怪物
暗闇で目が覚めた。ここはどこだろうか。辺りを見回すとぼんやりと淡い光を放つ一つの赤い風船があった。近づいてみると、そこには山のように積み重なるクッキーをボリボリと食べている怪物がいた。
私は驚いたが、恐怖は無かった。
怪物はクッキーを食べる手を止めない。しかし、ぎょろりとした目だけがこちらに向いた。
「美味しいよ。」怪物はおどろおどろしい声で言った。
私は恐る恐るクッキーに手をつける。その美味しさと言ったら、どう表したら良いのだろうか。風味の良いバターの香り、そしてほのかに甘い。チョコレートの苦味が良いコントラストになっている。一口食べたが最後、手を止められなくなっていた。
気がつくと怪物はいなくなっていた。しかしクッキーはまだある。夢中で食べ続けた。
ふと横を見ると女の子が立っていた。私の顔にそっくりだった。