第2話:冒険者ギルド
「ん、ここはどこだ?」
周りを見渡した後、思い出した。
「あっ、そういえば俺は、転生したんだった。あの老人のことは何となくだけど、神だとは思っていたけど、まさか【全王】様だとはおもわなかった」
全王とは、神々の頂点にいる神のことである。
俺は、目を覚ました今、自分がどこにいるのかを確認していた。
周囲を確認したところ、少し離れたところに山が見え、近くには道が見える。
俺は、道があるところまで行ってみると、山とは反対側の方に市壁らしき物が見えたので、そこに行くことに決めたが、まず貰った腕輪の中に、なにが入っているか、確かめる事にした。
使い方は、何故か自然と理解できた。
腕輪の中に入っていた物
黒色の刀
白色の刀
黒色のローブ
メイド服作成の魔道具
転移水晶
針
金貨5枚
銀貨10枚
大銅貨10枚
銅貨10枚
が入っていた。
何故メイド服作成の魔道具? なんて思っては、いけない。
転生する前に、全王様が『もしかするとふざけた物もあるかもしれない』と言っていた。
それが、これなのだろう。
メイド服作成の魔道具は無視して、次にいってみる事にした。
多分だが、黒色の刀と白色の刀と黒色のローブが【神器】なのだろう。
名前が無いと言っていたが、それは置いといて、まずは、出してみる。
黒色の刀と白色の刀と黒色のローブを腕輪から出すように念じると、黒色の刀と白色の刀は、鞘に収まったまま出てきた。
黒色の刀の鞘は、綺麗な装飾が少しされているだけで、後は真っ黒だ。
鞘からゆっくりと、抜いてみると、刀身に波のような刃文があり、その刃文と刀本来の美しさから、とても神秘的に見え、思わず見惚れてしまう。
黒色の刀は漆黒を彷彿させるような黒をしている。
しばらくの間、見惚れていたが、白色の刀がとても気になり、白色の刀を手に取る。
白色の刀の鞘は、綺麗な装飾が少しされているだけで、後は真っ白だった。
鞘からゆっくりと、抜いてみると、黒色の刀と同じような、波のような刃文があり、刀本来の美しさから、黒色の刀とは別で、とても、神秘的に見え、黒色の刀同様に見惚れてしまう。
少しの間、白色の刀に見惚れていたが、まだ確認する事があるので、白色の刀を鞘にしまう。
次に黒色のローブの質感などを確かめる。
確かめた所、着心地が、かなり良いローブだと分かった。
流石は【神器】だけの事はある。
次に転移水晶を確認する事にした。
確認してみると、なんでも自分が行ったことのある場所なら、この世界のどこにでもいけると言う水晶らしい。
だが、魔力がかなり必要らしい。
腕輪に入っていた金貨、銀貨、大銅貨、銅貨については、多分だがこの世界のお金だと思う。
針は、神器に血を吸わせる為に使う為だと思う。
確認した後に、【神器】だとおもわれる物に血を吸わせるのだが、自分の指に針を刺そうとしていたけど中々覚悟が出来なかった。(とても痛かった)
まず、黒色の刀に血を吸わせる。
血を吸わせると、ほんのりと光り、すぐに光が消えた。
もっとなんかあるかなと、思っていると、刀の情報が頭の中に流れ込んで来た。
次に白色の刀と黒色のローブも同様に血を吸わせると、ほんのりと光り、すぐに光が消え、頭の中に情報が流れ込んで来た。
地面に置いていた黒色の刀を右腰に、白色の刀を左腰に下げて、市壁だと思われるところに向かって道を歩き出す。
1時間掛からないぐらいで、市壁に到着した。
そこには、武装している人が何人も並んでいて、門のところにいる門番らしき人にカードを見せてから門を潜り、中に入って行っているようだ。
最後尾に並び、順番が回ってくるのを待つ。
5分程で、俺の順番が回って来たのだが、門番が俺の顔を見たまま、微動だにせず、どうしたものかと思い、思い切って声をかける。
「……あの、すいません。どうかしましたか?」
俺の声でハッとなり、すぐさま謝ってする。
「……す、すいません! 身分証かギルドカードを見せて下さい」
そう言われたが、持っていないので、持っていない事を正直に言う。
「すみません、持っていないのですが」
「そうですか。では、こちらの水晶に手を置いて下さい」
言われるがままに、水晶に手を置く。
置いた途端、水晶がほんのりと青く光り出す。
「はい、大丈夫です。銅貨3枚支払って下さい」
懐から、とり出すようにして銅貨3枚を取り出し、門番の人に渡す。
銅貨3枚を渡す時に門番に話しかけられる。
「この町は、初めてですよね?」
「はい」
「やっぱりですか、初めて来られる方にはいつも言っている事ですが、揉め事を起こさないように注意して下さい。それと身分証を発行してもらうか、冒険者ギルドで冒険者になるかしたほうがいいですよ」
「わかりました。冒険者ギルドってどこにありますか?」
「このまま真っ直ぐ行けば、二階建ての周りより大きな建物があります。そこが冒険者ギルドになります」
「ありがとうごさいます」
門を潜ると、周りからの視線が一気に向けられていたのだが、そんな事には気が付かず、冒険者ギルドを目指して歩いていた。
俺の顔を見た瞬間に固まっていることにすら気づいていなかった。
しばらく、歩いていると二階建ての周りより大きな建物が目に入ったので、あれが冒険者ギルドだ。
冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。
入った瞬間、中にいた人に注目される。
何で皆、俺の事を見て微動だにしなくなるんだろうと、思いながらも、冒険者ギルドの中を見回す。
冒険者ギルドの中は、かなり広く、一階には受付をしている人が4人いた、4人とも、とても美人だ。
一番空いている受付に並んで待つ。
しばらくして、俺の順番が回って来た。
「次の方、どうぞ」
そう言われ前に出て口を開く。
「あの、冒険者登録をしたいのですが?」
美人さんが俺の顔を見たまま、微動だにしなくなる。
またかと思いながらも、声を掛ける。
「……あの大丈夫ですか?」
俺が声を掛けたことにより、ハッとなり、すぐさま謝ってくる。
「……す、すいません。冒険者登録ですよね?」
「はい」
「では、こちらを記入してください。書きたくない場合は、書かないでも、大丈夫です。名前だけでも大丈夫です。もし、字が書けない場合は、代わりに書きますので」
「そうですか。わかりました」
名前のところに自分の名前を書こうとしたのだが、書けなかったので代筆をお願いした。
冒険者ギルドに来る途中に看板とかを見たけど日本語と違っていた。
でも、話は出来るようだ。多分これも全王様のおかげなんだと思った。
「えっと、白夜君ですね。冒険者ギルドについて説明しましょうか?」
「お願いします」
「わかりました」
説明し始めたが、とても長かった。
簡単に説明すると
冒険者ギルドは、ランク制になっており、ランクはG〜Sランクまである。
緊急依頼が依頼された場合は、その町に居るCランク以上の冒険者は、強制的に参加させられる。
それを断った場合、きちんとした理由が無く、断った場合は、なんらかのペナルティーが課せられる。
自分のランクが高い程、受けられる依頼が増え、難易度が高くなっていく。
依頼を受けるには、依頼ボードに貼られている、依頼用紙を受付まで持って行き、受領が完了となる。
依頼用紙に書かれている報酬金額は、既に町に収める税金やギルド側の手数料といった諸経費を抜いた額を表示しているので、依頼用紙に書いてある、報酬金額がそのまま全額が依頼を受けた者の報酬となる。
また規定日数以内に依頼が達成できなかった場合は、報酬の4割を違約金として冒険者ギルドに支払わなければならない。
また規定日数がない依頼も有る。
依頼については、自分と同じランクの依頼か、自分よりも下のランクの依頼しか受ける事が出来ない。
ランクアップをするには、基本的に自分と同じランクの規定日数依頼を何回かこなせばよいが、ランクアップ試験を受けなければならない。
パーティを組んでいた場合に受けられる依頼は、そのパーティの平均ランクより2段階上まで受ける事が出来る。
冒険者としての登録は無料だが、ギルドカードを紛失した場合は再発行手数料に金貨3枚必要である。
魔物などの素材を自分の判断で得意先等に販売しても良いが、その際に何らかの、トラブルが起きても冒険者ギルドは感知しない。
尚、冒険者ギルドでも素材の買取を行っている。買取金額が一定で有る。
冒険者ギルド同士がマジックアイテムで連絡が可能なので、違う国、違う支部でも、今まで通りギルドカードを使用できる。
依頼など他の事で冒険者同士が何らかの揉め事を起こしたとしても、冒険者ギルドは感知しない。
「わかりました。ありがとうございます」
「これから依頼をお受けになりますか?」
「いえ、これから宿を探そうと思います。どこかいい宿があれば教えてください」
「そうですね? 安らぎ亭は、どうですか?」
「どこにありますか?」
「ここからでて右に行くと左側に安らぎ亭という看板があるのでわかると思います。それと新しく冒険者登録をした人には、無料で毎日朝から夕方まで戦闘訓練をしています。よければ明日にでも参加しますか?」
「はい、お願いします」
「わかりました。では、申請をしておきます」
「よろしくお願いします」
「では、明日お待ちして降ります」
「わかりました。それでは」
白夜が冒険者ギルドを出た後、冒険者ギルド内では、白夜についてかなりもりやがっていた。特に女性陣が。
受付嬢さんと話している最中もかなりの視線を感じていたので、恥ずかしくなった俺はローブのフードを深くかぶって冒険者ギルドを出た。
冒険者ギルドを出た後、受付嬢さんから教えてもらった安らぎ亭に向かった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。