第1話
私はヨハネ、ユダヤ王家の血筋として生まれた。
「あ、ヨハネじゃーん。また、聖書読んでたの?」
「そうですよ、アルラ。」
彼女は私の腹違いの姉だ。
「一つ問題でーす。デデン!」
「うん」
「創世記で、イブを騙した動物はなーんだ?」
こんなものは簡単。
「蛇でしょ?」
「え?嘘?熊じゃ...?」
「違いますよ。蛇ですよ。よく読んで見てください。」
「ほら」
懐から聖書を取り出して、創世記を開く。
「あっ...確かに」
アルラは恥ずかしそうに聖書の聖句を血眼になって読んでる。
「問題出しておいてそれはないですよ。アルラ」
「もう、あなたが知りすぎなのよ」
「で?本件は何?これだけですか?」
こんなしょうもない会話をするために話しかけられた訳ではなかろう。
「いや、別に、聖書読んでばっかで面白くないのかなーとか思ってさ」
「私はこれでいいんですよ」
「そうか、じゃ。それだけでした。」
私はここでアルラと別れた。
「ん、痛」
突然頭痛がしたと思ったら声がした。
「ヨハネよ。あなたは素晴らしい。」
私は言った。
「誰何ですか...?見えないですけどどこにいるんですか?」
「私は天使です。見えないんですよ」
「え!?は!?天使!?」
私は突然の出来事についていけず混乱した。
「落ち着いてください」
不思議にも気分が楽になった。天使はすごいね。
私は言った。
「天使か、なんのようでしょう」
天使は言った。
「先ほどのあなたの問答を聞いて、よく聖書がわかっていると感動しました。その聡明さを認めて、あなたを使命者といたします。」
「はい...え!?」
また驚いてしまった。