4:誤解*前編*
「…お前は?」
「はぁ?」
「好きな人いんの?」
いるって言ったら、誰?って聞くに違いない。でも、嘘をつくのはー…。
千夏は考えた。祐輔を好きだと言うか、祐輔に嘘をつくか。
嘘をつくのは…あたしでも正直心が痛む…。
「いる…かも」
あたしの口からとっさに出た言葉がそれだった。
「かもっ…ってなんだよっ」
祐輔は笑いながら言った。一見落着…っとあたしが思った、その時、祐輔はこう言った。
「誰?」
ほら…やっぱり聞いてきた…。
祐輔は知ってていってんのかな、あたしが祐輔を好きだって知ってて…。
そう思うとからかわれてるみたいで、恥ずかしかった。
「ゆっ…」
あたしは‘ゆ’の一文字しかいっていないのに、
「あぁ、裕太かぁ!!」
と祐輔に誤解されてしまった。
確かにゆが付くのは、裕太もそうだけど…。
なんか、テンションが下がったっていうか…ショックというか…。
裕太なんか好きなわけないじゃない。
あたしは何度もココロの中で叫んだ。
裕太とは、岡田裕太で、クラスに一人はいる‘モテるヤツ’だ。女子からは、人気があるけど、男子からは嫌われている。
もてるから。らしいけど…。
いくら裕太がもてるからって…あたしの好きな人が裕太なんて、酷いよ。
「あ〜気にすんなって、裕太が嫌われているから、いいにくかったんだろ?大丈夫だって」
違う違う違う〜〜。
「全然っ違う」
そう言ってあたしは、祐輔を睨んだ。でも、祐輔はあたしの気持ちなんて知らんぷりで。
「照れるなよ〜。なぁ、裕太」
祐輔は後ろを向いて言った。裕太は‘岡田裕太’なので、すぐ後ろのれつなのだ。
なんか、凄く嫌な予感がした。
「裕太〜千夏が裕太を好きだって」
ガバッ
あたしは、祐輔の口を手で抑えた。
なにいってんのよ、祐輔っ!
「馬鹿…」
あたしは祐輔を睨んで、呟いた。でも、もう遅かった。




