女の敵を賢王の器に戻します
5月14日、いただいた誤字報告を適用しました。ありがとうございました。
『リュカ。今回の貴女の仕事ですが、エイレイン王国王太子バードナーを次期国王に相応しい真人間にすることです』
神様からのよくある無茶振りが来た。
私はエイレイン王国の聖女リュカ。記憶の限りだとまだ十八歳のはず。聖女は生まれた日を記録に残されないから正確なところはわからない。
たかが生年月日を記録しないのは聖女に稀に発現する個性のせい。たとえば私のような、神様からの任務遂行中は不死身、とか。最近なんだか髪や爪の長さも一定になってる気がする。
「バードナー王子って、あの山のように色情霊をくっつけてる?」
聖女の能力は各々だ。私は生きている人間の色情霊が見える。
色情霊は死霊ではない。その人間が現在から未来に性的に関わろうとしていて、相手もその意思がある場合に現れる生霊だ。
だから、ぶっちゃけモテない人には色情霊はついてない。
そして私は知りたくもない爛れた人間関係が見えることになる。
『バードナーが女性にだらしないままでは国が乱れます。あの王子は其処さえ正せば民を至上の幸福へ導く賢王の器なのです』
バードナー王子は確かに優秀だ。
若干二十歳ながら国内全ての領地を自らの目でお忍びで視察し視野も広い。
単身での視察から生還するほど腕も立つ。
王宮の書庫の膨大な資料を全て記憶し、必要に応じて知識を使いこなす。
健康な体は恵まれた長身で引き締まった筋肉を有し、優美な整った容貌に人好きのする笑顔を浮かべた金髪碧眼の、とにかくモテ要素のカタマリみたいな男。
王子様がモテるのは悪いことではない。
王族は人気者である方が国は平和だ。
モテモテ王子の側に節操というものがあれば。
あの王子は全国を視察で回りながら、ひたすら女性と恋に落ちる。
ついでに夜会でも毎回恋に落ちる。
なんなら王宮内を歩きながらも恋に落ちる。
「アレを、矯正しろと?」
聖女にとって神様からの指令は絶対。
とても、かなり、すごーく、気が進まないが、与えられた任務は遂行しなければならない。
『バードナーが子種を撒き散らす前にお願いしますね』
うわぁ一刻の猶予も無い!
私は「行ってきます」と呟くと王宮庭園内の聖女の館を飛び出した。




