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短編集

頭の上にある数字

作者: _




 僕には数字が見える。頭の上にポツンと浮かぶ数字が見える。


 鏡の前に立てば自分の数字も見える。


『数字が二に増えてる』


 僕は毎朝、寝て起きて直ぐに数字を確認してからご飯を食べて仕事に向かっている。


 増えていると嬉しい、減ったことはまだない。


 電車が混んでくると数字も混んできて目を閉じる。



 若い人はほとんどゼロで年を取ってる人の中に(イチ)とか三の人がいる。


 目を閉じるとどういう意味なのかって僕は考えてしまう。


 幸せの数値? 人間としての数字?


 あのジジイは僕より低いゼロなのに?


 ありえないって電車の揺れと一緒に首を横へ振る。


 電車を降りて仕事場の同僚とキーボードを叩く。


 同僚の誰かの数字が増えてる。機嫌が良さそう?


 僕はそれとなく聞いてみた。


『実は彼女できたんだよ』


 少し羨ましかった。そういう数字なら減るわけない。


 寝て起きて増える数字ってなんなんだろうって思いながら昼休憩のファストフード店に同僚と入った。


 ハンバーガーとジュースとポテトを人数の数だけ頼んでテーブルを囲む。


 同僚の大きな一口で始まる食事。


 レベルが上がるようにピコンと同僚の数字が一つ上がった。


「幸せですか?」


「俺? そりゃ、美味しいからな」


 この人はゴミ屋敷に住んでるからか、小さなことでも幸せを感じるらしい。


 僕には不幸にしか見えないけど九という数字は強いと思った。



『まじあり得な…』



 前の席の女子高生がポツリとつぶやく。


 見ているとスマホを持って親指を走らせ始めた。



 背中を向けた彼女の表情を読む超能力は僕にない。


 僕は目を細めてスマホの画面だけ見させてもらった。


『ママ助けて!ハンバーガーの中に虫入ってた!!! もしかして虫食べちゃったのかなあ(;∀;)』





 ピコン。数字が増える音。





 見上げると彼女の頭の数字はゼロからイチになっていた。






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