ともだちを さがして 〜冬の森の物語〜
冬童話2021投稿作品です。
今回はちょっとビターな味付けにしてみました。ほのぼのを期待していたらごめんなさい。
子どもが読んでも大丈夫な内容を意識してはいますので、よろしければご覧になってください。
「いないなぁ。どこに いったんだろう」
ウサギは ゆきのなか ともだちの リスを さがしていました。
「ひろばにも いない。おがわにも いない。いままで こんなこと なかったのに」
あたりを みまわす ウサギの はなに ゆきが おちて きました。
「へっくしょん! だめだ。きょうは かえろう」
ウサギは とぼとぼと いえに かえりました。
つぎのひも リスは みつかりません。
「なにか おこらせること したかなぁ」
ウサギは あたまを ひねりますが おもいつきません。
「へんだなぁ。なんか いやだなぁ」
しばらく さがした ウサギは すこし いらいらしながら いえに かえりました。
つぎのひも リスの すがたは みあたりません。
「あのとき かぜひいて あそびに いけなかった からかなぁ」
きのうの よるに きがついた こころあたりに ウサギの からだが ぶるっと ふるえます。
「でも かぜの ときは しょうがないじゃないか」
ウサギは ちょっと おこりながら いえに かえりました。
つぎのひも またつぎのひも リスには あえませんでした。
「なんでだよ……。なんでだよ……」
ウサギの こころは いらいらで いっぱいに なっていました。
「リス! おまえは ぼくのこと きらいになったのか!?」
ウサギの ことばに だれも こたえて くれません。
「じゃあ いいよ! ぼくも おまえなんか きらいに なってやる!」
ウサギは そう さけぶと おうちに かえりました。
そして もう リスを さがしには いきませんでした。
はるに なりました。ゆきが とけて もりの あちこちで はなが さいています。
「リスのやつ……。リスのやつ……」
でも ウサギの こころは ふゆのまま。つめたく おもい まるで こおりの ような きもちでした。
「ぜったいに ゆるさない……」
そのとき ウサギの いえに
「ひさしぶりー!」
リスが やってきたのです。あえなく なるまえと かわらない ままでした。
「えっ リス!?」
おどろく ウサギに リスは かけよります。
「ごめんね。とうみんまえに あいさつ したかったんだけど かぜひいてた みたいだから できなくて。でも げんきに なって よかった」
ウサギには にっこり わらう リスに いいたいことが ありました。
きらいだ。
もうともだちじゃない。
あっちいけ。
ぜっこうだ。
「あ れ……」
でも そんな つららのような つめたく とがった きもちは はるの ゆきのように ウサギの めから とけて ながれていきました。
「えっ だいじょうぶ!?」
しんぱいする リスに なみだを ぬぐった ウサギは いいました。
「きみこそ げんきで よかった」
ウサギの こころの こおりも とけて はるが きたようです。
読了ありがとうございました。
仕事柄、子どもの喧嘩をよく見るので、こんなすれ違いの話はどうかなと思って書いてみました。
大抵はちょっとした思い込みや、勘違いで喧嘩になります。落ち着いて話せれば解決する事がほとんどですが、そこで言ってはいけない言葉を口にしてしまうと、取り返しがつかない事になる場合もあります。そんなことが伝わればな、と思って書きました。
でも取り返しが付かないエンドは好みじゃないので、水に流してハッピーエンド!
こっそり字数を調整して、なろうラジオ大賞2にも投稿してるのも、水に流して、……だめ?
また子ども達からネタをもらいながら、のんびり書かせて頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。