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4000兆回目の転生日記  作者: ゆるん
二冊目《自称皇帝とジャパニーズ転移者》
54/102

17ページ,帝国侵入

「メ……メイド、です?」


 ナイは、よく分からなそうな顔をして此方を覗いている。アメリは、淡々と告げる。


「来ればわかる」


 一言だが、ネイには恐ろしくなるほど伝わったようで、ブンブンと首を縦に振る。


「『空間扉(レレドア)』」


 聖法を展開し、指定するはエルフホテル。この扉を開けばリビングだ。


「さあ、来い」


 ナイを家に連れていく。ナイは初めて物を見る赤ん坊のような顔をして、私の後に付いていく。


 リビングに着くと、転移者組や其の他諸々もいた。突然現れた僕たちに驚くが、その視線は殆どがナイを見つめていた。そういえば、先程は隠していたし、キャル以外に見せてもいないから誰もナイのことを知らない。


 だから、不振がるのも無理はない。どう説明するかー……まあ、正直に伝えた方がいいだろう。


「あー、コイツは、今日、俺と戦ったやつだ。取り敢えず、これからメイドをしてもらうことにした。ほら、挨拶」

「ひゃい!えーっと……元神の、ナイと言います……メ、メイドをしてもらうことになりました。よろしくお願いします……?」


 皆、惹かれるような視線をナイへ向け、ナイはそれを向けられ、アタフタと慌てていた。


「えーっと、じゃあ、明日は帝国に移動するから、皆、準備しといてくれ」

「「「はいっ!」」」


 後で、ナイは質問攻めにあったのだが、それは言わなくても分かるだろう。


 あれを見てると、まるで転校生みたいだな。いや、別に気のせいか。……変な記憶だ。


 ***

 ───七日目───


 早朝、といっても朝日もまだ出てこない深夜。時刻は3(レル)。そろそろ陽光がこの星を輝かせる時だ。


「よし、まだ眠たそうなやつもいるが、出発だ」

「「「はーい」」」


 さて、これで里の入り口───あれ?なんか沢山人いるな。長老とか昨日のデモエルフたちが居るな。どうしたんだ?


「長老は見送りとしてまだ分かるけど……デモエルフたちはどうしたの?まさか、昨日の復讐?」


 一人のあのリーダーデモエルフが前にでる。


「デモエルフじゃねえよ!なんだよその名前……。昨日、俺たちはアンタを非難しまくった。せめてもの償いをするために、みんな集まったんだよ。……みんな、なにも言わなくてもここに集まったんだ。せめて見送らせてくれ」


 あ、そう。じゃあ、早速だが、行くか。

 降り注ぐ赤い陽光を、私だけが襲うが、平然と歩き出す。


「パル……その体。また拒絶されてる……?」


 アメリの嘆きのような心配のような一言を告げる。


「また……どころではないがな。【創造主の加護(ロード・プルセス)】でかなり軽減されているが、まあ、やはり腐っても神だ。最高神8人がかけた呪いなだけある。……アメリ。別に太陽は悪くないんだから、太陽睨んでも変わらないぞ?」


 皆には聞こえぬように小声で話した。だが、ケーラには実は聞こえてたみたいだ。魔眼で見て確認した、うん、やっぱり分かってるみたいだ。


『ケーラ?あんまりそう言いふらすと、容赦はしないよ?』


 ケーラにのみ声を聴かせ、ケーラにだけ視えるトアノレスを構え、脅した。


「……黙ってるから、取り敢えずその物騒なものを仕舞ってくれるかな?」


 ボソッと私にだけ聞こえる声量でケーラは話した。でも、これは後で質問されるな。


「ていうか、帝国に行くのにどのくらい掛かるの?」


 キャルが疑問を放つ。そういえば、キャルはあの国からでたのは今回が初めてと言っていた。地図も碌に見たことないのだろう。それほど、冒険者業をしていたということだ。


「そういえば、忘れていた。それなら、心配ないぞ、キャル。一瞬で着く」


 聖力の粒子が皆の周りに立ちこみ、囲んでいく。ケルが尋ねてきた。


「えーと……クー?これは一体───」

「───安心しろ。もう行くぞ。『集団転移(クラレザス)』」


 淡い白光が皆を包み、それが無くなるや否や違う場所へと転移した。


 本来、集団転移は、対象者に聖力が浴びすぎて害を為してしまう。転移者組は、それをスキルを得ることで解決する。そういう聖法でできている。


 しかし、それは界を通して転移聖法を用いた場合。同界(どうかい)で集団転移をするときは、そうはいかない。浴びた聖力をスキル取得をして解決する方法は、同界ではできないのだ。


 では、なにを代用して使用するか。それは、聖法を使用するための聖力として代用する。つまり、違う聖法を服用するのだ。代用する聖法は、『守護(ガベル)』。もし、転移した先に危険がある場合を想定した聖法だ。


 別に、違う聖法を使用しても構わない。


「……集団の転移って、確かこの世界のロストテクノロジーだったような……」

「複数の<法>を使っている形跡が見えた気がしましたが……流石に冗談ですよね?」

「それは世界の偉人でも指を折るくらいしか居ないって本で書かれてたんだけど……」


何人かのコソコソ話が聞こえているが、別に気にしなくていいだろう。


「ここはどこでしょうか?」


 香穂里が疑問を呈する。まあ、当然の疑問。


「帝国前だな。でも、転移者組ならわかると思ったよ」

「こんなところがあるなんて、知りませんでした」


 まあ、脱出したことがあるなら、そんな悠長に回りを見てないだろうな。


「じゃあ、向かうか」


 転移者組全員に『変装(ハデラ)』をかけて、別人にする。みんな、鏡を聖法でだして驚いているようだ。


「すごーい、誰?」「私、すごいブサイク~」「俺……こんな……」


 皆、各々の意見を交わす。そろそろ行かないとな。


「皆、行くぞ。帝国進軍だ」

「「「はい」」」


 あと、通行証をみんなに配っておかないとな。聖法で転移者組が持っている帝国にい入る為の通行証を複製、配布する。


「これは?」


 急に配られた通行証にケーラは疑問を抱くが、夕夜が教える。


「これは、通行証だ。これがあれば帝国に入れる」


 夕夜は自分の通行証を見せる。


「そうなんだ。ありがとう」


 その後も、二人は馬が合うように話をしていた。二人とも、人に慕われる性格をしているから、趣味も似ている同士で馬が合うのだろう。


 でも、転移者たちは、ケーラが天然勇者であることを知らない。知った途端、恨むのか、妬むのか、それとも……どうなるか、はたはた楽しみだな。


 私も仮面を被るか。久しぶりにトアノレスで仮面を作り、装着する。そういえば、言ってなかったが、トアノレスで作られた仮面は、隠蔽などが施されていて、隠密に優れている。


 まあ、今回のやつに最適の装備だ。


 移動すると、やはりと言ったところか、門番がいる。古い鎧を着ているが、これも隠蔽だろう。王国の隠蔽技術と比べれば、かなりの精巧な技術だが、見破れない程でもない。


「通行証を見せろ」


 門番がそういうので、私たちは通行証を素直に見せる。僕たちは、二チームに分かれた。ここは、私とアメリのチーム。設定は、大規模な商人が、帝国で商売をするために来たという設定だ。


 もう一方は、キャルや、ケル、ケーラのチームだ。設定は、冒険者パーティーで、人口迷宮(ダンジョン)を受けるために帝国にきたという設定だ。


 二つとも、並んで通行証を見せる。逆に目立ったら怪しまれない戦法だ。


「行け」


 よかった、怪しまれなかったようだな。でも、当たり前か。

 さあ、待ってろ、皇帝。貴様の領地に侵入してやったぞ?首洗って待ってろ。


 私は、聖法で剥がれていく都市の全貌を横目に、現れ始めた皇宮を睨み、覇気がすこし漏れ出てしまうのだった。

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