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いずれ魔王になりその先へ  作者: 橘 琥珀
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第4話:模擬戦

 んっ? ここは何処だ?

 

「あっ、そう言えば俺って転生したんだった」


  このローブ【神器】だけあって便利だよな、汚れがついたら、勝手に綺麗にしてくれるみたいなんだよな。


 しかも、ローブだけじゃ無く、着ている者の服や体まで綺麗にしてくれから、かなり便利なんだよ。


 二振りの刀は、寝る時に邪魔なので、腕輪の中にしまっている。


  さてと、そろそろ酒場で朝食を食べるか。


  フードを被り部屋を出る。


 一階に降りて、酒場に向かう。


 昨日とは、違い客が俺しかいなかったが、朝早いことから、まだ寝ていのだろう。


 厨房の方から、昨日のおばちゃんが出てきて話しかけてきた。


「おっ、早いね! 食事かい?」


「はい、大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ! ちょうど、さっき出来たとこだったからね! ちょっと待ってな、すぐ持ってくるから!」


  俺が席に着き、すぐに料理が運ばれて来た。


「あいよ!」


  料理は、スープとサラダそれとパンだった。


 まず、サラダから食べてみると、塩で味付けされている。


 ドレッシングとかが欲しいな。


 塩だけじゃあ、あまり美味しくないしな。


 スープは、肉や野菜が入っており、思いのほか美味しい。


 特に、スープに入っている肉が美味しい。


 パンを口の中に入れると、フランスパンよりもとても固く、驚いてしまう。


 俺がパンが固い事に驚いていると、おばちゃんが話しかけてくる。


「何をしてるんだい? 黒パンをそのまま食べた人なんて、初めてみたよ。普通は、スープにつけて食べるんだよ」


「えっ、そうなんですか? だから異常に固かったんですね」


「知らなかったのかい? 何処ぞの貴族様かい?」


「違いますよ。なりたての冒険者ですよ」


「そうかい。まぁ、次はちゃんとスープにつけて食べるんだよ」


「はい」


  そう返事を返し、黒パンを一口サイズにちぎって、それをスープに染み込ませてから、口に運ぶと、黒パンがふやけて食べやすくなった。


 それから、料理を食べ進めていき、お腹が減っていた事もあり、10分も掛からずに、食べ終わる。


 おばちゃんに食べ終わったことを伝え、俺は冒険者ギルドに向かった。


  何事もなく、冒険者ギルドに到着した。


 冒険者ギルドに入った瞬間に、何人かこちらを見たが、すぐに視線を外していた。


 朝だからか、冒険者の人数が昨日来た時と比べ、倍近い人数の冒険者がいたので、少し驚く。


 受付には、昨日の受付嬢さんが、居たのでその受付の列に並ぶ。


 待つこと、10分程で俺の順番が回ってくる。


「次の方、どうぞ!」


「戦闘訓練に参加しにきたんですけど」


「分かりました。申請はお済みですか?」


「はい」


「では、ギルドカードを出して下さい」


  俺は、懐からギルドカードを出す振りをして、腕輪からギルドカードを出して渡す。


「えっ!」


  受付嬢さんが、渡したギルドカードを見て声まで上げて驚いている。


 なんか、やらかしたのかな? 俺。


 受付嬢さんが少し顔を赤くしながら、フードの中の顔を覗き込むようにして見てくる。


「白夜君ですよね?」


「はい。そうです、覚えてくれていたんですね。あっ、そうかフードを被ったままだったから、分からなかったんですね」


「……はい」


「そう言えば、名前教えてもらって、いいですか? 本当なら昨日、聞くべきでしたけど忘れてて」


「あっ、はい。私こそ昨日、名乗るべきでした。私は、ミリアです! これから、よろしくお願いします!」

 

 ミリアさんが満面の笑みで、言って来た為少しの間見惚れてしまう。


 平静を装いながら口を開く。


「……で、では、ミリアさん、戦闘訓練をするには、何処に行けばいいですか?」


「あっ、それならギルドの裏にある訓練場です。もうすぐ、始まると思いますので」


「分かりました。ありがとうございます、それでは」


  俺は直ぐに訓練場に向かう。



 訓練場に着くと、もう既に8人の冒険者が居た。


 その8人の冒険者は皆十代前半に見える。


 多分、俺と同じで、冒険者になったばかりなのだろう。


 8人の冒険者は、素振りをしていたり、影で休んでいたりと様々だ。


 周りを見ていたら、いかにも教官だと思われる人が入って来る。


「皆、集まってくれ!」


  集まるよう言われたので教官だと思われる人の前に皆集まる。


「今日は、9人だな。これから戦闘訓練を始める。俺の名前は、ドワンだ! ドワン教官か教官と呼んでくれ、よろしく。……そうだな。まずは、俺と一対一の模擬戦をしてもらう。武器はあの中から選んでくれ」


  ドワン教官が指さした所に目をやると、木で作られたいろんな武器が置いてあった。


「最初に模擬戦をしたい奴は、居るか?」


 ドワン教官が言い終わると、9人いる中の1人が元気よく手を挙げた。


「よしわかった。まずは、お前からだな。二番目からは適当に決めてくれ」


「お前、武器を選んで来い。他のやつも選んでおくように。お前、名前は?」


「はい! 俺は、ガデスです!」


「そうか! ガデス、武器が選び終わったら言ってくれ。直ぐに始める」


「わかりました!」




  ガデスが選んだ武器は槍だった。


 勿論、木でできた槍だ。


 ドワン教官とガデスが武器を構え、向かい合う。


 ドワン教官の武器は木剣だ。




  俺は2人の模擬戦をずっと観察していた。


 当たり前だがドワン教官が余裕で勝っていた。




 模擬戦は次々に進んでいった。


 勿論、全ての試合がドワン教官の圧勝で終わっている。



 とうとう俺の順番が回ってきた。


 俺は皆の模擬戦を観察をする為、一番最後にしてもらっていた。


 選んだ武器は、木剣だ。


 木剣を構え、ドワン教官と向き合う。


「始めるぞ!」


  深呼吸をして、木剣を強く握りなおす。


 そして、ドワン教官に向かって走りだし、木剣を右斜め上から振るう。


 見る人が見れば、素人同然だっただろう。


 だが、身体能力が違い過ぎた。


 ドワン教官は何とか木剣で受け止めようと動いた。


 ドワン教官が木剣で防ぐ。


 だが、木剣同士が触れた瞬間、ドワン教官は壁まで吹き飛ばされ気絶した。


 それを見ていた新人冒険者達は、何が起きたのかわからない様子で呆然としていた。


 そこにドワン教官が壁に激突した時の音を聞きつけたのか、ギルド職員らしき人が走ってくる。


 ドワン教官が壁に激突したところには、亀裂が出来ているのを見て、ギルド職員だと思われる人が言う。


「これは、何が起きたのかね!」


「えっと、あの…実はですね。模擬戦をしていたのですが、俺がドワン教官に斬りかかって、それを受け止めたドワン教官が壁まで吹き飛ばされてしまい、この状況にりました。それはそうと貴方は?」


「私かね、私はこの冒険者ギルドの職員をしているものだ。少し待っていてくれ、すぐにポーションを持ってくる」


  ギルド職員は、足早にポーションを取りに行った。


 少しして、数人のギルド職員を連れて戻って来た。


 戻ってきて直ぐに、ドワン教官にポーションを飲ませていた。


  その後、ギルド職員が今回の戦闘訓練に参加していた一人一人に何が起きたかを詳しく、話を聞いて行った。


 勿論、俺も聞かれたので最初説明したことと同じことをギルド職員に話した。


 その後、俺以外の新人冒険者は解散になったが、俺はギルドマスターが居るという執務室に付いて来るようにと、ギルド職員に言われ、ギルド職員に連れられて執務室に行くことになった。




最後まで読んでいただきありがとうございました。

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