第六十一話 最強の二人、ついに揃って学校に現れる
―—アタル視点——
ついにやってきました、文化祭!
僕は異世界に飛ばされちゃったから、高校の文化祭って未経験だから何気に楽しみにしてたんだよ、今日この日を!!
由加理ちゃんのメイド服を見れるっていう楽しみもあるんだけど、文化祭自体もすっごく楽しみなんだ。
本来過ごせる筈だった青春を、今日一日だけでも味わえるからね!
さて、学校に向かう前に実は合流した人がいる。
そう、噂のアデルさんの想い人!!
「夢可さん、本当に来ていただいてありがとうございます」
「べ、別に大丈夫だ。ちょうど暇だったしな」
アデルさんと……田中さん、だっけかな?
とっても初々しい会話をしていてほほえましい。
しかしなんていうか、写真で見た事あったけど、改めて見るとちょっとヤンキーっぽいね。
髪も金髪に染めているし、目もちょっと鋭い。
でもスタイルがかなりいいのがわかるね。特に胸!!
長袖のTシャツを着ているんだけど、胸が押し上げててへそがちらりと見えてるんだよ!
そしてチノパンツを履いているんだけど、足がほっそいのよ!
つんつんした棘がある美人さんって感じ。
ま、由加理ちゃんにはかなわないけどね!
「えっと、確かあんたがアデルの親友で立花 アタルだっけか? 今日はよろしくな」
「あっうん。今日はよろしくね、田中さん」
「……ぉぅ(ってか、こいつもかなりイケメンだ……。イケメンにはイケメンが寄ってくるかもな)」
田中さんはぼそぼそと呟いたつもりだろうけど、勇者イヤーはそんな小声も聞き逃さない!
いやぁ、イケメンなんて嬉しい事言ってくれるよ!
超絶ハードな訓練をさせられたおかげで肉体を絞れて、こんなにもイケメンと評されるまでの雰囲気も得られた。
こればっかりはあの超ムカつく愚王に感謝だね!
「さて、メンバーも揃ったし、入場しよっか」
「わかりました」
「了解」
僕が由加理ちゃんから預かった一般客入場チケットを持っているので、アデルさんと夢可さんを先導する。
校門の前に来ると、受付をやっている女子生徒が声をかけてきた。
「こ、こんにちは! きょ、今日はその……一般入場でしょうか!?」
何か妙にきょどってるな、大丈夫かなこの子。
僕はちょっと心配になりつつ、とりあえず笑顔を浮かべて答えた。
「あっ、はい。僕を含めた三名でお願いします」
「はははははいぃぃ!! どうぞ楽しんでくださいませぇぇぇ!!」
「あはは……どうも」
顔を真っ赤にして視線が定まっていない。
酷く興奮しているような状態だなぁ。
これはあれだな、僕とアデルさんのイケメン力に当てられちゃったな?
ふふふ、罪深いなぁ僕達は!
「じゃあ行こうか、二人とも」
「わかりました、アタルさん」
「……ぉぅ」
アデルさんは目を輝かせて答えてくれて、田中さんは声が小さめに答えた。
ん~、緊張してるな、田中さん。
ならばと僕は《念話》をアデルさんに繋いだ。
『アデルさん、田中さんが緊張してるよ? アデルさんが誘ったんだから、しっかり寄り添って話しかけてあげなよ!』
『……あっ! わっかりました!』
この魔王、恋愛初心者だからなぁ。
ちょっとぎこちないながらも田中さんの隣に行って話しかけていた。
「えっと、度々で申し訳御座いませんが、本当に夢可さんが来てくれて嬉しいです」
「……そっか。別に立花と回ってもよかったんじゃないか?」
「いえ、私は夢可さんとも一緒に回りたかったのです。私は文化祭というものが初めてなので、夢可さんに色々教えてもらいたかったので」
「私で、いいのか?」
「ええ、貴女がいいです」
「……うん」
……おい、もう付き合ってるんじゃないの、この二人。
これでまだ付き合ってないんだって。
ありえないっしょ!!
……どっかで二人きりで回ってもらおうかな。
「うわぁぁ……これが高校って場所なんですね!」
「アデル、学校初めてなのか?」
「あっ、えっと」
おっと、アデルさんが返答に困ってるぞ。
ここは親友である僕が助け舟を出そうじゃないか。
「ああ、アデルさんはね、外国の学校に通ってたんだよ。でも日本とは全く作りが違うから、日本の高校に結構憧れを抱いてたんだよ。ね、アデルさん?」
「そ、そうなんですよ! 中でもこの文化祭というものは祖国にない文化ですからね! とっても楽しみにしてたんです!」
嘘の中にも本当を混ぜるとあら不思議、意外と疑われない、とアデルさん。
実際に田中さんも「あぁ、なるほどな」と納得していた。
よしよし、僕の助け舟が相当効き目あったようだぞ!
こんな感じで校舎を目指して歩いていると、入り口辺りに一人のメイドさんが立っていた。
勇者アイを使って誰かを確認すると、脳天に雷が落ちた。
何と、黒主体で白のふりふりをふんだんに盛り込んでいるメイド服を来た自慢の彼女、由加理ちゃんが立っていた。
若干短いスカートから覗く細くて白い足に、絶妙な絶対領域のニーソックスを履いている。
やや胸を強調したメイド服で、由加理ちゃんの程よい胸が浮き彫りになっている形だ。あぁ、素敵すぎる。
そして極めつけが、なんとポニーテール!!!
エクセレント、ブラボー、マーベラス!!
僕から語彙力を簡単に奪っていく!!
そんなスペシャルグレートサンダーキュートな由加理ちゃんが、僕達に気が付いたのかこちらに走ってくる。
「あっくん!!」
「由加理ちゃん!!」
僕は由加理ちゃんを抱き止めた。
あぁ、こんな素敵なメイドさんを彼女に持てて、僕は何て幸せ者なんだ!
「いらっしゃい、あっくん! それにアデルさんと確か……田中さんでしたよね?」
「ぉぅ、その、よろしく」
「はい、よろしくお願いします! アタシは安藤 由加理と言います」
「私は田中 夢可」
ぎこちないながらも、田中さんも由加理ちゃんに対して自己紹介をしてるね。
まぁ今日はまだ長いし、ゆっくりと打ち解けていけばいいよね。
「あれ、由加理ちゃん。今日クラスの仕事は大丈夫なの?」
「うん! さっきあっくん達が来るまでの間、すっごい売上叩き出したから、三時間程自由時間を貰えたの!」
そっかぁ。
確かに今の由加理ちゃん、超絶可愛いからそりゃ客がガンガン寄ってくるよねぇ……。
ちょっとジェラシー。
「だからあっくん、三時間アタシと一緒に回ってほしいな!」
「それは勿論、喜んで」
「ふふ、やった!」
由加理ちゃんが満面の笑みで僕の腕に抱きついてきた。
胸が当たってますぞぉぉぉぉっ!
ありがとうございます!
おや、後ろにいるアデルさんと田中さんにも何やら動く気配がするぞ?
僕はちらっと見ると――
「えっと……夢可さん。結構人がいるみたいですし、その……はぐれないように手をつなぎません、か?」
「そ、そうだな……! いい考えだな!!」
二人は顔を真っ赤にして遠慮がちに手を繋いだ!
おぉぉぉ、何か見ててこっちまで恥ずかしくなるじゃない!
すると由加理ちゃんが僕の耳元で呟いた。
「何か、初々しいね」
「本当だね。しかも異世界の魔王があんなに初々しいの、うけるよね!」
「ふふ、わかる!」
二人で見合ってくすくす笑っていると、今度はアデルさんから念話が飛んできた。
『何クスクス笑ってるんですか……。後、お二人が呟いた言葉は私にも聞こえてますからね……!』
おっと、魔王イヤーも優れものだったようだ。
「まぁまぁ、とりあえず由加理ちゃん。どういうのがあるか教えてくれる?」
「うん! アタシ的におすすめなのが『バスケットボール部員から得点を決められたら夢の国のペアチケットを二枚プレゼント』だね!」
……夢の国のペアチケットをプレゼント……!?
マジで!?
超太っ腹じゃん!
もう決まったも同然だ。
「よし、行こう!」
僕と由加理ちゃんは、アデルさん達の意思も確認せずに向かい始めた。
アデルさんと田中さんは僕達を追いかけるようについてきてくれたのだった。




