第三話。夜と過去
夜と言うのは町を、暗くしてしまうものだ。それは当たり前のことだ、太陽が沈めば暗くなり星が見え、月が見える。しかし太陽のような輝きは無い、影が動き出すのには十分な時間帯である。
「今日の報酬は、これだけか」
また、一人ここにその影が存在した。彼は先ほど宝石店から宝石やら金品を盗んできた者だ、現在表通りがそれで大賑わいだが裏で彼はこうやって簡単に今回の報酬を見ている。
「まったく警察も最近早くて困るぜ。まあオメガマンとあの悪の組織のおかげでこっちはしたい放題に近いからいいけどな」
その瞬間物音が聞こえた……
「だ、だれだ!」
男は声を上げるが周りには誰もいない……そう周りにはだ。
「ぎゃっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
男の声はその声以降悲鳴だけとなったであった。
◇
「今回は早くこれたと思ったんですけどね」
「バカモノ!犯行がすでに起こっていた時点でこっちの負けなんだよ!!」
独りの刑事がそういう、彼のは名前は飛鳥悟郎。川木署の刑事課の本部長で部長に珍しいく現場を指揮している人。正義感に熱く地元市民からも信頼されている。
「も、モウシワケナイッス!」
この若干若者言葉が抜けない彼、現在飛鳥の横で実況見分に出ていたのが、寺島翔太だ。今年から入った新米刑事であり、まだまだ飛鳥さんに怒られてばかりの様子。
「それで、今回の手口は?」
「えっと鑑識の調べてによるとっすね。典型的な瞬間てきな犯行らしいですね、窓を叩き割ってそのまま金品類を強奪ですね。犯行の早さから言えばたぶん手慣れかと」
「……そうか、世間では悪の組織と言われるが、こうではな」
「昔の話はしょうがないでしょう、飛鳥先輩。なんせ今じゃそっちの方がニュースとしてやり立ちやすいですもん」
「分かっている「ぎゃぁぁぁぁぁ!」……寺島!」
「はい」
そして二人は、駆け出す。急な叫び声に対して二人は迅速に動き出した。その後ろから少し遠いがほかの警察官もかけてきていた。
そして
「こ、これは」
寺島はそんなことを言う。そこには、先ほどの事件で盗まれたであろう宝石などの金品類が転がっていたが、その先にその犯人であろう人間が、気絶しているのだ。
「鑑識さん、ってその前に救急車か……って飛鳥先輩?……飛鳥先輩?」
「あ、ああすまん……」
そして飛鳥はそのまま彼が犯人だとわかり、すぐに病院、逮捕になったのだがその前に飛鳥はこうつぶやいただの
「また、動き出したというのか?……ファントム」
◇
悠一は自室に戻ると、AIからの忠告を真っ先に受けた
[メラナイトはやはり100パーセント時の能力と今回の比較をするのならばおやめください、今回の起動では完全に40パーセントも動いていませんよ]
「そうか……メラナイトの回路の修復はやはり時間がかかるか……」
[それよりもあの行動はいつまでお続けになるおつもりですか?今日だってどれだけ美幸さんが心配していたことか]
「……ふぅ、そうだな。悪の組織が居なくなって前のように犯罪がニュースになるまでかな?」
ヒーローと悪の組織が生まれたおかげで犯罪率は低下した、それがこの日本の認識だったがそれは違う、実際は減ってもいない逆に増えていた。なぜか、それはニュースなど報道と言われるマスコミはすべてそちらに注目が回ってしまったからだ。そのおかげで影はさらに影となってしまう。しかも警察は変わらない人数で動いているため自然と犯罪が増えれる、逮捕までいかないだどいろいろ大変だ。そうだからこそ、この悠一は
[よいですか、あなたのお父様は確かに一番最初、犯罪を減らすための抑止力として動き出しましたが、今の世界では!]
「失礼しまします」
AIの声を遮るように老人の声が聞こえた。
「ああ、爺入ってきていいよ」
「はい、それでは。失礼いたします悠一様、して今日は」
「十人弱ってところかな、やっぱり春先だからか少しだけ多いよ。父さんの言うとおりだね、温かいというのはそれは軽装で動けるってこと」
「はい、その通りですね。して今日はお休みに?」
「ああ、そのつもりだが……AIからの小言がうるさくてな」
[言堂様からも何か言ってあげてください。今回なんてメラナイトを完全修復していないのに、無理ばかりと]
「何、それも悠一様の見どころということですが。しかしわかっておりますね……あなたはもう一人とは言えないのですからお気をつけください」
「分かっているよ。それじゃあメラナイトの修復頼むよアリス」
[……わかりました。ですが今回ので完全修復以外はロックをかけますからね!]
アリスことAIが怒声をかけると液晶から姿を消した。そして悠一は少しゆっくりすると、言堂に話しかけた
「それでどうかしたのかい、爺?」
「はい、実はですね。会社のほうで少しだけ動きがありましたのでご報告に」
その瞬間悠一の顔は変化した。すぐに端末で情報を確認する、そしてそれと同時に言堂が話し出した。
「現在、AAAの技術部、さらに外交部からの連絡ですが悪の組織と思われるものからの迎撃がイギリス、アメリカにて三件……すべてはアリスの劣化AIワンダーランドによって阻止されましたが、やはり日本でここは狙ってきませんでした」
「……悪の組織にすらほしがられる技術と言うのはいいな。だがそうか、やはり狙ってきたが重機か?それとも「この前完成させた、ライフドーカーかと」……あれだと?」
「は、技術部からの知らせですが、何人かはスカウトもあったそうですが。すべてを丁重にお断りしたそうです。よかったですねAAAの技術部で」
「そういう褒める言葉後でいいよ爺。わかった、それは早急に株主会議を開くように連絡、申し訳ないけど爺には出張ってもらうよ」
「御意」
そして老人はそのままドアを閉めるのであった。そしてそれと入れ違いになるように美幸が入ってきた、すでに寝間着ともいえるであろう服装の上に羽織が一枚と言った状態だ。ちなみに目には若干の涙がある
「ご主人様……おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
と、悠一が手を広げるとそのまま美幸は抱きついた。
「今日もお疲れ様です……心配しました」
「すまないな、分かってはいるけど」
「やめる気はないですよね……わかっています。ですからちゃんと帰ってきてください、心配かけないでください、お願いします……悠一」
その言葉は悠一をさらに、メラナイトを装着させる言葉だということを彼女はしらない。
メラナイト……それは悠一の親父が最初に開発したパワードスーツ。最初は鎧をコンパクトして自動展開させた物だったが悠一におりさらに変わったパワードスーツ。彼らは一般人のため普通の罪人を気絶させるほどの力をつけるためのものが最初だった。武器としてはすべて近距離とそして盾のみだったのが初代だが二代目の悠一はさらにAIであるアリスをナビとして搭載して完全な近未来なパワードスーツとして完成させていた。
◇
~一時間後~
「……ゆう……い……ち」
美幸は必ず悠一を抱きしめながら寝ないと寝られない、だからこそ彼はいつも一緒に寝ている。もちろんその前にいろいろとあるからとでもいえるが、その時悠一は先ほどの美幸の「心配かけないで」と言う言葉について考えた。
有理美幸、幸彦。両者は孤児だ、しかもこの日本で起きた犯罪史上最悪な事件『無差別中央殺戮事件』これが警察の発表。ちなみにその時に犯人を捕まえたのは悠一の父だ、ちなみにこれが最初の行動でもあったのだが、その際起きた家族の殺人が美幸達の家族。その時はまだ美幸は二歳に幸彦は一歳だった。だからこそ悠一の父は彼女らだけでもギリギリ助けたのが始まりであり、そして悠一が父の遺志を継いでいる理由。
「美幸……」
サイレントガーディアン。その言葉は少年悠一には何の事だか分らなかった、父の残した遺産の一つであった。そしてそれがあのとき、見つけてしまったのが始まりだ
◇
~二年前~
悠一は父が死んだ、その時から人が変わったように忙しくなった。言堂によるAAAのすべての引き継ぎやさらに研究者だけではない仕事が増えていった、そんなある日だった。悠一は父の遺品整理のため、地下にある研究室に足を踏み入れた。地下はそれこそごみの山と言えるようなガラクタがその研究室を覆い尽くしていた。
「なんだこりゃ?」
少年であった悠一にとってはこれはただのゴミと、そして貴重な材料の二つがそれこそいりこんでいた。
「しょうがないか」
悠一そして整理を行いだした。ちなみに美幸も幸彦も現在上の整理をしており、研究室は悠一、言堂の仕事とされていた。して悠一はその汚いだろう研究室であるものを発見してしまった。
「なんだこれ?」
それは大きな端末のようなタブレットタイプの液晶。悠一はそのころに投影技術を発明させていたのでこれが古いをと思ってしまったが、そこで声が聞こえなければ
[認証を確認してください]
その際俺はびっくりしてしまい、端末を落としてしまった。しかしその声はずっと続いている。
「わっ……スイッチ入れてないのに、なんで?」
[認証を確認しました。マイマスターに設定します]
その声と共に父の部屋ががらりと姿を変えたのであった。最初はどこかの扉が開くであろう音。そしてそれと同じように部屋からまるで新しい部屋が出てくるかのような……それは悠一の好奇心をすごくしげきしたのだ。
「これは一体?」
[初めまして、マイマスター。私はアリス]
端末からの声、悠一は驚きながらもその端末を確認した。初めて見る機械のソフト、悠一には興味しかなかったが、すぐに理解をして、さらに話を進める
「マイマスターね……父さんの遺品、いや正確には遺産と言うべきかな」
[はい、その通りでございますマイマスター「AI?」はい、マイマスターのお父様に当たるドクターが精巧に作り上げました人工知能です。ちなみに私が動くということはドクターは]
「ああ、死んだよ。それでいったいなぜ君が動き出したのかな?一応今、ここは遺品の整理で父さんのラボにいるんだけど、いきなり姿も変えたしね」
「それは私はご説明いたしましょう……悠一様」
悠一の後ろ、そして部屋が変わった綺麗な部屋。奥に当たるであろうところからいつもの通りの紳士服でその老人は立っていた。
「……爺か。そうだね、そういうことか。僕の知らない父さんってことでいいのかな?」
「はい、そのとおりでございます。アリスですか、やはりそのお名前になさったのですね。私は言堂修二。ここで執事をしております」
[データ照合、発見、確認、認証。初めまして言堂様、私はAIアリス]
「ほほほ、さすがは旦那様の最高傑作。良い出来ですね、それではアリスと、そして悠一様……こちらに。旦那様とそして、この会社AAAのもう一つの姿をお見せいたしましょう」
そして案内をする言堂。そのものすべてがこのAAAの歴史、そして悠一の父親の行動や発明品、そしてそれは今ままでの悠一としての歴史でもあったがここから変わりだした、すべてが終わったあとにつづくすべての発明品は……兵器だった
「こ、これは」
「悠一様には少し早いかもしれませんが、これもまたAAAの技術部による、いえ旦那様の発明品でございます。そして、これが最終兵器……パワードスーツ『シャドウ』でございます」
そして最後に出てきたのは部屋の真ん中から出てきたのだ、地から上ってきた。それはまるで鎧のような者。黒くまるで闇にまみれるためにあったのだろうと思うぐらいの黒。そして周りには若干小さいパーツ。
「これは……」
悠一はすべてを確認した後に一つのパーツであろうものを取り出した、そしてそのまま振り下げた。
「刀」
そう、振り下げた瞬間にその小さいパーツは展開し、変化させ刀と変わった。刀と言っても偃月刀に近いものだ。悠一はそのとき父さんの一番得意だった武術スタイルを思い出す、さらに思った、父さんがなぜ悠一に強く武術、または護身術を教えてきたのわかる。
「……それで、こんな兵器で何をしていたの父さんは」
悠一の言葉に少しだけ怒気がこもられている。理由は悠一は争いを嫌う、理由は美幸とそして幸彦が関係している。
「もちろん、悠一さまが思うようなことはなさっておりませぬ。旦那様はすべての罪を裁くためにこの兵器を作り、そして実行をなさっておりました。そうですね、分かりやすく言えば、美幸と幸彦がなぜこちらに来たのか、その真相にもかかわっております」
「何!?」
そして言堂は話し出した、これまでの父親とは違う、素顔。そして静寂な守護者としての意味を