第42話:緊急依頼⑧
【精神耐性】と【苦痛耐性】を獲得したお陰でダンジョンを進むスピードが少しだけだが、早くなったお陰でもう少しで13階層に到達するところだ。
12階層では今の所は魔物の死体か冒険者の死体しか見ていない。
もう少しで13階層だな。そろそろ先に行った冒険者達に出会ってもいい頃だと思うけどな。あ、でも、俺達ってちょこちょこ休憩していたからな。
俺達は魔物と戦闘をしていないのにちょこちょこ休憩をしていたのである。理由は特に無い。
その頃ギルドマスター達はと言うと。13階層にいた。
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「ギルドマスター、やはり異常ですね。ここまで殆ど魔物と遭遇していません」
ギルドマスターは深刻そうに頷いた。
「そうだな」
ギルドマスターは誰にも聞こえない声で言う。
「出来るだけ早く、先にダンジョンに潜った冒険者達と合流したいものだ」
そういえば、あの者達は今どの辺まで来ているのだろうか。魔物には殆ど遭遇していないだろうがな。それに生半可な魔物ではあの者達の相手になるまい。それにまさか、【戦姫】が居るとは、思わなかった。
そもそも何故、【戦姫】が居たのかが分からん。確かこの都市の奴隷商館にオークションで落札されたと聞いたがまさか、本当だったのだな。
あの者達も良く【戦姫】を買えるだけのお金を持っていたものだ。まだ若いのに。しかも、あの【戦姫】が大人しくしているようだった。【戦姫】が捕えられた際には見る人全てを睨んでいたと聞いたと聞いていたのだが。
ダンジョン前で見た時はまさに恋する乙女の様だったな。いくら【戦姫】であろうと所詮は女という所か。
そんなことを考えていると。
「ギルドマスター、そろそろ先にダンジョンに潜った冒険者達に合流できると思います」
「そうか、なら少し急ぐぞ」
「「「「「はい!!」」」」」
ギルドマスターは移動速度を上げる。ギルドマスターを追うようにして冒険者達は進んだ。
そして、しばらくして14階層に到達した。
ギルドマスター達はそのまま進んで行くと1人の冒険者のしたいが目に付いた。その冒険者の死体はほんの2~3時間前に死んだと思われる死体だった。
「もうすぐ、冒険者達に合流出来るぞ」
ギルドマスターがそう言いながら後ろを向くと皆、かなり息を切らせていた。何故ならここまで来るのに、ずっと走りっぱなしでなおかつ、かなりのスピードで走っているギルドマスターを追いかけていたのだから。それにスピードを上げる前も最低限の休憩しかしていない。
「済まない。少し休憩をするぞ」
ギルドマスターがそう言うと冒険者達は倒れ込むようにして休憩を始めだした。
それを見たギルドマスターは。
急いで行きたいのだが、流石にこのまま行っても足を引っ張るだけだな。それに、先にダンジョンに潜ったパーティの中にはAランクパーティが何チームか居るからな。もしかすればワシらが合流する前に、終わっているかもしれん。
そう思いながらギルドマスターも休憩を始めるのだった。
しばらくして、冒険者達の体力が回復したが皆、お腹を空かしていたので干し肉や各々持ってきた食料を今食べている。勿論、ギルドマスターもだ。
少しして皆、食べ終わりすぐに先にダンジョンに潜った冒険者達に追いつくために移動を始めた。
移動を始めてすぐに、ギルドマスターと冒険者の一人が数匹の魔物の気配を見つけ冒険者が皆に伝える。
「魔物が数匹少し行ったところの少し広い部屋にいる。俺が先に行って様子を見てくる」
そう言い、気配を消し足音を立てずに少しずつ広い部屋に向かって行く。
冒険者の男は少しずつ魔物の気配がする部屋に近ずき部屋の中を隠れながら覗いた。そこには、オークが5匹居た。その中に1匹だけ周りのオークよりも少しだけ背が高くガタイが良いオークが居た。
男はそれを確認してすぐに仲間がいる所に戻った。
男が戻るとすぐに自分が見た事を皆に伝える。
「部屋にいるのはオークが5匹その中に1匹だけだが他のオークと違うオークが居た。多分だがオークリーダーだと思う」
冒険者達はそれを聞き直ぐに装備の確認をして部屋に向かった。
部屋に入った瞬間オーク2匹が突っ込んで来た。前衛の冒険者が突っ込んで来たオークを引き付けているうちに、ギルドマスターを含めた数人の冒険者が引き付けたオークの隙をつきオークを倒す。
そして、そのまま残りのオークに向かって突っ込んで行く。
ギルドマスターはオークリーダーを相手にしている。他の冒険者達は残りのオークをすぐに倒した。ギルドマスターも冒険者達がオークを倒してすぐにオークリーダーを倒した。
その後、少しだけ休憩してから先に進んだ。
しばらく進んでいるがあれから魔物を発見していない。そしてついに15階層に到達した。
そして15階層に到達して思った事は血の臭いだった。さらに血生臭さを気にせずに先に進んでいると。
「GYUAAAAAAAA!!」
と言う咆哮が聞こえてきた。それに何人かの冒険者が震えていた。
ギルドマスターは咆哮を聞き移動速度を上げる。それにギルドマスターを追い掛ける様にして冒険者達も咆哮が聞こえてきた方向に向かった。
そして少し行った所で広い部屋に出た。そこには数百人の冒険者が居た。
数百人の冒険者の中の1割程の人が死んでいるよ
うだ。それに3割程の人は怪我をしているようで、隅っこの方でポーションを飲んでいたり回復魔法を掛けてもらっていたりしている。
そして、残りの6割の人は地竜と戦っていた。戦況はあまり良くないようだった。
冒険者達の何人かがギルドマスター達を見つけ叫んだ。
「ギルドマスターがきてくれたぞ!!」
「これで勝てるかもしれねぇー!!」
「地竜を倒すぞ!!」
「「「「「「おおっっっ!!!」」」」」」
ギルドマスターが来たお陰で、一気に指揮が上がった。
ギルドマスターは地竜を見て驚いていた。
ワシはあんな地竜は知らんぞ! 何年か前に戦った地竜はもっと小さかったはずだ。この地竜は普通の地竜よりも強いな。確実に。
この地竜をダンジョン内から出す訳にはいかんな。
ギルドマスターはそう思いすぐに地竜に向かって突っ込んで行く。
そして、地竜の身体を剣で斬りつけるが鉄の塊を剣で斬ったような感触だった。
「むっ!」
ギルドマスターは後ろに下がり指示を出す。
「魔法使い、自分が1番威力がある魔法を詠唱しろ。前衛は防御に徹しろ! 中衛隙を見て攻撃しろ! 弓使いは目を狙え! 合図を出したら一旦下がれ!」
ギルドマスターの指示を聞き冒険者達はそれに、従った。
これまでバラバラに攻撃して居たが今は連携を取り攻撃をしている。
だが、地竜には殆ど攻撃が効いていない。
やはりか。地竜には全く攻撃が効いていない。このままでは下手をすると全滅だな。そもそも何故こんな階層に地竜が居るんだ。それにただの地竜がこんなに強い訳が無い。まさか、竜王か? だが竜王であればこんなものでは無いだろう。少なくともこの地竜は地竜の個体の中でも上位の個体だな。
そんなことを考えていると魔法の詠唱が終わったみたいだ。
「総員! 撤退だ!」
ギルドマスターが言ったのを聞きすぐに冒険者達は地竜から離れていく。
ある程度、冒険者達が離れると同時に魔法使いに合図を出した。
「今だ! 放て!」
魔法使い達はギルドマスターの合図を聞き皆、すぐに地竜に向けて色々な魔法を放つ。その多くが火属性魔法だ。何故なら地竜は火属性魔法が弱点属性だからだ。
魔法使いから放たれた魔法の殆どは地竜に直撃した。
地竜が咆哮を上げる。
「GYUAAAAAAAA!!」
ギルドマスターは地竜の咆哮を上げるのを聞き、直ぐに次の指示を出すのだった。
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冒険者達が本格的に地竜と戦い始めた頃、白夜達は13階層に居た。
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