない」
「……じゃあ、何故このような話を?」
「───僕たちは、第三勢力。戦争を止める者だ」
もともと、こういうつもりだ。キャルには悪いが、私は人族が勝とうと、魔族が勝とうと、どうでもいい。ただ……
「俺たちと、同盟を組まないか? ドワーフ国」
「もちろんだ」
「……」
「……」
「…………?」
「…………?」
「あっ、いいんだ」
思わずすんなり行き過ぎて状況を飲み込むのが遅れた。
「パル……下手」
アメリさんが小さくつぶやく。こういうのってだいたいアメリさんがやってきたじゃない。心理を捉えるのはアメリさんの方が得意でしょ?
「……」
あっ、ほめられて照れてる。じゃなくて。
「一応、同盟を組んだ理由を聞いてもいいか?」
「……そんなの、そちが優しそうだったから、ではダメなのか?」
「……? いいのか? 一国の王がそんな判断で」
「もちろん、色んなリスクを考えたさ。だが……それよりも、そちと組む方がこちらにとっても得だと思ったのだ」
ちなみに嘘だ。
〈虚偽反応〉の上位互換である私のスキルが反応している。やはり、ここで同盟は断っておくか?
同盟の話は本当であるが、嘘でもある。本当はもっと別の理由があるが、同盟はできたらいい程度だ。
向こうも虚偽反応は持っていそうだが、僕の言葉には反応していないだろう。なにせ嘘はついていないのだから。
まあ、同盟は引き受けていいだろう。今のところ、この国王はなにもしていない。なにかしても後で調べればいいからな。
その後、世間話をして解散となった。さて、転移者組にもこのことを伝えないとな。……だけど、その前に。
「アメリさ……」
居ないし。
なら、なおさら問題無。
「出て来いよ」
後ろに首を捻り、誰もいないような殺風景の回廊を見つめる。仄暗い柱の隙間から、ソイツは顔を出す。
魔族か。何故ここにいる?
魔族はドワーフ国は滅多に来ない。
まあいいか。取り合えず───首をひねる。顔があったそこには斬撃が横切る。敵意は確かに感じられる。
私が一歩歩く。一瞬でその魔族の背後に立つ。
「⁉」
「そう驚くなって」
腕を伸ばすと、魔族は素早く動き私の腕を切ろうとしてくる。
「落ち着けよ」
もちろん、腕を切られる。その場ですぐに再生させる。魔族は警戒して後ろに下がる。
どうやら意思疎通は無理そうだ。できれば戦いたくはなかったが……
「トアノレス?」
魔族の下に、ドリルが生まれる。トアノレスだ。
カキーン!
「あ…………」
そのドリルは、その……魔族の……股間あたりに直撃する。
ガクガク……バタッ。
魔族は、足を震わせ、その場に崩れ落ちる。
股間部分を押さえ、バタバタと暴れる。
「えと……その……」
「……」
「…………」
「………………」
「……ごめん」
「……いつか…覚えてろ」
「ごめんて」
魔族はどこかへ転移する。悪い事しちゃったから追わないことにした。
そして、あるものがそこに落としてしまっていた。
「えと……『赫の魔人』大将……?」
どうやら、免許証だった。なおさら悪い事してしまった。
クリスマス前までに終わってよかった。世間はクリスマスでガヤガヤうるさいのでクリスマスにこれを投稿することで自分も”仲間”であることを認識させていく~(?)
……なにやってんやろ