プロローグ
数多ある作品の中からお立ち寄りくださりありがとうございます!
設定ゆるゆる異世界なんちゃって洋風モノです。
広い心で受け止めてお読みくださいませ。
かつて世界は竜が支配していた。
世界最強種族=竜
――と、それ以外。
『竜族』以外の種族での序列は、『魔族』・『獣人族』・『人族』。
ほとんど魔力を持たない世界最弱種族『人族』は最も数が多かったが、国を構える事は出来ずにいた。
『竜族』に管理されている中、『魔族の国』、『獣人族の国』、『多種族の国』において、『人族』は底辺を支える労働力に過ぎなかったのだ。
今の人間が言う「人権」はなく、家畜の如く虐げられ、尊厳を踏みにじられてきた。
この世界の管理者たる『神』は、『人族』を哀れに思し召し、『竜族』の傲慢を矯正するために一計を案じた。
『人族』から選ばれたる【光の神子=神の愛し子】を『竜族』は庇護するべし――と。
弱者を労わる事を学ばせるための施策は、当初『竜族』による反発に遭い、【光の神子】は悲惨な末路を迎えた。
だが、「虐げれば神罰が下る」ために少しずつ、徐々に態度は軟化していったという。
そうした紆余曲折が在った約二千年の間に、『竜族』は表舞台から去り、『魔族』は滅び、『獣人族』は別の大陸に移り住んだ。
世界最大規模の大陸は、現在『人族』が支配する。
それでも【光の神子】は、現代にも存在した。
かつての役割から存在意義を変えて。
【光の神子=神の愛し子】は、居るだけで国を豊かにする存在だ――と世界に周知された。
「……はずだったんじゃ」
「えーと、その『光の神子』というのがわたし?」
「そうじゃ! なのに何回生まれ変わっても不幸のズンドコ」
「いやそれ『不幸のどん底』って言うんじゃ」
「うぉっほん! とにかく! 今度こそは! 今度こそは!! 幸せな生涯を送って欲しいんじゃーっっ!!!
――という事で、可能な限り加護やギフトを付与したからな。
向こうの世界で言う所の【チート】になるんじゃ。
向こうの世界の文化や技術をどんどん広めて、こっちの世界を豊かにしておくれ」
「いやいや、そう言われても……わたし専門職じゃなく、しがない事務員だったんだけど」
「大丈夫じゃ。何とかなるはずじゃ。
お前さんの両親も力になってくれるじゃろ。皆で幸せになるんじゃー!
そんじゃ、転生スタートじゃ!!」
「え!? ちょっと待って、神様!?」
――という訳で、わたしは異世界に転生したみたい。
だけど、生まれ変わってしばらくは、この神様との邂逅をすっかり忘れてたんだけどね!