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二人の最強による、日本観光記  作者: ふぁいぶ
第三章 松本市観光編
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第五十七話 発動、女神の奇跡

久々に始動します!

これから遅くても週一ペースで更新していきますので、こちらもよろしくお願いします!


 ――アタル視点――


 僕の手を握った女神様が、ぐんぐんと僕の気を吸っていく。

 力が抜けていくような感覚がちょっとこそばゆいけど、僕の気の量は尋常じゃないから問題ないんだよね。

 ちなみに、気の量はどれ位かっていうと、異世界で一番多いと言われている人の五倍位なんだよね。

 威力で言うなら、北海道は吹き飛ばせるんじゃないかな。

 うん、僕、間違いなく歩く破壊兵器だよなぁ。

 

 女神様に気を半分位持っていかれた。

 気だるさが残るけど、普通には動けるね。


「ではアタル様、私の勇姿を見ていてくださいね♡」


「いいから、早くやって」


「畏まりましたわ♡」


 いちいち語尾にハートマークが付いてそうな、猫撫で声は止めて欲しい。

 変態にそれやられるのは好きじゃないんだけど。


 女神様の身体が発光している。

 これは《神光》と呼ばれるもので、神の力をフルに使う際に放たれる光なんだそうだ。

 しかし下界するには相当の力を使ってしまう。

 だから彼女は僕の気を吸い取って自分の力に換え、神の力を遂行しようとしている。

 これから行う奇跡は、尋常じゃない気の量を兼ね備えている勇者の僕でも、恐ろしい程の魔力を持つ魔王であるアデルさんでも絶対に行えない、神の御業だ。


「《ああ、儚く散ってしまった愛しき生命達よ。貴方達はまだ輪廻に乗るには早すぎます。我が奇跡を以て息を吹き返し、正しい生の道を歩みなさい》」


 女神様の聞き惚れてしまう程綺麗な言葉が響き渡る。

 すると、天から無数の小さな光が降り注ぐ。

 これは人間の魂なんだよね。

 そして日本では、さらに不思議な事が起こる。

 日本の考え方では、物にも魂や神が宿っているとされているんだけど、女神様曰く正しいらしい。

 様々な欲や念を持っている人間が、その物体に触れていると欲や念が物に宿り、そして一つの意識を持つのだとか。

 人間の念が強ければ強い程、宿る意識は強い力を宿していて、神格化する事もあるんだって。

 この光の中には、壊された物品や建物の魂も含まれているんだ。


 まずは建物が直っていく。

 崩れて瓦礫となっていた建物が、まるで時間を巻き戻しているかのように戻っていく。

 そして黒焦げの焼死体に光が降り注ぐと、これも巻き戻ったかのように焼けた皮膚が再生していき、服も元通りになる。そして呼吸を始める。


 死んでしまった大事な人が生き返り、感涙する住民達。

 よかった、皆が生き返って。

 すると女神様が申し訳なさそうに話し掛けてきた。


「アタル様、申し訳御座いません……。何人かどうしても生き返らせる事が出来なかった人間がいます」


「え、何で?」


「先程アタル様が戦っていた人間が、前から何人かを殺害しています。その者達はすでに次の輪廻に向かっているので蘇生は不可能でしょう」


 どうやら全ての魂は死語、輪廻転生を司る女神様の元に送られ、生前の人生を判定して次の生を決められるらしいんだ。

 次の輪廻に向かっている、という事はすでに転生しちゃったって事なんだよね。生き返った人はまだ殺されたばかりだから、輪廻に向かう最中に引っ張ってこれたって事になるね。

 しかし、あの自称最強さんはそんな事をやらかしちゃっていたかぁ。

 こりゃもう、更生なんて絶対に無理でしょ。

 そういえば奥野さんが連行していったけど、そのまま警察に引き渡すつもりなのかな?

 まぁどうでもいいけどね。


「それではアタル様、私はもうこの世に顕現する力は残っていないので、これで失礼しますわ♡」


「うん、ありがと。またね」


「ああん♡ 相変わらずの塩対応♡ それがまた素敵ですわ♡」


 そう言い残して、女神様は姿を消した。

 本当、嵐のように来ては嵐のように去っていく人だなぁ。いや、神様だな。

 僕はライトブリンガーを地面から引き抜き、左手に収納する。

 その後振り返ると、アデルさんと奥野さんが口を開けて呆けていた。


「どうしちゃったの? 二人共」


「どうしちゃったのじゃない! 何なんだ! 勇者、お前は女神を使役しているのか!?」


「いやだなぁ、神様を使役出来る訳ないじゃん。何か知らないけど、向こうが勝手に僕に惚れ込んじゃって、お願いしたら協力してくれるんだよね」


「……まるでヒモ生活をしているダメ男みたいな台詞だな」


 奥野さんが僕の事をヒモ男と評した。

 止めてよ、そんな人聞きの悪い!

 アデルさんの方に視線を向けてみた。


「あの駄女神に、こんな力があったとは……」


「僕もダメ元でお願いしてみたんだけど、意外に簡単に出来ちゃったね」


「アタルさん、これをほぼノーリスクで出来てしまうのは、本当に反則ですよ?」


「うん、何となく自分でもわかる」


 僕が歴代最強の勇者と言われる由縁は、女神様から愛されていて『如何なる全ての物を絶つ剣』であるライトブリンガーを貰った事だね。

 それを抜きにしても、《武の頂点》っていう、一度見たらどんな武術も習得出来るっていう反則スキルがあるからなぁ。歴代勇者の中でもダントツで強力なスキルらしい。

 そして女神様は僕のお願いを、気を渡すだけで叶えてくれるという点は、本気でヤバイだろうね。

 これは向こうの世界のクソッタレ国王には言っていないからいいんだけど、バレたら自分の願いを叶えよとか言ってきそうで面倒臭そう。


 そんな事を考えていたら、アデルさんが奥野さんに対して発言した。


「奥野さん、私達は貴方を信用しています。ですからこの蘇生の件は上手くごまかしてください」


「わかってる。こんな力があったら、国は絶対に利用しようとするだろうな。まぁ異世界産の一度だけのびっくりどっきりアイテムって感じで報告しておくさ」


「よろしくお願いします。もし、国が私達を利用するようならば、この国のトップや貴方達に、『物理的に』永遠の闇をプレゼントしましょう」


 そういってアデルさんは掌の上に掌大の闇を生成した。

 この闇は、覗き込めば覗き込む程に先が見えなくて、まるでブラックホールを連想させるようなものだった。

 さらにアデルさんは小さな殺気を体から放つ。でも、残念ながらどっかの戦隊もののピンクの仮面で顔面を覆っているので、凄みは半減しちゃっている。


「わ、わかった。俺はお前達に喧嘩を売るような真似はしない! それは誓おう」


「信じていますよ、奥野さん」


 脅しは十分に効果を発揮したみたいで、奥野さんはヘッドバンキングしているかのように頭を縦に振っている。

 面白いなぁ、奥野さんは。

 あっ、そうだ。

 僕は気付いた事があって、奥野さんに話し掛けた。


「ねぇねぇ、奥野さん。そういえばさっきのマスコミの人達、途中まで僕達をカメラで撮っていたけど大丈夫なの?」


「ああ、抜かりない。俺の部下が途中で中継を止めさせたから」


「げ。あれ中継だったの!?」


 マジでかぁ……。

 あれが中継となると、途中まで僕達の姿を撮されているって事だよねぇ。

 多分由加理ちゃんにはバレてるだろうなぁ。

 ふとスマホを取り出して通知を見てみると、メッセージアプリに由加理ちゃんから何度かメッセージが飛んできている。


『あっくん、大丈夫!?』


『無事に帰ってきてね』


 そして最後は、可愛らしいアザラシが「心配だよ」と言いながら震えているスタンプが送られてきていた。

 ああ、僕の彼女は本当に素敵で可愛いなぁ。

 僕は速攻で返事をした。


『全て片付けてきた! あんな奴を抑えるなんて造作もないよ。お手玉の方が難しい位だし!』


 はい、送信っと。

 アデルさんの方を見ると、スマホを必死に操作している。

 ああ、好きな人にメッセージを送っているのかな。

 仮面で顔が覆われているから表情はわからないけど、きっとニヤニヤしてるんだろうなぁ。

 僕もニヤニヤしてるしね。


 何だか由加理ちゃんに会いたくなったけど、今は旅行を堪能しよう。

 まだまだ時間はたっぷりあるしね!










 ――由加理視点――


 途中で中継が切れてしまった事で、アタシは物凄く不安に襲われる。

 あのあっくんの事だから大丈夫だと思うんだけど、それでも心配しちゃう。

 あぁ、本当に大丈夫なのかな……。

 すると、アタシのスマホが振動した。

 速攻でスマホを操作すると、あっくんからメッセージが来ていた!


『全て片付けてきた! あんな奴を抑えるなんて造作もないよ。お手玉の方が難しい位だし!』


 ……うん。


「お手玉の方が、多分簡単だよ、あっくん……」


 相変わらず、アタシの彼氏は人外でした。

 でも無事だったんだね、本当によかったよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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