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シーズの受付嬢はバインバイン




「いやー、なかなか良いベッドだったな」

「朝までぐっすり眠れました。でも、シーナさんの魔法の家のベッドの方がフカフカでした・・・」

「あー・・・。あれな」


流石高級宿というだけあって、ベッドはそこそこ柔らかくて気持ちよかった。しかし、リリアちゃんには少々物足りなかったいたいだ。

俺の【安全地帯】の外装・内装は日本基準の造りだからねぇ。あのレベルをこの世界に求めるのは、ちょっと酷だと思う。


「あっ。でもでも、朝食のエビのサンドイッチはとっても美味しかったです!」

「あぁ、あれな。朝から贅沢だったな」

「はい!次はお隣さんが飲んでた貝のスープを頼んでみます!ふふ、楽しみだね。シロちゃん」

「ウォンッ!」


シーズに来てから、リリアちゃんの食事に対する意欲が高い件について。でも、何か楽しみがあるって良いことだよね。シロとも仲良くやれてるみたいだし、このままずっと仲良くしてほしい。


「お、着いたみたいだな。ここが冒険者ギルドか」

「へー、何だか飲食店みたいですね?」

「冒険者ギルド内に酒場が併設されてるらしいよ。朝だしそんなやつはいないとは思うけど、酔っ払いに絡まれないように気を付けような。シロとリリアちゃんは、お互い離れないように」

「「はい!(ウォン!)」」


俺はリリアちゃんとシロに注意を促しつつ、ギルドの扉を開ける。

あれ?そういえば、まともな状態で冒険者ギルドに入るのってこれが初めてじゃないかな。バランだと、俺が入るといつも空気が止まってたしな。はは、悲しくなってきたわ。

でもそう思うと、ちょっとワクワクしてきたな。今回は、冒険者とも仲良くしたいもんだ。


「・・・うわぁ」


期待に胸を膨らませてギルドの中へと入ると、朝っぱらから飲んで騒いでのどんちゃん騒ぎをしている冒険者たちの姿があった。目の前の光景にリリアちゃんがちょっと・・・いや、大分引いてる。それも仕方ないかもしれない。バランのギルドとは大違いなんだもの。

何というか・・・バランの冒険者たちってマジメちゃんの集まりだったんだなぁって思う。アイツらは、日中はちゃんと仕事してたしな。

片やシーズの冒険者たちは、朝っぱらから酒飲んで・・・ケンカしてるやつまでいるな。しかも、どっちが勝つか賭け事まで始めだしたよ。


「うーん」

「シーナさん、どうしました?」

「いや、ピッタリなんだけど・・・何か違うというか」


うーん、何だろう。社会のルールに囚われない荒くれ者・・・俺の思い描いた冒険者像ピッタリなんだけど、何か違うんだよなぁ。やっぱりあれかな。みんな筋肉ムッキムキのおっさんで、上半身裸なやつが多いし肩にトゲとか生やしたりしてるからかな?ヒャッハー!って叫び声が似合いそうだ。冒険者っていうより、山賊の方がしっくりくる。


「リリアちゃんや弓女の存在って希少だったんだなー」

「えっ?私と・・・多分リリィちゃんのことですか?」


バランでも薄々思ってたけど、シーズで確信したわ。冒険者ってほとんど近接職の男しかいないっぽい。ラノベだと、細見の綺麗な鎧来た冒険者とか女魔導士とか神官とかが定番だけどさ。現実って悲しいね。

シーズに至っては海賊みたいなムッキムキのおっさんと、山賊みたいなムッキムキなおっさんしかいないわ。女性率ゼロである。

その点、可愛くて冒険者で治癒師でもあるリリアちゃんと一緒に旅をしてる俺って勝ち組では?


「俺、リリアちゃんと出会えてよかったわ」

「ふぇっ!シ、シシ、シーナさんっ!?」

「これからもよろしくな」

「は、はい!ふ、不束者ですがよろしくお願いしますっ!」

「ん?お、おう?」

「・・・えへへ」


俺の冒険に彩をありがとうって意味を込めて、リリアちゃんに感謝の言葉を贈ってみた。やっぱりこういうのって、ちゃんと言葉に出した方が良いよな。リリアちゃんも頬を赤らめながら喜んでくれてる。言って良かったわ。


「さって、予定通りに登録しに受付に行こうか」

「で、ですね」


正直、結構酒臭いからさっさと用事を済ませてここから出たい。俺自身、酒が嫌いなわけじゃないけど、ギルド内に漂う臭気がキツい。俺でさえキツく感じるんだから、リリアちゃんやシロはもっとキツいだろう。


「すいませーん」

「見ない顔だね?ようこそ、冒険者ギルドシーズ支部へ。どんな用件で来たんだい?」


シーズの受付嬢さんは、マイカちゃんのような元気ハツラツっ!な感じじゃなくて、褐色でバインバインな大人の魅力溢れる人だった。ラノベあるあるの一つ、受付嬢が美人。これは素直に嬉しい。

だって男の子だもん。仕方ないね。リリアちゃんが自分の慎ましい膨らみと、受付嬢さんのバインバインを交互に見比べてる・・・大丈夫大丈夫。リリアちゃんまだ若いから可能性あるよ。


「あ、どーも。バランで冒険者してるシーナです。しばらくシーズで活動しようと思って、登録しにきました」

「同じく、バランで冒険者をしていました治癒師のリリアと言います」

「ウォンっ!」

「あら、とても礼儀正しい冒険者さん達とワンちゃんだね。二人ともよろしくね。アタイの名はマチルダ。あなたたちを歓迎するわ」


お、受付嬢さんはマチルダって名前らしい。どうやら俺たちは、マチルダさんに好意的に受け止められたようだ。さっきのやり取りの感じ的に、世話好きの姉御肌っぽい感じの人だな。


「ここって結構騒がしいですけど、いつもこんな感じなんですか?」

「ごめんなさいね。いつもはもうちょっと静かなんだけど・・・今は闇市の時期だからねぇ。この時期は、荒くれ者が多いのさ」


あー、これも闇市の影響なのね。白昼堂々、うちのシロを攫おうとするやつもいるし闇市の影響って思った以上に大きいのかな。


「・・・マチルダさん。大変じゃないですか?」

「あっはっは。お嬢ちゃん、心配してくれるのかい?アイツらも最低限の礼儀くらいは弁えてるし、酔っ払って迫ってくる輩は引っ叩いてやるから大丈夫さ」

「そ、そうなんですね」

「あぁ、そういえば登録しに来たんだったねぇ。ちょっと待ってな」

「は、はい」


おぉ、マチルダさんワイルドだな。まぁ、こんな世紀末的な奴らを相手にするんだ。それくらい根性が据わってないと務まらないのかもね。


「・・・マチルダさんって、強い方なんですね」

「そうだね。姉御みたいだね」

「私もあんな強い女性になりたいです!」

「お、おう」


おー、リリアちゃんがマチルダさんを尊敬の眼差しで見てる。この短時間で同性から憧れられるマチルダさんすげぇ。


「依頼ボードでも見て時間つぶすか・・・ってなんじゃこりゃ」

「どうしました・・・って、これって」


ヒマつぶしがてらに、依頼ボードに貼られている依頼票に目を通してみたがこれはひどい。リリアちゃんも目を見開いている。


「・・・通りで、シロが狙われまくるわけだ」

「・・・見事に白い魔物捕獲依頼ばっかりですね」

「ワフゥ?」


依頼票の八割が、白い魔物の捕獲依頼だった。ってことは、俺がぶっ飛ばしてたやつらって依頼を受けた冒険者かい。マチルダさんが言ってた荒くれ者が多いってのも、本当なのかもしれないな。


「リリアちゃんとシロは、外出時は俺から離れるなよ?」

「わ、私もですか?」

「あぁ、万が一があるかもしれないし遠くにいたら守れないしね」

「ま、守る・・・わかりました!ずっと傍にいますね!」

「ワォンっ!」


俺は再度、シロとリリアちゃんに念を押す。俺が思っている以上にめんどくさいことになりそうだし、保護者としては一層気を引き締めないとな。


「おまたせ。おや、神妙な顔してどうしたんだい?」

「あぁ、それがですね・・・」


そうこうしてたらマチルダさんが、戻ってきたみたいだ。マチルダさんは気を引き締めてる俺と頬を抑えてクネクネしてるリリアちゃん、欠伸をしてるシロを見て首を傾げてる。うん。傍から見たらちょっと危ない人たちだね。とりあえず、依頼票の件を伝えとくか。


「・・・なるほどね。アンタたちには、迷惑をかけちゃったみたいだね」

「いやいや、マチルダさんが謝ることじゃないよ」

「立場上、そういうわけにもいかないのさ。この件に関しては、ギルドで対処するから安心しな」

「そうしてもらえると助かります」


話してみるもんだね。シロがトバッチリを受けてる件は、ギルドの方でなんとかしてくれるみたいだ。おかげで、こっちも大分動きやすくなるな。


「あぁ、でもね・・・ちょっとこっちに寄りな」

「・・・おぉ」

「・・・むー」


マチルダさんは受付から身を乗り出し、小声で俺たちに語り掛けてきた。・・・前かがみになってるからバインバインなのがバインバインです。眼福だね。

そしてリリアさん。これは仕方ないんです。男の性なんです。だからそんなに睨まないで。


「闇市の時期は黒に近いグレーな依頼が多いのよ。手段は問わないから、依頼物を手に入れてこいって感じのがね。タチが悪いことにさ、その依頼の多くが貴族様からの依頼でね。無碍に出来ずに黙認するしかないのが現状なのさ」

「改めて、大変ですねー」

「そうなんだよ。こればっかりは、仕方ないんだがね」


悩ましげに両腕を前に組むマチルダさん・・・バインバインが更にバインバ・・・ごほん。

ギルドも大変なんだな。やっぱ貴族の権力すごいのかな?バランでは、会ったことないからわからん。でもやっぱりすごいんだろうね。ほぼ強奪に近い内容をゴリ押しで依頼できるんだもの。

あの王女サマも大概だったし、この世界の貴族王族って金や権力にものを言わせる系なのか?


「そういうことだから、この時期の依頼はお勧めしないわ。せめて闇市が終わるまで待ったほうが良いわね」

「ありがとう。そういう情報は助かるよ」

「そうですね。わざわざ親切にありがとうございまいた」

「ふふふ、アンタ達を気に入ったからね。何かあったらいつでも私を頼りな!」


おぉ、この人本当に姉御だなー。これは、リリアちゃんが尊敬するのも分かるわ。女性なのに漢気が半端ない。

俺たちは、再度マチルダさんにお礼を言ってギルドを後にした。





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