2:優しい手
初登校、初高校、初授業♪
という言葉を歌にして歌ってるのはやっぱり千夏で。
「初ばかりだぁ〜。それにしてもあの祐輔ってヤツ…失礼っ!」
千夏は入学式の時に可愛くないねと言われたことをまだ気にしていた。
「大塚……千…夏…?」
後ろで誰かが千夏を呼んだ。
「たっ…貴之っ!」
貴之とはあの元彼だ。
「久しぶり〜♪あの日以来だな」
そう、あの日とは、貴之に千夏が振られたその日。
しばらく沈黙…何を言おうかと、考える二人。
そんな所に一人の男が来た。
「こんなとこでいちゃつかないでくださ〜い。邪魔ですよ〜」
ふさげたように言ったのは祐輔だった。
一番見られたく相手に見られてしまったぁ〜と落ち込む千夏に優しく声をかけたのは…祐輔ではなく、貴之だった。
「俺達…やり直さねぇ?」
千夏は、少しがっかりした。好きだったはずの貴之にやり直さねぇ?と言われて、嬉しいはずなのに――…。素直に喜べない。あたしは祐輔が助けてくれることを期待してたのかな……。
「やり直せば?」
と、祐輔はボソッと言ってから、見てみぬフリをしていってしまった。
「やり直せるわけないじゃん…振ったのは誰よ…」
千夏は貴之を睨んで言った。貴之の手を千夏はふりほどき、祐輔の頭をペシッと叩いた。
「ってぇ…」
祐輔は、頭を擦りながら言った。
「見てみぬフリすんな」
あたしは祐輔に言ってやった。
「気になんないもん」
と、祐輔は言い返した。
「気になんないもん」
その言葉が大きく千夏の胸に響いた。鼻がつぅんとする。
「気にして……」
あたしが涙目で言ったら、祐輔はコクンッと頷き、優しく手を握った。




