一話
ヤぁ!! みんな元気かい? 今、現国の授業中だけど僕はすごく元気だよ!! なぜかって? それは、暑さで頭がぶっ壊れたのさ!!
現在のこの暑さを例えるなら、サウナのようだよ。おかしいよね。汗で全身じっとりしてるし、不快指数がカンストしてるよ。皆よく授業を受けていられるなぁ……。つらい。
ってかこの席! 窓際の直射日光ガンガンで一番前の最悪な席じゃないか! いや、窓を開ければ涼しくなるんだろうけど、なんか最近ハチが学校近辺で大量発生しているらしいから迂闊に開けると皆から顰蹙買うし。というか、この前なった。
くっそ、とにかく、暑いん、だよ。クーラーが、欲しい。なんで、無いんだよ。授業を、やめたい。暑い、暑い、あ……、鼻から何か垂れた……。ノートの上に、赤いのが落ちた。何だろう。ア……、気が……遠……く。……なって……く。目の……前が、ぼや……け……。
「保健室から出る前に言っておくッ! 俺は今、熱中症をほんのちょっぴりだが体験した。い……いや……体験したというよりは全く理解を超えていたのだが……。あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 俺は目の前がぼやけたと思ったらいつのまにか保健室のベッドに寝かされていた。な……何を言っているのかわからねぇとは思うが、俺にもわからねぇ。頭がどうにかなりそうだった。とにかく、催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなものじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」
…………一人でこんな事を言ってると、とてつもなく変な人になってしまう。それに気づいたのは全てを言い終えてからだった。
「まぁ、誰も居ないのだから、別に問題は無いだろう」
この台詞はフラグだった。
「ぷぷっ……。一人で何か変な事言ってる……」
声からして女だ……畜生! 誰かいやがったぜ! どうやら俺の隣で寝ていた奴らしい。あまりにも存在感がなさ過ぎて気づかなかったじゃねえか! 俺は現実の女が大っ嫌いだ!
そんなことはどうでも良い。
「おい! そこのお前。なぜ笑っている!? 俺の独り言がそんなに面白かったのか!?」
隣の奴に対して俺はビシッと指を指して問いかけた。
「だ、だって、ひとりであんなこと……くふっ」
あーあ。リアルの女なんて絶滅したらいいのに。いや、男だけの世界になられても困るけど。