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ねこねこ王国  作者: ねこ
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タキシードキャットのセバスチャン

「待って~!セバス~!」


わたしの数歩先を早足で歩いては、こちらを確かめるように振り返るセバスチャン。

まるでついてこいって言っているようで。

わたしはセバスチャンに置いていかれないように、小走りで後をついていったのだ。


///


わたしがセバスチャンに出会ったのは、10日前。

スーパーからひとり暮らしをするアパートに帰ってくると、ドアの前にちょこんと座っていたのです。つやつや毛並みの、白黒タキシードキャット。

アパートを借りてひとり暮らしを始めたばかりのわたしは、このつやつやの猫さんを、おうちに招き入れたのでした。


「よし。お前はタキシードを着てるみたいなタキシードキャットだから、セバスチャンと名付ける!セバス!今日から家族だよ!」

セバスは、目をぱちぱちさせて、耳をパタパタ、「にゃ~お!」と返事をした。


「わたしの名前は、みお!みおって呼んでね!」

「みゃおー!」


こうして、わたしとセバスの生活は始まったのだ。

セバスはとっても賢い猫だった。

それまでに、野良猫に餌をあげていたことはあるけれど、猫と暮らすのは初めてだから、セバスが賢いのか、それとも猫って賢いのかは実際分からないけれど、セバスは賢い猫だった!


「ごはんだよ~!」「にゃお~」

「カリカリがいい?缶がいい?それとも、ねこまんま?」と聞くと、「ねこまんま」のところで「にゃっ!」と答えるし。

猫用トイレは使わずに、人間用のトイレを使っているみたいだった。しかも、自分で流すのだ!ネットで、便器で用を足す猫は見たことがあるけれど、流すところまでするセバスは本当に賢いと思うのだ。

初めてのときは、間違えてウォッシュレットのボタンを押してしまったみたいで、「びゃあ~!うにゃああああ!」と悲鳴が聞こえて駆けつけたけどね。でも、それ以降は間違えてないみたいだ。


猫だからお風呂は嫌いかと思っていたのに、わたしがお風呂からあがると、バスタブにダイブして気持ちよさそうに浸かっていたし。でも、お風呂好きなくせに、わたしとは一緒に入ってくれなくてちょっとツレない。一度、「セバスとお風呂に入ろう!」と思って誘ったけど、すっごい勢いで逃げられた。

ちなみにセバスがお風呂に入ると、毛だらけなお湯になるので、残り湯が洗濯に使えない。でも可愛いから残り湯は、セバスに譲ることにした。


そうそう。

セバスには、真っ赤なリボンをプレゼントした。だって、タキシードだから!首には蝶ネクタイでしょう~!リボンを、首に蝶結びしてあげると、「にゃおにゃおーん!」って、嬉しそうにしていた。

リボンは大切にしてくれているみたいで、お風呂に入る前には、猫の手でほどいていた。蝶結びだから、引けば解ける仕組みなんだけど、最初は解き方を間違えて首をしめて苦しそうにしていた…。お風呂から出て、毛が乾くと、リボンを咥えてわたしのところにやってきて、「みゃお!にゃにゃ?」と蝶結びをおねだりするのだ。ああ、可愛い!


夜は、一緒の布団でくっついて寝た。最初は固辞していたセバスだけれど、春先のまだまだ寒い夜。寒さに負けて、布団に入ってくれた。セバスは遠慮して、足元で丸くなってたけど、朝起きると、もふもふのセバスはわたしの抱きまくらになってた。


そんな感じで、セバスとは1週間一緒に暮らしたのだ。それなのに、突然、いなくなってしまった。いなくなってしまう日の朝、

「みゃお。にゃにゃにゃにゃー、にゃんにゃんにゃ?みゃお?」ってなんか言ってた気がしたけど、出先から帰ってきたらいなくなっていた。


それからは、お風呂の残り湯は洗濯に使えるようになったけれど、一人で入る布団は寂しくて冷たくて、時間の限り近所の公園とか塀の上とかを探していた。


そして!ついに見つけたのだ!

あのつやつやシャイニーなタキシードは絶対にセバス!リボンは、なぜか縦に蝶結びになってたけど。公園のブランコの上で、こちらをじっと見つめていた。

「セバスーーーーーーーーーーーー!」と駆け寄って抱き上げると、ゴロゴロ言いながら擦り寄ってきたセバス。こんなにセバスからくっついてくれるのは初めてだ!と感動していたら、ハッ!とした顔をして(猫の表情だからわかりづらいけど、ハッ!ってしてたよ、絶対)、ヒラリと地面に降り立ち、まるで「ついてこい」って言うみたいに掛け出したのだ。


///


ようやく見つけたセバスを見失うわけにはいかない!と、追いかけてたどり着いた先は、草ボウボウの空き地だった。

太陽はちょうど沈もうとしていて、猫達のシルエットがたくさん見えた。ん?猫達?

よく見ると、猫が5匹。赤・青・黄色・ピンク。そして白黒タキシードのセバス。

あれ?赤・青・黄色・ピンク?あれ?逆光なのに、それでも、その色は鮮やかすぎて、ハッキリと浮かんでいた。とりあえず、ようやく追いついたセバスを抱きかかえながら、

「黄色の子は、黄色というより黄金色かもしれないな。あれ?黄金色の子って昔、孤児院の裏にいた子かな?っていうか、猫をあんなカラフルに染めちゃうなんて虐待だわ!」

ぽーっと考えていたら、太陽が沈んだ。

と、同時に…。地面が光った!!!!!!!ピカーって!光った!!!!!!!!!


「うわあああああ眩しいーーーーー!」

思わず目を瞑ったら、なんだか地面がぐらぐら、ぐにゃぐにゃして、「地震!?セバスを守らなくちゃ!」とギュウっと抱きしめた。

そして気がついたら、わたしは、タキシードを着た、猫耳のイケメンにお姫様抱っこされていた。

あれ?


そしてイケメンが耳元で、「みお?」って囁いた。

にゃああああああー!




初投稿なのですにゃー

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